QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 競合他社に目を向けた製品開発 (マーケティング/岩下仁)

競合他社に目を向けた製品開発

岩下仁 マーケティング

17/08/10

これまで2回に渡って、コモディティ化市場における製品開発についてお話を進めてきました。これまでの2回では、ブレイクアウェイブランド戦略やニッチ市場をとらえた製品開発について話を進めたと思います。今日は競合の活用をキーワードに話を進めたいと思っています。

そもそも競合は存在しないことに越したことはないという風に考える方が多いかと思います。だけども実は、競合他社の製品を上手く活用すれば、コモディティ化市場でヒット製品を生み出せる可能性があるわけです。

この競合他社に目を向けるという言葉は、マーケティングの研究では競争思考のコンセプトとして説明されています。競争思考とは、一言で言うとライバル企業の動向やシェアに常に目を向ける組織文化を示しています。つまり、自社の製品開発を進める一方で、他者の製品状況はどうなっているのかを常に気にする必要があるわけです。

競合の活用というのは、競合に目を向けるだけではなくて、競合の動きを自社の製品開発に活かすというわけです。今回はピップのヒット製品であるスリムウォークを例にとって話を進めていきたいと思います。このスリムウォークは足のむくみをケアして美脚を保つ着圧ソックスです。実はこのスリムウォークですけども、日中履く昼用市場で既に首位だったわけです。

競合他社が2008年に発売したのが夜用の製品だったわけですけど、これにピップは抜かれて二番手になっていました。では、昼用でトップを走ってきたピップがなぜ夜用を出さなかったのかといった疑問に至るかと思います。昼用のカニバリゼーションを恐れてピップは夜用を出せなかったわけです。カニバリゼーションというのは既に出している昼用のブランドの売り上げを奪うことをいうわけですね。

ピップは首位奪還に向けて競合を最大限に活用した製品開発に取り組んだわけです。徹底して競合製品の使用調査を行いました。するとユーザーは競合品に対して素材がゴワゴワして寝る時に不向き、あるいはきつくて履きにくい、こういった不満を持っていることを発見しました。このことからユーザーは、我慢が伴うケアではなくて、深く眠りながら楽してケアしたい、こういった本音を知ることが出来た訳です。この結果を元にピップはやわらかな履き心地で着脱しやすく、かわいい部屋着にもなる、夢みる心地のスリムウォークを開発しました。その結果としてトップに返り咲いています。

ピップはこの夢みる心地のスリムウォークの商品開発と並走して、女性の足の悩みについて研究者等に対する有識者調査も実施しています。すると実は30代から40代の女性にとって、足の疲労がとても深刻だということが分かりました。他の人からの目を気にして足の負担を全く考えずに高いヒールの靴を選んで、その結果、帰宅後には足に疲れやむくみを感じてしまう、こういった状況にあったわけです。

この事は現代女性のライフスタイルに適したケア用品という新たな市場ニーズが生まれたという事でもあるわけです。ピップはこの事をヒントに、手間がいらず気持ちよくかわいくケアできる方法を考えて、帰宅後に足指を広げて解消できる足指セラピーを2012年に発売したわけです。

この足指セラピーの開発過程においても実はピップは競合の資源を利用する事を考えています。彼らは競合の何を活用したのでしょうか?

実はテレビCMなのです。ピップは足指セラピーを店頭で売り出した後に、競合がすぐに追随の製品を後発で出してきたわけです。同時に競合他社は首位を取るためにテレビCMを大量投入してきました。ですが、ピップは直ぐに反撃しないでテレビCMやセールスプロモーション(所謂値引きとか陳列)を行わなかったわけです。女性のケア用品の新カテゴリーの認知を競合のCM投下やセールスプロモーションによって高めてもらったわけです。半年程落ち着いた頃に一気に製品内容を拡充し、大量陳列をすることで首位を奪還しています。

やはりこの足指セラピーがどういった使い方とかわからない事が多いので、それを競合他社に教育コストを払ってもらったことになりますね。つまりピップは以下の二点で競合を活用した製品投入をしたといえます。先発の競合製品に対して徹底した調査を実施して顧客の不満点を見つけ製品開発に活用した点、そして競合のテレビCM、あるいはセールスプロモーションによって認知度を高めた点です。コモディティ化市場において本来は煙たい存在である競合他社にあえてしっかりと目を向けてさらには活用していく、この事がヒット製品を作り出す鍵になっているわけです。

今日は競合他社に目を向けた製品開発ということでお話をすすめてきました。競合を上手く活用することで、ヒット製品を作りだすことができるわけですが、その際の鍵は徹底した競合製品の使用調査、そして競合のプロモーションの活用。この2点にあるかと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ