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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日米の経営の違いが分かる最近のお勧め映画① (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

日米の経営の違いが分かる最近のお勧め映画①

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

17/09/05

映画を観ると日本とアメリカの経営の違いが分かるという事で話を進めています。今日は、最近観たアメリカ映画の中で日本とアメリカの違いがよく出ているかなという映画を2つほどご紹介したいと思っています。

『ジーサンズ 初めての強盗』(2017年6月公開)
まず6月に、「ジーサンズ はじめての強盗」というアメリカ映画がありました。マイケル・ケインとモーガン・フリーマンとアラン・アーキンという、この3人とも80歳ぐらいですけども、オスカーをとった有名な俳優達が主人公です。

これは非常に面白く、金融危機が起きた後にアメリカの老人というのが非常に貧困な状況におかれているという事をこの3人が演じています。ブルックリンにこの3人は住んでいまして、近くの鉄鋼会社に長年勤めて退職しました。それで鉄鋼会社から年金を貰って住宅ローンの返済をしていた。ところが鉄鋼会社が、おそらく中国の企業じゃないかと思うのですけども、買収される事になるのです。それで結果として、現在の従業員は解雇しますし、これまでの従業員の企業年金というのは、これを切り捨てるという事が買収の条件になっています。

アメリカはいわゆる国民年金の様なソーシャル・セキュリティーは、日本円にして7~8万円しかなく、それ以外は企業年金を掛けたり自分で個人年金を掛けたりして、老後の生活をしなければなりません。この企業年金がなくなってしまうと、住宅ローンの返済がまず出来なくなってしまいます。そうすると銀行口座は凍結されるので、3人はこれからの生活をどうしようかという時に、じゃあ、銀行強盗をしようと言って、その年金と同額を自分達の取引銀行に強盗に入って盗み将来の生活をたてようとするのです。面白いのは、アメリカの老人というのは貧困ではあるけれども、非常に元気で、映画では強盗という極端な話ではあるけど、自分達の将来のお金を自分達で何とかしようとしています。

日本の老人を見ると、日本の個人資産1,700兆円の半分以上を65歳以上が持っているといわられています。ところが、今の65歳以上の老人は将来不安からか、自分が貰っている年金ですら貯蓄して将来の不安に備えると言っているわけです。日本の老人がこの様に元気がない事が、今の日本の不況の大きな原因になっているのではないでしょうか。他方で、アメリカは、老人は貧困な人はものすごく貧困です。ところが、貧困な人はそれなりに自分達でそれを解決しようとして活動するという話しです。そこに、日本人とアメリカ人の性格の違いというのがよく出ています。

やっぱり日本の老人も、銀行強盗をする必要はないのですけども、もっと元気にやらなければいけないという事がこの映画を観ていると感じられます。これは、日本の社会がそうしてきたというか、そういう日本人を作ってきた、個人の問題より社会環境の問題であるという話しはあるかもしれませんね。

『バーニングオーシャン』(2017年5月公開)
5月には、世界で最悪の原油流出事故であった、2010年のメキシコ湾の石油掘削リグの爆発事故について非常に迫力ある映像で、どの様に事故が起きたか、それからどの様に解決しようとしたかという事を描いた「バーニング・オーシャン」という非常に面白い映画がありました。これは、石油掘削リグはブリティッシュ・ペトロリアム(BP)という多国籍企業が所有していまして、それをオペレーション会社にオペレーションを任せて、様々な下請会社がその安全の処理をやっていました。ところが、工期が遅れていたので効率性を重視して、BP社が安全の作業にちょっとお金を出さなくなりました。その結果として事故が起きてくるわけです。

BP社とオーナーとオペレーション会社、下請けとそれぞれが自分に与えられた責任を果たしていく過程の中で、マニュアルを超える事は中々やらないですけども、分業してやっていくアメリカのプロジェクトの運営がよく分かりますし、それから、問題が起きた後のオペレーション会社のリーダーがすばらしいリーダーシップで、ほとんど死者が出ない形でこの大事故を収束させます。そして、その過程で部下が上司にどんどん意見を言うところが、日本だとここまで言うかなというぐらいに上司が間違っている点を徹底的に言っていく。また、事故が起きた後に、軍隊や消防署などの様々な専門家を集めて解決しようという所が、アメリカは専門家をきちっと動員して解決しようとしていく事が分かります。

日本では同様の事故が起きても、どちらかといえば浪花節的なリーダーが出て来て、チームワークでやるのですが、必ずしも誰がどこまでの責任かという事がはっきりしていなかったりして、また、専門家の動員がどうしても遅れてしまう面があって、がんばってみんなで寝ずにやりましょうみたいな事になっていくので、この辺の違いがアメリカの映画ではよく出てるという事が言えると思います。

今日のまとめです。最近の映画でも、アメリカと日本の違いがよく分かる映画があります。どの映画もやはり組織の問題が背景にありますから、アメリカの映画と日本の映画を比べながら観ると、アメリカと日本の経営の違いがよく分かってきます。特に老人問題は日本では老人が将来を不安に思っていても、誰かが何かしてくれるんじゃないかと思っている。これに対してアメリカは自分で解決するしかないと思っている。この違いは大きいですね。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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