QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日米の経営の違いが分かる最近のお勧め映画② 警察映画と金融映画 (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

日米の経営の違いが分かる最近のお勧め映画② 警察映画と金融映画

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

17/09/11

これまで映画で学ぶ経営というテーマで、日本とアメリカの企業組織はそもそもの成り立ちが違うので、アメリカのものを日本に持ってこようと思ってもそれは難しいことについて、それを日米の映画を比較して見ることによって学んでいこうという話をしてきました。

今日本は、様々な企業経営やあるいは政策課題について、アメリカの仕組みを取り入れようとしているのですが、特に組織については、アメリカと日本の組織は大きく違うから、アメリカの組織を前提にした仕組みを日本に入れるということはなかなか大変です。このことが分かるのが「警察映画」と「金融映画」の2つです。これらの映画では、人間関係の取り上げ方が全然違うのです。今日はこの2つから、日本の組織・経営はアメリカと全然違うということを見てみたいと思います。

警察映画
日本では「踊る大捜査線」や「相棒」の様に、テレビドラマから映画になったものが典型的なものとしてあります。そこでは、現場の警察官と本部の官僚のような人たちが登場し、両者は対立するのですが、必ず現場を理解する本部の人がいるし、それから現場の人たちは実にちゃんとしたチームワークで問題や事件を解決していきます。つまり、現場が強いということと、それから現場で頑張っている人を組織はちゃんと見て助けてくれる。対立があったとしても最後は助けてくれるということが、日本の警察映画の特徴ですね。
そこでのリーダーは、経営学の用語でいえばサーバント・リーダーと呼ばれるのですが、自分は決して人の上に立って上から目線でリーダーシップを発揮するのではなくて、皆を助けながらリーダーシップを発揮していく。こういう人物が日本の警察映画の典型的なリーダーですね。

一方で、アメリカの警察映画を見ると、「ダーティハリー」なんて我々世代がよく知っている映画ですが、それ以外でも皆さんFBIとかCIAの捜査官が主人公の映画はいわば警察映画の派生的な映画です。これらのアメリカの警察映画には全て強いカリスマ的なリーダーが出てきて、それから主人公は必ず一匹狼なんですね。
「ダーティハリー」ではまさに警察官たちが勝手にやっていて、警察のチームワークなんてどこにあるのかという感じがあります。自分が生きるためには自分で色々な問題を解決していかないといけない、組織はひょっとして裏切るかもしれないというのが、アメリカの警察映画の特徴になっています。

日本の組織はチームワークで助け合って、サーバント・リーダー的な人がいる。アメリカの組織は非常に個人個人が自立していて、助けてくれるのは組織ではなくて個人を理解する人で、そこには必ずカリスマ的なリーダーがいます。これは警察組織だけの違いではなく、日本とアメリカの組織の違いがここに表れています。

最近よく働き方改革と言われますけれど、アメリカでは一匹狼みたいな人たちが皆個人個人で組織と契約を結んでいて、組織と対等な関係でいるわけです。そうすると、契約の中でその人の権利と責任の範囲は明確になる。そしてそれに対して対価が支払われる。ところが、日本の組織は個人個人が組織と対等に契約を結ぶことはないので、個人の権利とか責任はちょっと曖昧になってきます。従って、アメリカ的な働き方改革をそのまま日本に持ってくるとなかなか上手くいかないことがあります。単にアメリカのほうが進んでいるからその仕組みを日本に持ってくるといっても、個人と組織の関係が基本のところで違うのでうまく行かないのです。

金融映画
アメリカは金融映画がものすごく多くて、最近では「マネー・ショート華麗なる大逆転(2015)」や「インサイド・世界不況の知られざる真実(2011)」とか或いは、「ウォール街(1987)」の続編である、「ウォール・ストリート(2011)」とか次から次に、アメリカでは金融映画があるのですけれど、これらはいずれも個人がのし上がって自分でお金を儲けるという内容です。場合によっては悪いことをしてでも儲けるという映画がアメリカの金融映画です。

これに対して、日本には金融映画はあまりありません。そもそも金融というのは自分でのし上がってお金を儲けるわけですから、日本でそういう映画を作ってもあまり流行らない。従って、日本では「ナニワの金融道」の様にちょっとダークな感じの金融映画になってしまうということです。アメリカで金融映画が多く、日本には少ないのはこのあたりの理由があります。

今日のまとめです。アメリカで警察映画や金融映画が多いのは、映画を見る人、つまり一般の大衆が、一匹狼で活躍するヒーローを求めている。自分でお金を儲けたり、自分で課題を解決する人を敬うという面が非常に大きい。あまり儲けすぎたりすると大衆から嫌悪されるのですけれど、基本的には自分の力で成り上がるものにあこがれる。一方で、日本の警察映画はチームワークの映画ですから、成り上がるものは嫌われるので、あまり出てこないわけですね。このようにアメリカ映画と日本映画を見ることによって、2つの国の組織の原理が全く違うということがよく理解できるんではないかと思います。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ