QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化時代の製品開発:非顧客競争 (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化時代の製品開発:非顧客競争

岩下仁 マーケティング

17/10/09

今回も引き続き、コモディティ化時代の製品開発についてお話をしていきたいと思います。前回まで、消費者の心をつかむ製品開発の新たな手法として、ブレイクアウェイブランド戦略ですとか、隙間市場を狙ったり、或いは競合他社を活用するといったことについて話を進めてきました。今日は、非顧客を狙った商品開発について話を進めたいと思います。

非顧客ということは、通常のお客さん以外のお客さんに照準したマーケティング戦略が当てはまります。コモディティ化商品とは、シャンプーや洗剤の様に、いわゆる一般化した商品のことでした。コモディティ化市場においては、通常のお客さんというのは他社との奪い合いになるわけです。そこで、これまで誰も目を向けていないお客さんに目を向ける必要があります。

サーモス社のステンレス製魔法瓶を例に挙げて説明したいと思います。サーモス社は、実に40年も前に、割れやすかったガラス製を超える商品として高真空断熱ステンレス製魔法瓶を初めて開発しています。しかしながら、象印といった様々な競合が優れた製品を次々に導入し、それによって競争が激化していきました。それに対抗するために、サーモス社はスポーツボトルと保冷機能を備えた魔法瓶を新たに開発したのです。今ではよく見かけられていますが、ワンタッチで開いてボトルの口から直接飲むスタイル。熱い飲み物だけではなくて、保冷も出来る水筒です。そして、様々な場面で飲めるといったシチュエーションをアピールした結果、従来のお客さんであるファミリー層だけではなくて、ビジネスパーソンを取り込んだわけです。

相模屋食料という豆腐の商品開発を例にとって更に詳しく見ていきたいと思います。豆腐という商品の購買の特性ですけれど、料理する人が通常買って、家族単位で消費する食品の典型ですよね。従って、男性とか若い女性が一人であまり買うことはありません。この点に着目した同社は、個食という非顧客をターゲットにして商品を開発したわけです。

具体的な例を出しますと、一人鍋シリーズ。つまり、一人で鍋をする時にお豆腐を入れる、そういった商品ですよね。或いはおかずやっこ。これらが代表としてあるわけで、まさに一人暮らしの消費者をターゲットにした商品なわけです。最近ではさらに面白い商品を相模屋食料は開発しているんですよ。機動戦士ガンダムのキャラクターを模したザクどうふ。ザクの形をしているパッケージがあって、そこにお豆腐を流し込んでいる商品です。このザクどうふですけれど、自ら豆腐を買うことが少ない男性客をターゲットに定めているわけです。あるいはナチュラルどうふというのもあります。これは20代~30代前半の女性を主なターゲットにしており、東京ガールズコレクション等で人気を博した商品です。これは脂肪分をちょっと除いてあり、ヘルシーに食べられるという商品です。更におしゃれなパッケージにもしています。他にもカルビーのフルーツグラノーラの小袋をセットにした朝食向けの豆腐グラノーラといった商品も開発しています。こちらは朝食というシーンでお豆腐を食べるといった演出をしているわけです。

このように、相模屋食料の非顧客競争を見てみますと、商品の斬新な発想にまず目が向くと思いますが、実は発想を実現できる技術の裏付けもあるわけです。例えば、優れた技術を有する企業に贈られる経済産業大臣賞を受賞しています。つまり、マーケティング的な視点だけでなくて、技術力とのバランスまでがよく取られているわけです。

では、優れたマーケティングと技術力があれば非顧客競争は成功するのでしょうか? 非顧客市場を作るには、発売時だけではなく発売後もブランドとして育成する努力が必要です。サーモス社の例で説明を加えたいと思います。サーモス社ですけれど、従来は家族で移動するアウトドアユーザーに着目してきたわけです。我々が子供の時も、よく遠足などで水筒を持っていっていましたよね。そこから、一人一本という全く新しいお客さんを作り出したわけです。今では、外出する時に皆さん鞄の中に水筒を一本入れるといったシチュエーションをよく見かけます。

最近はインバウンド需要に注目されがちですけれど、従来の市場から最も距離のある訪日外国人の方にもこの非顧客を当てていくことが出来るわけです。近年血みどろのレッド・オーシャンを抜け出して競争のない青い海を目指すという、ブルー・オーシャン戦略ということをキム教授とモボルニュ教授は言っています。非顧客競争は、まさにレッド・オーシャンにある環境を一気にブルー・オーシャンに転換できる戦略になるわけです。今日説明してきたサーモス社や相模屋食料は、水筒や豆腐といった競争が激しく差別化が非常に難しい市場で、非顧客戦略の有効性を示していると言えると思います。

今日のまとめです。これまで全くターゲットとしていなかったお客さんをターゲットとする、非顧客競争について話を進めてきました。これまで全く目を向けなかったお客さんに実は目を向けると、コモディティ化市場においても非常に大きな成長が期待できると思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ