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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > イギリスのEU離脱通知と交渉の開始 (企業財務 M&A/村藤功)

イギリスのEU離脱通知と交渉の開始

村藤功 企業財務 M&A

17/10/11

今日は、イギリスのEU離脱通知と交渉の開始についてお話したいと思います。去年の6月にイギリスのEU離脱の国民投票があり、それから今年の3月の離脱通知までけっこう時間がありました。3月に離脱通知を出して、6月に交渉を開始したのです。イギリス側のデービス離脱担当大臣とEU側のバルニエ主席交渉官が交渉していますが、一体何の交渉をしているのかということについて3つ話したいと思います。

1つ目ですが、イギリスの中にもEU市民がいるし、EUの中にもイギリス市民がいます。この人達をどう扱うかという問題です。2番目が、出ていくのだったら清算金を払えという話です。これが大きいと600億ユーロになります。イギリスの中には払いたくないという人もいて、清算金がどうなるのかという問題です。3番目が、イギリスとアイルランドの国境管理問題です。これらの3つについてそれなりの結論が出ないと、その次の通商協定の話をしたくないというのがEUの立場で、まずはその3つを話そうかということで交渉が始まりました。

1つ目の問題ですが、イギリスの中にいるEU市民についてそれなりに在住権は尊重し、突然追い出すようなことはしないことになりました。イギリスにいるのだったら教育・年金や医療とかをそれなりに保護します。そして、EUもEUの中にいるイギリス人を尊重・保護することになりました。これは割と早い段階で、お互いそういう事にしましょうということになりました。しかし、もしそこで揉めた時にEUの司法裁判所で決めさせることにしてねとEUが言っており、イギリスは嫌だと言っています。それで揉めているというのが1つ目の問題です。

2つ目の問題である清算金の問題ですが、これはEUの立場で言うとイギリスがEUにいる間に決定に参加したすべての財政負担は守ってもらわないと困ることになります。EUの職員の年金だとか長期債務負担だとかEU機関でイギリスにあったものをEUに移転しないといけないとか、やろうと一緒に決めたインフラ事業とか全部あわせると結構大きな金額になります。しかし、イギリスの中でもジョンソン外相みたいな人は、出ていくのだから払う必要はないというような話で、政権の中でも凄く揉めているという状況です。

払えという人から全く払うなという人まですごく揉めている中で、この間メイ首相が、離脱通知から2年後の2019年3月末にイギリスがEUを離脱するという話から、移行期間を2年間設け、離脱を2019年3月から2021年3月へ2年間先に延ばすということはどうかと発言しました。その間、移動の自由を2年間認めるので、単一市場への参加も2年間認めて下さい、そして、EUに2年間いるので200億ユーロを払いましょう、と妥協案を出しました。それに対して、ジョンソン外相は一銭も払うなと閣内で言っています。

ジョンソン外相が閣内で言うのを許さないとメイ首相が言えるのかというとそうではありません。6月の総選挙では、最初は大勝する予定が社会福祉削減等を言ったため大敗して、他と連立を組んでもらわないとやっていけないという状況になったので、ジョンソン外相に出て行けと言える立場にないのです。そのため、EUは600億ユーロ払えと言ってくるし、ジョンソン外相は全く払うなと言うし、とりあえず妥協案としてメイ首相は200億ユーロ払うとか言うし、その辺がよく分からなくなってきています。

3つ目の、イギリスとアイルランドの国境問題です。アイルランドという島があるのですが、北がイギリスで南がアイルランドになっていて、国境が500キロもあります。イギリスがEUを離脱すると言っているのですが、アイルランドはEUに残るので、今までやってなかったのに500キロも国境管理するのかという話です。イギリスはとても面倒なので今まで通り自由でいいと言っているのに対して、EUは出ていくのだからちゃんと国境管理しろと言っており、揉めています。

イギリスはこの3つについて、それなりに決まったと言って早く通商協定の話をしたいというところですけど、EUは全然決まっていないと言って、通商協定の話に全然入るつもりがないのが現状です。

アメリカとイギリスは特別な関係で、それは維持する予定だとアメリカは言っています。日本はどうするのでしょうか? イギリスからヨーロッパを攻めるというのが日本の事業会社のこれまでやってきたことです。ところが、離脱してイギリスからEUに輸出する物に全て関税がかかるようになると、イギリスに拠点を置いておく意味が無いということになり、フランクフルトに移そうとか同じ英語を話すアイルランドに移そうとか、更にイギリスとアイルランドの国境問題とか話がとてもややこしくなってきました。

金融機関にとっては、ロンドンがEU全体の金融の中心だったわけです。イギリスで金融機関の認可を受けておくとEU中でオペレーション出来るというシングルパスポート制度というのがありました。ところがEUから離脱という事になると、イギリスでやっていた金融機関はヨーロッパでは当然には出来ないということになります。これは大変だという事で、ヨーロッパの本拠地をロンドンからフランクフルトに移そうとか、アイルランドのダブリンに移そうとか、ルクセンブルクに移そうとか、色々な動きに出ているという状況です。

今日のまとめです。イギリスが去年6月の国民投票でEUを離脱することになり、今年3月にやっと離脱通知を出して2年後に離脱をするという話になっていました。3月に離脱通知を出して6月に交渉を始めたのですが、イギリスにいるEU市民問題・清算金問題やイギリスとアイルランドの国境管理問題を話し合っており、イギリスは早くこれらを決着させて通商協定の話にしたいのですけど、なかなか話が進まずにそっちの方にいけないという状況です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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