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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 企業が気づかないニーズを発見する方法 (マーケティング/岩下仁)

企業が気づかないニーズを発見する方法

岩下仁 マーケティング

17/08/11

今日はコモディティ化市場の製品開発について話を進めていきたいと思います。前回は本来は煙たい存在である競合他社の存在を逆手にとって、彼らの製品やプロモーションを自社の製品開発に活かすという話をしたと思います。今日はユーザーによって企業が気付いていなかったニーズを発見する方法についてお話をしたいと思います。

ユーザーによって企業が気付いていなかったニーズを発見する方法というのは、企業の思惑とは全く違った新しい使い方を発見する事になります。僕の例ですが、旭化成のジップロックという商品ありますよね。企業側の用途は、もちろん生ものの保存用としてこのジップロックを使ってもらうことにあるわけです。だけど僕はこのジップロックを旅行とか出張時に利用しています。シャンプーとか化粧品をジップロックに入れて持っていくわけです。以前はビニール袋にこのようなシャンプー等を入れて持って行ったのですが、たまに中身が出てしまってさらにビニールから液体が飛び出てカバンの中がグチャグチャになっていました。その点、このジップロップは密封されているので、中身が飛び出てしまった時でも安心して利用できるわけです。このように皆さんも本来とは全く異なる使い方をしている商品があるのではないでしょうか?

そういうのは身近に色々あると思うのですけど、今日は代表的な事例をご紹介したいと思います。一つ目はアーネストという企業が開発したシュレッダーはさみです。この商品ですが五本のはさみを重ねたような構造ですが、本来は刻み海苔を作るための商品でした。

ある時一人のユーザーがATMの明細書とかハガキ等を刻むシュレッダーとして使っている、こういった情報がアーネストに舞い込んで、ターゲットと用途を変更した結果、今のような大ヒットになったわけです。

二つ目は皆さんもよく知っているマスキングテープです。本来は塗装とか建築現場で使われる保護用のテープです。しかし、このマスキングテープを作っているメーカーの一つであるカモ井加工紙は、デコレーション用途に使っている主婦がいる事を知って、改良して雑貨用途として商品化したわけです。

ちっちゃいお子さんとかいる家庭とかもよく使われている事が多いと思いますね。このシュレッダーはさみとマスキングテープの事例は、研究の世界では用途イノベーションという言葉で言われています。企業側では事前に発見が難しいニーズや意図していなかったターゲット層を商品の発売後に消費者によって発見して、商品の用途或いはターゲットを修正していくという事になります。

しかし、この用途イノベーションには一つの重要な限界があると言われてきました。それは、企業側が非常に受け身の状態、つまり重要な情報をもたらすユーザーの出現を待つか発見していかなければならない点です。違う用途として使っているユーザーを見つけるのが非常に難しいということです。しかしながら近年発達したインターネットを活用することで、この課題を解決できるようになってきています。

リコーが開発した全天球カメラRICOH THETA Sの事例が好例かと思います。このカメラはシャッターを一回押すだけで360度の写真や動画を撮ることができる商品です。4万円に近い中々の高額な商品ですが、今日品切れ続出のヒット商品になっています。当初のターゲットはこの名前の通り天体観測に関心の高い家族やそれを趣味とする人達でした。

それではリコーはどのように用途イノベーションを活用したのでしょうか?

彼らはネットの口コミを利用したのです。Amazonのこの商品に関するレビューを見ると、多くの一般ユーザーに交じって一人だけ全く異なる属性の購入者がいたのです。多くのユーザーはレジャー・旅行・自然風景の撮影などのメーカー側が想定している使用場面の評価であったわけでしたが、その一人のユーザーだけ工事現場調査の記録用としての評価をしていました。

電気工事業に従事するこのレビュアーはこれまでの何枚も写真を撮る方法では、も撮り忘れてしまったり撮り損じが生じてしまったりとかで再度現場に出向く必要がどうしてあったわけです。でもこのカメラを利用することで、こういった撮り損じのような問題が解決されたようです。他にも撮り直しの手間とかコスト、そういった比較での価格評価、あるいはマンションの販売といった関連する業界の活用事例までもが語られていました。

実は更に注目すべき点がこのレビューにあったのです。それは「このレビューが役に立った」
の数がなんと500を超えていた点でした。ということは、このことからリコーが見落としていたお客さんとその価値がとても大きな潜在性を秘めている事が証明されたわけです。

このRICOH THETA Sではメーカー側がターゲット変更しなくても、レビューから想定外のユーザーが多くこの商品を購入していたそうです。この事例からは、用途イノベーションのこれまでの最大の課題であったユーザーの発見が、近年、インターネットを活用する事で非常に容易になっていることが伺えますよね。

今日はユーザーを活用した用途イノベーションについてお話をしてきました。これまでは有益な情報をもたらすユーザーの発見が課題とされてきましたが、近年インターネットの口コミサイトを利用する事でより発見しやすいインフラが整ってきていると言えます。としますと、製品開発において企業はネット上の情報を活用しない手はないと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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