QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 映画を見れば日米の経営の違いが分かる (経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)/久原正治)

映画を見れば日米の経営の違いが分かる

久原正治 経営学 (経営戦略、経営組織、日米比較経営、金融機関経営)

17/08/16

前回は、アメリカ型経営を奉る日本という事で、日本はなんでもアメリカが進んでいる、先を行っていると思ってそれを真似するという事を今までやってきたのですが、果たしてそれでいいのかというお話でした。アメリカと日本の違いをよく知っていないと、経営は色んな所で間違える可能性があるということがポイントです。

日本とアメリカの違いを知るために、アメリカの会社に勤めたり、アメリカにずっと行くという訳にはなかなかいきません。しかし、アメリカ映画は実に分かりやすくアメリカの経営の成り立ちを示しており、映画を観れば違いが分かると考えています。

基本的に、西洋人は外の物を自分と対立させて分析するというデカルト流の考え方です。これに対して、西田幾多郎という有名な哲学者の考えでは、自分はそういう外部の中に自分も入ってそこから内観的に物を見るというのが日本人の考え方です。

例えば最近の水害の問題を考えても、西洋の人だったら自分と外界の現象とを対峙させてどういう原因でどういう状況の下で何が起きたのかをまず分析する。これに対して、日本人は現地に行って一緒に片づけをしながら、これはどういう事だったかというのを考える。こういう違いがあると思います。

西洋が外界の現象と個人を対立させて見るのに対して、日本は一緒になって共感するという違いが映画の違いにも関係してきます。これを理解するのに、まず日本の警察映画とアメリカの警察映画と見比べてみるといいですよって言っていることです。日本だと例えば「相棒」とか「踊る大捜査線」がありますが、これはみんな一緒にチームワークでお互いに共感しながら問題を解決していく映画です。それに対して、アメリカの警察映画は個人プレーが中心になっています。ボスと部下は強い信頼関係で結ばれているのですけど、組織に対する信頼や忠誠心は意外に少ない。

これが一番典型的に出てくるのは、レオナルド・ディカプリオ出演の「ディパーテッド」という映画です。これは香港映画から焼き直しているのですけれども、アメリカ的なものをよく表しています。所謂アイリッシュマフィアが片や警察の中にいて、片や警察の潜入捜査官がマフィアの中にいて、どっちがマフィアでどっちが警察か分からない状況です。誰が敵で誰が味方か分からなくなってしまっている。アイリッシュの同じ宗教を信じる、あるいは同じ地域からアメリカに移民して来たという所が最終的な信頼の基準になっています。警察という組織がまずあってそこで皆と一緒に問題を解決するという事にはなっていません。

私は金融の分野を専門に研究をしていたのですが、アメリカでは金融映画は数多く、最近では「マネー・ショート」「ウォール・ストリート」とか、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」といった金融業で働くプロを扱う映画があります。これらはすべて、個人の利益をどうやって極大化するかという個人の能力でのし上がっていくストーリーです。組織全体がチームプレーでやっていくことはあまり見られません。その結果個人が転落したりする話が多い訳ですけど、いずれにしても一般的に映画で取り上げられているのは自分個人の金儲けの話です。

しかし、日本では金融映画はとても少なく、「金融腐蝕列島呪縛」とか「ハゲタカ」とかがあるのですが、そこではどちらかというとアメリカ的な金儲けの話を扱っています。日本のチームワークでやるようなことはあんまり金融映画の対象にはならないので、日本に金融映画が少ないのです。

この様に、映画を観る事によって日米の経営の違いというのが分かってくるわけです。警察映画でもいいし、金融映画でもいいし、野球の映画でもいいし、日米の映画を観るとおそらくアメリカ社会の特徴として5つくらいのポイントが出てくると思います。

まず第1に、アメリカの映画はやっぱり個人が自立している。それから第2に利益というものは是認される。つまり、利益を出すという事が神様への成功の証になる。第3に政府の関与をものすごく嫌っています。第4に、日本映画はなんでも東京の話になるのですが、アメリカ映画は地域が非常に重視されています。それぞれの人が地方にフロンティアを求めていき、地方のパワーがあると言えると思います。それから第5に、アメリカでは専門性が重要ですから、高い高等教育が重視されています。

日本映画とアメリカ映画を観ていくことで、アメリカの経営はこの5つの点で全然違うなということがわかる。そうすると、こんなに日本と違う、アメリカ型経営を日本に持ってくるというのは根本的なところが違っているから、なかなかそれは日本とは合わない面があるなという事が分かってきます。

今日のまとめです。日本人はどうしても西洋の方が進んでいると考えてなんでもアメリカの経営は優れているだろうと思ってしまいがちです。でも、日本とアメリカは違うということを理解するのが重要です。その違いを知るのに、アメリカの映画は実感としてよく分かるような形でアメリカの経営を我々に教えてくれます。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ