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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)の産学連携(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)の産学連携(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

17/09/26

・前回は、UCSDの産学連携に関する活動の概況と、2015年に担当副学長が交代したことに伴って5つの改革が行われ、そのうちの3つについて解説した。
・今回は、残りの2つについて解説したい。

(4)特許ライセンス収入の獲得よりも、スタートアップ支援や企業研究費の獲得を重視
・担当副学長の交代に伴って、OIC(Office of Innovation and Commercialization)のディレクターも交代した。これに伴って組織内で重視すべき点とスタッフの活動内容も変化した。新任ディレクター曰く、「以前はスタッフが外部とコミュニケーションを取る意欲が不足していたが、現在は外部と積極的にコミュニケートし、インスパイアする役割を担うようになった」とのことである。
・ライセンス収入よりもスタートアップや企業連携を促進する方向に転換した背景として、年間ライセンス収入250万ドル(28億円)は大学全体の予算規模43億ドル(4,700億円)の僅か0.6%に過ぎないため、特許ライセンス収入を追い求めるよりは、イノベーションに大きく貢献するようなスタートアップの支援や企業からの大型研究費の獲得に注力しているのである。(ただし、知財管理やライセンスをやらないわけではなく、その機能は基本機能として、全スタッフ35名のうち10名がライセンスオフィサー、5名が知財管理担当である)
・スタートアップ設立にむけた具体的支援としては、例えば「SBIRセミナー」と称するベンチャーを通じた技術商業化促進の政府補助金獲得のセミナーを提供している。
・また、企業との連携促進としては、「ライフサイエンス/エナジー・リエゾン」と称する分野特定の連携促進活動や、「パイロット・プログラム」と称する企業側で発明の事業化を試せるプログラムを提供している。このプログラムでは、企業側が最低5万ドルを準備することによって、目標と期限を設定してお試しができる内容となっている。
・更に学部レベルでは、工学部が「アジャイル・センター」と称して、「ウエアラブル・センサー」や「ビジュアル・コンピューティング」、「持続的な動力とエネルギー」といった社会ニーズの高いテーマを設定して産業界に連携を働きかけ、産学連携で社会課題の解決に向けた包括的な研究開発を行う試みが行われている。この取り組みのユニークな点として、UCSDの研究者が学際的なビジョンを提示し、優れた提案を選んで学部長オフィスがサポートして企業との共同研究を促し、開始から3年以内に3社以上の企業が5万ドルを拠出する恒常的な枠組みが実現できれば、プロジェクトの正式センター化が認められるという仕組みになっていることが挙げられる。

(5)起業家が育つエコシステムづくり
・起業家が育つための地域エコシステムづくりとして、サンディエゴ地域の資源を有効に活用して、様々なプログラムやサービスを提供することで、大学内で起業家を育てる環境を充実させている。
・例えば、「EIR(Entrepreneur in Residence)」と称する、サンディエゴ地域で成功した起業家による支援や、地元の大手法律事務所(無償で協力!)と連携して毎月開催する「起業家ワークショップ」、「スタートアップ・アドボケート」と称する多様な支援要請に対するワンストップのコンシェルジュ機能、等を提供している。
・また、「イノベーション・インスティテュート」と称して30〜40名の外部メンターを登録しておき、必要に応じて専門家による助言サービスが得られるようになっていることである。
・学部レベルでも、工学部とビジネススクールが協働してIGE(Institute for Global Entrepreneur)と称するプログラムを開始しており、学内ギャップファンドや外部のVCと連携した実践的な起業家人材の育成を行っている。

・以上、UCSDの産学連携では、アントレプレナーシップの醸成とイノベーションへの取り組みが加速している。ポイントは、サンディエゴ地域がこの20~30年の間に形成してきた起業家的な風土や人的資源を有効に活用し、大学の活動とシナジーを高めている点である。


【今回のまとめ】
・UCSDの産学連携では、サンディエゴ地域が持つ起業家的な風土や人的資源を有効に活用し、大学とのシナジーを高めている点が特徴的である。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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