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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 企業変革の難所を「社会心理学のサイエンス」で乗り切る④返報性 (組織・リーダーシップ研究/芹沢宗一郎)

企業変革の難所を「社会心理学のサイエンス」で乗り切る④返報性

芹沢宗一郎 組織・リーダーシップ研究

17/10/13

企業変革の難所を社会心理学のサイエンスで乗り越えようというシリーズをお送りしています。
前回は、2つ目の難所である「なぜ自分が変わらなければならないのか」をどうやって腹に落とすのかについて、心理学の2つの原理「好意」と「返報性」が利用できるというお話でした。その中でもまず「好意」という原理(人間は好意を持っている相手には協力をしたくなる)についてお話をしました。

今回は、後者の「返報性」の原理についてお話をします。これはどういうものかといいますと、人間というのは相手から何か先に恩恵を受けてしまうと必ずそれに対して返さなければいけないという心理が働くというものです。

この原理を「企業変革の難所」で応用するとどうなるでしょうか。外部環境が変わってくると、これまでと同じような仕事のやり方では上手くいかなくなり、自分達の部門の中で完結するような組織運営では成果が出せなくなってきます。そうすると、他部門と連携しなければならなくなるわけですが、他部門には他部門での仕事のやり方があるなか、それを変えてもらわなければならなくなったり、逆に他部門から自分達の仕事のやり方を変えろというプレッシャーが来たり、部門間の対立が生じます。これは、第一の難所である「なぜ会社が変わらないといけないのか」ということが頭でわかっていても、「なぜ自分の部門が変わらなければいけないのか」納得できない...という第二の難所が立ちはだかります。「なぜこちらが先に」と思うわけですが、「返報性」という原理によれば、先にこちらが何かをしてあげるということが必要になってきます。相手が自分にネガティブな感情をもっていて、あまり気が進まない相手に対して自分からしてあげるというのは難しいですね。ところが、数々の実験から、嫌いな相手に対して自分から何かをしてあげると相手からも返ってくるということが明らかになっています。いやだなと思っていても、そこはぐっとこらえて先に自分からしてあげるということが、あとで人間関係が円滑に進むポイントです。
多くの場合、自分が苦手だと思っている相手は、相手も自分に対して大体苦手意識を持っているものです。「返報性」は、相手の好き嫌いは関係なく働く原理だと証明されています。そのため、こちらが先に相手に何かを与えると、相手も返すようになります。そうすると、面白いことに私のことを嫌いだった相手も私に返すことによって、「嫌いな相手に何かいいことをやっている自分自身」を正当化しようとして、悪い感情はないという風に錯覚します。それが双方向で出来てくると両者の感情がよくなってきます。
そうやっていくうちに、徐々に信頼関係も築けるようになっていくというわけです。

ただ一つ、この「返報性」の危険性として、「あの人にやってあげたんだけど、なかなか返ってこない」ということがあります。そうすると、夫婦間の会話でもよくありますが、「いつも私ばかり」という不満が出てきます。このように、「返報性」が効く場合と効かない場合があるわけですが、その差はどこにあるかというと、様々な実験から3つの条件によることが分かっています。1つ目は、相手に何かしてあげる時に、相手にとって重要なことをやってあげているかということです。相手のニーズをきちんと見極めないといけません。次に、相手のニーズに対して自分が何らかの代償を払ってやってあげているということを、相手に何らかの形で知らしめてあげる必要があるということです。要は、自分が払っている代償を相手に気づいてもらえないと意味がないわけです。最後に、相手の期待や想定を超えたことをしてあげることです。これらにより「返報性」が効果的に働きます。

また、「返報性」というのはあまり長い間効かないと言われています。そのため、なかなか返ってこない場合は、相手はもう忘れてしまっているという可能性があります。ところが、相手に自分がやってあげたという自分の気持ちは忘れないわけです。時間が経てば経つほど自分が相手にやってあげたことは根深く記憶に残ります。そうなると、またここにネガティブな感情が生まれて、相手を好きになるどころかより嫌いなってしまうというマイナスの結果になることもあるため、注意が必要です。

では、今日のまとめです。
企業変革の難所の二つ目として、「なぜ今自分から行動を変える必要があるか」という納得感の醸成があります。どうしても上司や他部門、他者に対して不信感をもってしまい、自分が変わるよりも、まず上司あるいは他部門が変わるべきなのではないかといった意識が出てきがちです。それを乗り越えるために、「好意」と「返報性」という原理の活用法をご紹介しました。今日は、その中でも「返報性」の効果についてお話しました。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 芹沢宗一郎

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