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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)の産学連携(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)の産学連携(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

17/09/25

・今回は、米国の研究大学として有名なカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の産学連携の取り組みについて紹介したい。
・カリフォルニア大学は、バークレーやロサンゼルス(UCLA)など10大学から構成されており、UCSDはそのひとつ。カリフォルニア州最南端のサンディエゴに立地している。
・UCSDは、学部生28,000人、大学院生8,000人を抱え、年間支出規模が43億ドル(4,700億円)という大規模な総合大学である(ちなみに九大の年間支出規模は1,200億円程度)。
・分野としては、特に工学(Jacobs School of Engineering)、ヘルスケア(医学部および大学病院)、海洋研究(スクリプス海洋研究所)が有名である。
・また、サンディエゴ地域は、かつてはほとんど海軍基地とその関連産業しかなかったが、近年は情報通信(代表的な企業としてクアルコム)やバイオテクノロジー(代表的な企業として遺伝子解析のイルミナ)などの先端技術によるイノベーション・エコノミーが形成され、経済成長が著しい。2015年には、405社のスタートアップ企業が設立されたことによって1,860人の新規雇用が生まれ、総額で12億ドル(1,300億円)のVC投資がなされている。
・サンディエゴ地域のイノベーション・エコノミーの成長と歩調を合わせるように、UCSDの獲得研究費は2000年の4.6億ドル(500億円)から2015年には11億ドル(1,200億円)へと大きく拡大している。うち、民間企業からの研究費獲得額は1.2億ドル(130億円)である。
・これら研究費から生まれた発明は377件、239件の特許登録、106件の新規ライセンス契約、19社の大学発スタートアップ設立がなされている(2015年)。ちなみに、約100件のライセンス契約のうち、半数は大企業、半数が中小企業へのライセンスとのことである。また、サンディエゴ地域内企業へのライセンスは、ざっくり1/3程度ではないか?とのことである。

・UCSDの産学連携は、Office of Innovation and Commercialization(OIC)が担っている。この組織のミッションは、下記のように定められている。

アントレプレナーシップ溢れる文化をキャンパスに形成し、ダイナミックな地域エコシステムを強化することによって、UCSDのイノベーションを加速させ、持続可能な社会に貢献する。

・興味深いのは、現在の担当副学長の就任(2015〜)に伴って方針転換と大幅な組織改革を実施した点である。主な改革は5つあるが、今日はこのうち3つについて解説する。
(1)研究支援と産学連携支援の機能統合
・研究者の研究活動と産学連携活動は、実は境界が明確ではなく、別々にマネジメントしていると機会損失も発生する。基礎研究に注力している研究者が論文発表を優先させてしまい、特許出願の機会を逸してしまうことがしばしば生じる。従って、支援オフィスのスタッフは研究費獲得を支援しながら、「発明が生じたら直ぐに開示を!」という注意を日頃から促し、いったん特許を出願したら、追加データの取得と関連特許の出願などを一体的にフォローする必要がある。
(2)研究者支援の充実
・従来から研究者支援は行われていたが、現担当副学長の就任に伴って、外部研究費(グラント)獲得率を向上させるために、申請書のレビューシステムを導入するなどして、全米平均の採択率よりも10%高い水準を達成している。担当副学長曰く「ノードストローム流(米国の百貨店で、卓越したサービスで有名)」のサービスを心がけるようスタッフに働きかけているとのことである。
(3)若手教員や学生に対する産学連携教育の実施
・若手教員や学生のなかには、アカデミックなキャリアのみならず、スタートアップ企業の設立に関心を持つ者も少なくない。また、若いうちに産学連携に関する知識を得ておくことで、その後アカデミックキャリアを歩む中でも多くの恩恵が得られる。従ってOICでは、技術商業化のプロセスの理解や企業との共同研究の実施方法や注意点、POC(概念実証)の方法、ファンド獲得機会、等の情報や学習機会を提供することで、企業との連携件数が15~20%増加したとのことである。

・次回は、引き続きUCSDの産学連携組織の方針転換について解説する。

【今回のまとめ】
・UCSDは、米国サンディエゴ地域のイノベーション・エコノミーに貢献している。近年、産学連携担当副学長の交代に伴って、アントレプレナーシップに力点を置いた産学連携の方針転換が生じている。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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