QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コモディティ化市場の製品開発 (マーケティング/岩下仁)

コモディティ化市場の製品開発

岩下仁 マーケティング

17/07/27

今日はコモディティ化市場におけるブランド作りについて話を進めたいと思います。まずコモディティという用語ですが、これは日用品という意味で例えばトイレットペーパー・洗剤・シャンプーなど普段の生活に使う商品を示します。これらは大量に生産されて市場に出回り、そんなに特別な物ではありません。コモディティ化とは市場に流通している商品がブランドやメーカーの個性を失って消費者にとってはどれも大して差がなくなってしまう状態を言います。

コモディティ化とは簡単に言うと一般化なのですが、普段、企業は他社製品と比べて自社製品は違うものということをセールスポイントにして新製品を発売しています。ところが購入する消費社にとっては製品数が増加するにつれ製品間の違いが分かりにくくなって、どれも同じように見えてしまうわけです。そこで企業は製品の違いを際立たせるために、最終的には価格の安さをアピールすることでより多くの消費者から反応を得ようとします。結果としてライバル企業同士が競って値引きを行うことになってしまいます。

もちろん、企業としては自社製品が売り場でコモディティ化に陥り、その結果として起こる値引き合戦に巻き込まれることを避けたいと考えます。ではその為にはどうしたらいいでしょうか。ハーバードビジネススクールのヤンミムン教授はコモディティ化市場で成功するためのブランド戦略は3つあると述べています。1つ目は期待する機能を取り去って顧客が期待していない機能を提供するリバースブランド戦略です。2つ目は新しい製品カテゴリの枠組みを提供するブレイクアウェイブランド戦略です。3つ目は勝者に媚びずに売る気がないふりをするホスタエルブランド戦略です。

今回は特にビジネスパーソンに役立ててもらいたいと考えているブレイクアウェイブランド戦略にフォーカスして話を進めたいと思います。このブランド戦略を採用して成功した事例として宝酒造さんの澪の事例を見ていきたいと思います。清酒業界ではご存知の通り、若年層を中心に清酒離れが進むことで消費量の減少傾向が続いて、新たな日本酒の世界を創造する必要がありました。そこへ宝酒造は、若い女性といったライトユーザーをターゲットに、ほのかな甘みと程良い酸味が特徴のスパークリング清酒澪を開発したのです。

では澪はどのようなマーケティング戦略を実践することでブレイクアウェイブランド戦略、つまりスパークリング清酒という新製品カテゴリを作り出したのでしょうか。1つ目は発売直後にはあえて飲食店や百貨店という限定された販売チャネルのみで販売した点です。そこでまずは評判を上げて、出来る限りSNSなどで口コミを誘発しました。この限定チャネル戦略は理論的には高級ブランドを構築する際に用いられる定石の方法と言われています。例えば、虎屋の羊羹はコンビニでは売らずに百貨店といった高価格のチャネルでしか販売しないというのもこの理論に基づいています。特定の場所でしか売っていないというのは消費者に特別感を抱かせます。

こうして最初に特別な印象を与えた上でその後に消費者の手に届き易いように食品スーパーなどの一般チャネルに販路を拡大しています。このように初期段階でチャネルをあえて限定することで清酒とは違う、新しいお酒・スパークリング清酒というカテゴリを消費者に植え付けることによってこの澪は成功したわけです。

2つ目は市場導入後に澪ブランドがコモディティ化による値引き合戦に巻き込まれないようにするためにいくつかの施策を展開した点です。代表的なものに澪パと呼ばれるものがあります。澪パとはSNS上では澪でパーティーの略称として消費者から自然発生的に生まれた言葉です。この澪パをキーワードに拡張現実(AR)と言われるものを活用した消費者参加型のキャンペーンや、ラインなどSNSでの公式ページの解説といったもののほかに、飲食用の実体験イベントや店頭販促・テレビCMなどの多くの情報発信をしています。澪でパーティーというのが消費者に定着したというのがポイントです。

3つ目が澪ビジョンと言われるものです。液晶ディスプレイといったデジタル映像機器を使って情報を発信するシステムを宝酒造は澪ビジョンと呼んでいます。この澪ビジョンを店頭の澪の売り場において、消費者の多そうな時間帯・曜日に合わせて、消費者の属性に合った澪や食事との相性を紹介することを行ったわけです。

結果として澪の露出拡大やブランドの新鮮さを維持することに貢献しています。このように澪のブレイクアウェイブランド戦略を見てみると、1つ目としては伝統的なマーケティングの4Pのプレイス。つまり販売チャネルに該当するところにあったと思います。しかしながら2つ目と3つ目に関しては、店頭での付加価値を高める企業努力、具体的には、拡張現実やデジタルサイネージといったIT技術を駆使しているところにあると思います

今回はコモディティ化市場における製品開発の戦略の1つとしてブレイクアウェイブランド戦略についてご紹介しました。こちらを行う際には近年発達しているIT技術をうまく活用することでより優れたブランドを実現出来るかと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ