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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化時代の製品開発:エクストリーム・ユーザー (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化時代の製品開発:エクストリーム・ユーザー

岩下仁 マーケティング

17/10/10

コモディティ化市場の製品開発について話を進めていきたいと思います。シャンプーや洗剤の様に、価格の違い以外に消費者が品質の違いを見出せない、そういった市場をコモディティ化市場と言っています。前回は非顧客競争についてサーモス社の例を出しながら話を進めてきたと思います。通常の顧客ではないところにターゲットを絞るということでした。今回は、エクストリーム・ユーザーに着目して話を進めていきたいと思います。

作り手の想定を超える方法や条件で商品を使っているユーザーを、エクストリーム・ユーザーと言います。分かり易い例でテニスラケットを例に話を進めたいと思います。例えば、同じ期間にラケットを通常使うとき、メーカー側の想定としては1本、これを想定して製品開発をするわけですよね。ですが、5本とか7本、これを同時に使うようなユーザーが実はいるわけです。通常は1本ですけれど、5本とか7本の様に非常に極端に使用しているわけです。こういった部分がエクストリームの部分になるわけですけれど、これまでの一般的な市場調査においては極端なユーザーというのは外れ値・異常値として除外されて分析が進められてきました。要は、ヒット商品を狙うならばこれまでのセオリーとしては数の多い平均的なお客さんの意見を重視するのが当然と言われてきたわけです。しかしながら、実はこれは欠点があるということがわかってきました。どうしても平均的な顧客の意見を重視しますので、平均的な商品しか出来なくなってしまうわけです。一方で極端なエクストリーム・ユーザーの場合は、一般的な使い方に比べてその商品の問題を早く認識したり、或いは問題解決の方法を独自に考案したりするといった使い方をしていることが多いわけです。ですので、製品開発をする時に、実はイノベーションの源泉になるのではないかと言われ始めています。

昨年、エクストリーム・ユーザーを活用して軽自動車の販売で首位になったスズキのハスラーという自動車を例にとって見ていきましょう。このハスラーを開発したスズキは、どのようにエクストリーム・ユーザーを製品開発に用いたのでしょうか? 新車の開発を行う際には明確なターゲットを設定して、そのターゲットに対して綿密な市場調査を行うというのが通常のやり方です。

一般的なユーザーに対して綿密な市場調査を行うわけですよね。しかしながら、アウトドアを非常に頻繁に行うアクティブなライフスタイルを持つ人たちへスズキはインタビューを行ったわけです。しょっちゅうキャンプに行ったり、しょっちゅう釣りに行ったり、そういう人たちにターゲットを絞って、そのエクストリーム・ユーザーである彼らにインタビューをすると通常では考えられなかった色々なことがいくつも聞けるわけです。このエクストリーム・ユーザーへの調査を進めていく内に、スズキの開発チームは不満の解消のため自分で工夫するユーザーを発見したわけです。

例えば車内の壁にねじの穴を開けている人がいました。荷物を整理するため、ボルトやベニヤ板で棚を自作する人も発見されたわけです。開発チームが思いもつかなかったことだったわけです。彼らに意見を聞くことによって普通のユーザーはしないような工夫がいくつもあることが分かってきました。開発チームはこのようなめちゃくちゃな工夫を例外扱いとはしないで、本当にアウトドアを好きな人が困っている事の現れとしてその意見を取り入れていったわけです。一般のユーザーではわからない事をエクストリーム・ユーザーに聞くことによって、こういうことが実は必要なんだということに気付いたわけです。

特にハスラーのアクセサリの部分は、用品の開発の場面でもエクストリーム・ユーザーの意見を上手く反映させています。例えば、ねじ穴の工夫というのは室内に装備したユーティリティナットの開発に活かしています。このユーティリティナットというのは、市販のボルトを用いて荷室の左右に様々なものを取り付けることができる部位になります。

オプションのフックとかルーフバーを取り付けると個々のお客さんのニーズに合わせて収納スペースを作れるわけです。この部分に関してエクストリーム・ユーザーの意見と、それに刺激された開発チームの努力から多くのアクセサリが開発されました。結果として、お客さんにとってハスラーが非常に魅力的なものになったわけですね。このねじ穴の例を見てみますと、エクストリーム・ユーザーというのはある車両に対して圧倒的に高い経験値と情熱を持っていることがわかると思います。こういったエクストリーム・ユーザーの意見は、一般ユーザーにとっても十分に魅力的な工夫になるわけです。一般ユーザーに直接アプローチをしても、こういった意見は出てきません。そこがエクストリーム・ユーザーを活用するときに非常に重要な点になるわけです。

今日のまとめです。今回はコモディティ化時代の商品開発の方法として、エクストリーム・ユーザーに注目しました。マーケターの想定外の意見を上手く取り入れることで、一般ユーザーにとっても十分魅力的な商品を開発出来るかと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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