QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コスト管理(4):インダストリアル・エンジニアリング (企業戦略、生産管理/目代武史)

コスト管理(4):インダストリアル・エンジニアリング

目代武史 企業戦略、生産管理

17/09/21

今日は、「生産管理における原価改善」、つまりコストの削減の手段として「インダストリアル・エンジニアリング」についてお話しします。
「インダストリアル・エンジニアリング」とは、直訳すると「産業工学」、一般的には「生産工学」と言われます。「インダストリアル・エンジニアリング」の歴史は大変古く、20世紀の初めにその礎が築かれています。
 有名なのは科学的管理法で知られるフレデリック・テイラーの研究です。テイラーは、1856年にアメリカのフィラデルフィアに生まれたエンジニアで、当時のアメリカの製造現場では、「組織的怠業」が問題になっていました。組織的怠業とは、労働者個々人が仕事を怠けるのではなく、労働者同士が示し合わせて組織的に怠けることを言いました。
 当時のアメリカでは「出来高給制度」が一般的でした。「仕事の出来高」、つまり「生産量」によって給与が支払われる仕組みでした。ということは、仕事をすればするだけ給与が増える仕組みだったわけですが、それでも組織的に怠けるようになった原因は、当時のノルマの決め方にありました。これだけ働いたらこれだけ払うという基準が、管理者の経験や勘によって決められていました。そのため、労働者が頑張れば頑張るほどハードルが上がり、かえって出来高当たりの賃金が引き下げられるということが繰り返し起こったためでした。そこで、そうした経営慣行に対抗する為に労働者同士が示し合わせて組織だって仕事を怠けるようになってしまったというわけです。
 テイラーはこの問題に注目し、1日のノルマとなる仕事量を客観的な根拠をもって科学的に設定しようと試みました。そのために行われたのが「作業研究」です。作業研究とは、仕事をどういう動作で行うかという「動作研究」と、そのためにどれだけ時間がかかったかという「時間研究」からなります。テイラーは、熟練作業者の生産動作を細かく分解し、その所要時間をストップウォッチで記録していきました。これが「動作研究」と「時間研究」です。また、生産作業自体も、誰でも出来るように標準的なステップを定めていきました。さらに、科学的な方法によってノルマを定め、そのノルマを達成すれば出来高当たりの賃金を増加させるというように賃金制度も改めました。逆に、未達成ならば賃金を割り引くことで、ノルマに達成に対してプラスとマイナスのインセンティブを設定したわけです。これを「差別的出来高給制度」と言います。

では、このインダストリアル・エンジニアリングでは、どのように生産工程の生産性工程を図っていくのか考えていきたいと思います。一般には、「稼働分析」「工程分析」「連合作業分析」「動作研究」「時間研究」などがあります。最初の「稼働分析」とは、作業時間を、付加価値を生んでいる主体作業と付加価値を生んでいない付随作業や余裕といったものに分類し、それぞれの時間比率を実際に測定していくことです。これは、これまで何度か取り上げてきた「正味作業時間」とそれ以外の作業時間に分類していくことと同じです。付加価値を生まない無駄なものをいかに取り除いていくかというのが、「稼働分析」です。

次に、「工程分析」です。これは、生産の流れをフローチャートなどで描き、工程の切り分け方や工程のレイアウトなどを分析するものです。工程ではバランスが大切です。例えば、2つの工程があって、最初の工程では作業に10分かかり、2番目の工程では4分かかるとします。もし2つの工程を10%ずつ改善したらどうなるかというと、最初の工程は9分に短縮されますし、2番目の工程は3分36秒に改善されるわけですが、全体のスピードは遅い方の工程に拘束されるため、折角4分を3分36秒に改善しても、結局全体としては9分かかるわけです。こういったバランスをいかにとっていくかということがこの工程分析の1つのポイントになります。
もう1つ「生産ラインの物理的なレイアウト」も生産性改善に非常に重要です。例えば、リスナーの皆さんが想像されるのは一直線の生産ラインではないかと思いますが、ラインの途中で折れ曲がって戻ってくるようなアルファベットのUの字のようなラインもあります。このUの字のラインでは、入口で部品を持って行くと、完成した製品がまた同じところから戻ってくるわけですから、運搬する人は部品を運搬した帰りに製品を引き取って戻ることができ、物流効率が大幅に改善されることになります。

最後に、「連合作業分析」について簡単にご説明します。連合作業とは、人と機械、人と人の作業など、組合せや連携を分析する手法です。人と機械の作業を時間の流れに沿って測定し、良好な作業の組合せが出来ないかを分析するのが「連合作業分析」です。この時のポイントは、人の作業と機械の作業を出来るだけ並行作業にすることです。機械が自動加工している間、人間は次の作業の段取りを行い、機械による自動作業が終われば素早く次の素材をセットするといった動きの組合せを考えていくわけです。

では、今日のまとめです。
 生産現場における生産性向上のための工学的なアプローチを、「インダストリアル・エンジニアリング」と言います。その歴史は100年あまり前にフレデリック・テイラーが提唱した科学的管理法に遡ります。インダストリアル・エンジニアリングには、「稼働分析」や「工程分析」など様々な手法があります。これらの手法を用いる際には、大きな枠組みから先に適用するのが原則です。まず大きな流れを分析し、改善してから最後の改善に進むことが肝心です。具体的には、稼働分析→工程分析→連合作業分析→動作・時間研究へと進むのが効果的です。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ