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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アメリカ型経営を奉る日本 (経営学 /久原正治)

アメリカ型経営を奉る日本

久原正治 経営学

17/08/15

今日から日米の経営比較というテーマで話を進めたいと思います。日本はどうしてもアメリカに比べると遅れており、なんでもかんでもアメリカの経営が進んでいると奉ってしまっている点に問題があるのではないかというのが第1回目の話になります。

例えば、日本では株主本位の経営とかアメリカ型のコーポレートガバナンスが重要とか言われていますが、これらは良い事も悪い事もあります。コーポレートガバナンスを見てみますと、アメリカに倣って社外取締役を最初の時期に導入した企業は東芝・ソニーであり、そしてオリンパスも社外取締役を重視していました。しかし、必ずしもアメリカ型のガバナンスをやる企業が経営のパフォーマンスがいい訳ではありません。他方で、日本型の伝統的な経営を続ける企業の中には非常に業績がいい企業もあるわけです。やはり、アメリカと日本はそれぞれ何が優れていて何が問題なのかをきちっと理解しておく必要があると考えています。このことを知らないと、アメリカではこうやっていると聞くと、その方が進んでいるのかと思って何の批判も無くそれを取り入れてしまうことになります。

また、MBAという言葉を聞くと、アメリカのMBAは非常に高度な研究と教育をやっているように思ってしまいがちです。私自身はアメリカのビジネススクールにも行きましたし、それからビジネススクールで5年間教えていました。アメリカのビジネススクールも良い面と悪い面とがあり、日本の方が良い面もあるので、必ずしもアメリカの真似をする必要は無いと考えています。

それぞれの良さをまず見て、そして日本的なところも活かしていく必要があります。具体的には、アメリカと日本では、働くという事が一番違うと思います。日本では、働くという事は一つの会社のメンバーになるというのが基本的な考え方になっています。一方で、アメリカでは、働くという事は何らかのジョブすなわち自分の専門を持って働くという事です。専門性が活かせるのでしたらどういう会社でもいい訳ですから、各自の専門でジョブホッピングをすることがアメリカの基本的な考え方になります。

日本の労働市場はメンバー型ということができます。出来れば大学を出て一つの会社に入ってそこで定年まで勤め上げるという形で制度がこれまで出来てきました。従って、アメリカのジョブ型で出来ている労働市場の考え方を日本にそのまま入れた場合にはどうしても矛盾が出てきて、なかなか上手くいかない所が出て来ます。メンバーシップ型は一つの所に留まってそこで頑張るというプロセスを大事にする社会です。ジョブ型は自分の専門性がどの程度の成果をあげるかという社会ですから、それぞれ一長一短があります。しかし、これを無理にくっつけてしまう所に今の日本の労働の様々な問題が出てきていると考えます。

例えば、若い人の失業率を見てみましょう。アメリカやヨーロッパは大学出てすぐの若い人だと、今は2割から3割の失業率です。日本はご承知のように現在労働市場は人手不足なこともあり、新卒の失業率は2~3%と小さくなっている訳です。そうしますと、日本型の新卒で雇用する制度は、若い人が失業の心配なく仕事をすぐに得られるという意味では良い方法であるわけです。ですから、日米それぞれに良い点と悪い点がありますから、そこをもっと具体的にきちっと理解した上で、もし将来日米の制度を組み合わせていくとしたらどの様に設計するかという事をやっていく必要があります。

歴史的に日本人は一つの組織でメンバーとして一生懸命皆とチームワークで働いていく面が良さです。ただ国際競争にはなかなか勝てない面があるので、どうやって専門性があるジョブ型を組み合わせていくかを考える必要があります。社内で様々なキャリアを積ませていくのは、ある意味では良い事ですが、他方で世の中ではもっと専門的な事がたくさん出てきますから、それをどこかで取り入れていく事も重要です。しかし、日米の背景にある制度は全く違った制度で矛盾が出てきますから、日本の経営とアメリカの経営をどうやって融合出来るかということに我々が日本で経営を考える時の最大のチャレンジがあるのではないかと思っています。

では今日のまとめです。日本は明治維新以来、欧米に対して何かが欠けているという欠如理論でずっとやってきています。でも本当にそうでしょうか? 実は欧米にも良い所と悪い所があり、日本にも良い所と悪い所があります。これをよく理解する事が一番大事ではないでしょうか。

分野: 経営学 |スピーカー: 久原正治

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