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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日米の経営の違いが分かる最近のお勧め映画③ 映画は時代を映す鏡 (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

日米の経営の違いが分かる最近のお勧め映画③ 映画は時代を映す鏡

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

17/09/12

映画はそれぞれの時代の大衆娯楽ですから、その時代の主流の人が考えていることにあっている。つまり、映画は時代を映す鏡であるということをお話したいと思います。

2016年はポストトゥルースの時代
例えば、昨年日本映画で最もヒットした映画は2本ありました。一つは「シンゴジラ」でもう一つは「君の名は。」であったことは、皆さん覚えておられると思います。実は、このヒットした2つの映画は、ポストトゥルースの時代を示した映画であったのですね。

Word of the Yearはオックスフォード英語辞典が毎年選んでいるその年の言葉で、2016年はpost-truth(ポストトゥルース)という言葉が選ばれました。それは、客観的事実ではなくて、感情とか個人的心面に訴えるものが影響力を持つということで、トランプ大統領は正にポストトゥルースの大統領と言われています。最近では、フェイクとか言っていますけれど、真実ではなくて皆がこれはなんとなくいいなと思うものがその時代の特徴になることをポストトゥルースの時代と言います。

昨年日本でヒットした『シンゴジラ』(2016年7月公開)と『君の名は。』(2016年8月公開)はこのポストトゥルースの時代風潮を示す映画だったのです。「シンゴジラ」では東京が激しく破壊される。それから、「君の名は。」では都会の少年と田舎の少女が入れ替わってしまう。これらはいずれも客観的事実ではなくて、なんとなく今の大衆が望んでいてこんなことになるのではないかということを表象している。おそらく日本は政治的にも経済的にも若干行き詰まった感があって、それで東京はこうなったらゴジラに蹂躙された方がいいのではないかとか、或いは田舎にいる人は都会の人と入れ替わりたいし、逆に都会の人は都会ではもう大変だから田舎に入れ替わりたい。今の時代の人、特に若い人が、事実ではないけれど望んでいることをこの2つの映画は象徴的に表していて、非常にヒットしたということではないかと思います。

戦争映画は時代の鏡である
アメリカの映画では時代の鏡はどのジャンルの映画で見られるかと考えると、戦争映画で時代とともに戦争のヒーローなどの扱い方が変わってきています。

最近の映画で見てみたいと思うのですけれど、昨年の映画で「アイ・イン・ザ・スカイ(2016年12月公開)」というコリン・ファースがプロデュースして、ヘレン・ミレンが主演している映画がありました。これは、ドローンの爆撃が戦争の主体になっている。つまり、敵はテロリストですから、そのいる場所を様々なITで特定してそこから全く離れた場所から、あたかもゲームのようにドローンで爆撃するのです。その意思決定は戦争の司令官だけではなく政治家が一緒に意思決定するわけですけれど、意思決定の根拠は爆撃した時に何人民間人を殺す可能性があるかです。その確率が一定以下であれば、ボタンを押してしまう。ボタンを押すところは戦場から全く離れたラスベガスにあり、そこの小屋みたいな所が兵士が毎日出勤するところで、孤独な兵士がボタンでゲームをやるようにして爆撃する。その意思決定はどこか政治の中心のところで司令官と政治家でやっている。こういう戦争になると、一体誰がヒーローで、一体どういう権利があってその周りの民間人が一定の確率以下だったらボタンを押していいかという決定が行われているのか。この辺が非常に不思議に思われる映画ですね。

次に、今年6月に公開された「ハクソー・リッジ」というメル・ギブソンが初めて監督した沖縄戦の映画があります。主人公がある特定の教義を信じていて、そのキリスト教の教義では人を殺してはいけないということで、彼は人を絶対に殺さない兵隊として、つまり良心的兵役拒否者として軍隊に入っている。そこで彼は、衛生兵になって沖縄に行って、そこで何人も兵隊を助けることで勲章を貰っている。実在の人物が主人公になっていて、こういう映画が取り上げられるというのはアメリカの軍隊は非常に多様性があって、最初はこういう兵隊は軍隊の中で迫害を受けるわけですけれど、それでもアメリカというのは軍隊の中で衛生兵とか狙撃兵とか分業されていて、仕事も明確に分かれていて、その中でこういう兵隊も一緒にいて、多様性が認められている。
一方、この映画の舞台は沖縄戦で前田高地というところの戦闘ですけれど、日本軍が塹壕の中から次々と飛び出してきては突撃します。日本軍はそういう分業はまったくなくて、司令官だろうが衛生兵であろうが皆一斉に突撃して死んでいく。このように比べてみると、アメリカ軍の組織と日本軍の組織の違いが非常によく分かる映画であり、ヒーローは戦闘でのヒーローではなくて、衛生兵という分業の担当者がヒーローになっている。このあたり、時代とともに戦争映画の主人公も非常に変わってきているところが見られます。

今日のまとめです。映画は時代を映す鏡であるということで、特にアメリカ映画は大衆の娯楽の中心であるわけですから、映画をよく見ているとその時々の時代の大衆が何を考えているかという背景がよく分かります。アメリカの現在を知るには、今流行っている映画を見るというのが一番良い方法であると考えています。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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