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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > シリコンバレーから生まれたイノベーションの背景 (テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営/金子浩明)

シリコンバレーから生まれたイノベーションの背景

金子浩明 テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営

17/08/14

今日は、最近生まれたイノベーション、シリコンバレーと日本の比較についてのお話です。

最近世の中を大きく変えたものと聞いてどんなものを思い浮かべますか。
スマホとかSNSとかグーグルなどの検索エンジン。こういったものが我々の生活の動きや我々自身の行動を大きく変えました。これらはどこから生まれたかというと西海岸、つまり、「シリコンバレー」から生まれました。最近私たちの生活を大きく変えるイノベーションというのは、シリコンバレーやシアトル発のものが多いです。スターバックスやアマゾンなどもその一つです。全部西海岸です。これはなぜでしょうか。

一番大きな違いは「研究」です。ITに関する研究はアメリカの方が盛んに行われています。その研究の中心は、企業というより大学です。「研究型大学」と言われていて、実際に企業などから資金を得たり、あるいは大学が独自に実際に資金を調達したりして、様々な研究をしています。それだけではありません。アメリカの場合には、「リスクマネー」と言われる資金の出し手がいます。それは「ベンチャーキャピタル」といわれます。「ベンチャーキャピタル」というのは、出資者からお金を集めて、それをベンチャー企業に投資し、そのベンチャー企業が上場したあかつきに利益を得るというものです。実は今日本でもベンチャーキャピタルが増えてきています。実際に大学発のベンチャーキャピタルも存在します。中でも有名なのが東大の「エッジキャピタル」という会社です。東京大学の研究成果を実際にベンチャー企業として事業化していくというベンチャーキャピタルです。ただし、まだ足りないところがあります。それは、やはり優秀な移民を沢山取れるかどうかです。そのネックになったのが「英語」です。海外から優秀な人材が日本に来るためには、やはり日本も英語でビジネスを行うだとか、研究を英語でやり取りをすることが重要になってきます。そのため、日本の大学でも英語の授業が増えています。それは、まさにシリコンバレーのように優秀な人材を沢山集めたいという思惑からきています。シリコンバレー型の産業を興すような土壌は徐々に整っているわけです。ただし、私はこれだけでは足りないと思っています。決定的に足りないものがあります。それは一体何でしょう。

ここで1つ質問です。みなさんはスマホやSNSを実際に使われてみて、世の中は良くなったと思いますか。便利になった面と怖い面があるという風に感じておられる方が多いのではないでしょうか。シリコンバレーで成功したSNSやスマホのサービスで成功した起業家にもしこういう質問をしたらどう答えるか。「良くなった」と答えるのではないかと言われています。何故そういう発想が出てくるのか。これは非常に重要なことですが、カリフォルニアにはカリフォルニアイデオロギーという思想があります。これは、アメリカ建国思想にある自由主義が関係しています。リバタリアニズムと言いますが、この自由主義は、人間はそもそも自由を最初から持っており、最終的に個人は自分で自由をもって身を守るという思想です。最後はやはり自分の自由が大事というわけです。そうすると、スマホやSNSは個人を自由にしています。本来、政府とか大企業にしか出来なかったことが個人にも出来るようになったらどんなに素晴らしい世の中になるだろうかという発想が自由主義には強くあります。カリフォルニアイデオロギーで言うと、「反中央」「反権威」です。ヒッピーとかカウンターカルチャーといったものは、まさに若者やマイノリティのためのものです。スマホやSNS、そしてFacebookといったものは、パワーを大企業や政府から若者やマイノリティーの手に移しています。ツイッターがあればみんな自由に発信出来る。大手とは違う発信が出来ますし、実際にスマホを手にすることによって、それまで有料で大企業に頼らなければいけなかったサービスが個人で自由に使うことが出来る。グーグルマップなどもその一つです。昔であれば地図の会社にお金を払って買わなければいけなかったものが、フリーで手に入るわけです。これはまさに自由とか反中央・反権威というカリフォルニアの発想を実現する「良い世の中」になっているわけです。つまり、便宜を目指していたらああいったイノベーションは生まれないわけです。良いか悪いかというまさに燃えたぎる正義感があってこそ、こういうものは生まれてくるということですね。

では、問題は果たして日本にその思想があるのかということです。おそらくないでしょう。そういった思想がある人はシリコンバレーに行ってしまうわけです。そのためシリコンバレーで活躍する日本人は少なくありません。では、日本がシリコンバレーになれるかどうかとと言うと、やはりなかなか難しいでしょう。東海岸がシリコンバレーになれないのと同じです。アメリの中でもカリフォルニアイデオロギーがあるのはシリコンバレーだけです。形を真似ても魂が入っていなければ同じようなことは出来ないということです。

では先生、今日のまとめです。
重要なことは、法律や様々な制度を整える事だけではなく、どういう世の中を作りたいのか。やはりこういう発想がないと新しいイノベーションというのはなかなか生まれてきません。シリコンバレーは個人に様々な権威や権力をエンパワーしたらどんな良い世の中になるだろうかという発想で様々なイノベーションを生み出しました。日本では何がそれにあたるのか、是非皆さんも考えて頂きたいと思います。


分野: 企業戦略 技術経営 |スピーカー: 金子浩明

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