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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本式のおもてなしとは? (テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営/金子浩明)

日本式のおもてなしとは?

金子浩明 テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営

17/07/31

今日は「和のおもてなし」についてお話します。2020年の東京オリンピックまであと3年です。招致のプレゼンテーションの中で滝川クリステルさんがアピールしたのは「おもてなし」でした。九州にはアジアから多くの観光客が訪れます。温泉があり、海、山もあり、刺激的な都会もあります。非常に人気の観光地となっています。しかし、海や山、都会的な刺激という条件であれば海外にも同じような条件の場所はあります。「温泉」は日本固有のものかもしれません。ホテルや旅館、レストランなどのサービス業は、一度訪れて頂いたお客様に繰り返し来て頂くことで安定的に収益を上げることが可能になります。その為のキーワードが「おもてなし」です。

では、「おもてなし」は日本にしかないものなのでしょうか。海外にも似たようなものはありそうです。みなさんは海外でおもてなしをされた経験はありますか?
海外のホテルで気持ちの良いサービスを受けられた経験をお持ちの方、現地の方に助けて頂いたことや親切にされた経験をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。そう考えると、日本も海外も同じになってしまいます。

では、「おもてなし」とは一体何なのでしょう。最近、東京あるいは福岡で外資系ホテルが多く参入しています。外資系ホテルでは「おもてなし」というよりも「ホスピタリティ」という言葉の方が似合う気がします。近年「ホスピタリティ」という言葉も非常によく使われていますが、「おもてなし」と「ホスピタリティ」とはどう違うのでしょうか。どちらも相手に対して「親切にする」という点では同じようにも感じます。単に旅館だと「おもてなし」でホテルだと「ホスピタリティ」という話ではありません。

まずは言葉のルーツを辿ってみたいと思います。「ホスピタリティ」という言葉を聞いてピンとくるのがホテルやホスピタル、あるいはホスピスなどです。これはまさに「ホスピタリティ」という言葉から派生した言葉です。つまり、「病院」です。これは元々ラテン語の「ホスピクス」が語源で、キリスト教の聖地の巡礼にやってきた巡礼者を歓待するという意味があります。「巡礼者」というのは予見出来ない来訪者を表します。当時は当然メールや電話などの通信機器のない時代ですから、巡礼者は突然遠方から命懸けでやってくるわけです。そうやって巡礼に来た人達を敬って心を尽くして迎え入れるというのが原点にあります。予見出来ない来訪者が傷だらけでやって来るわけですから、まさに「ホスピタル」「病院」です。病院は予約出来ますが、救急病院などはどんな人が来るか予見出来ない面があります。そのため、まさに予見出来ない人を迎えるというのがホスピクスでありホスピタルであるというわけです。当然ホテルも現在のように電話やメールが発達していない時代には、おそらくその土地に着いて突然やって来る人がほとんどだったわけです。ということは、「ホスピタリティ」とは、予見出来ない来訪者に対して心を尽くして迎え入れるという意味あいが非常に強いわけです。

では、「おもてなし」とはどのような意味なのでしょうか。ここで「おもてなし」のルーツも探ってみましょう。「おもてなし」とは、実は茶道がルーツになります。茶道では、急な来訪者というのはいません。「いついつ茶会があります」という風に事前に茶会をセッティングして、誰を呼ぶかというのを主人が決めるわけです。そのため、「おもてなし」をする場面においては来訪が予見されているわけです。まさに「一見さんお断り」の世界です。そして、もてなす側を「亭主」と呼びますが、亭主はお客さんをイメージしながら茶会の準備をします。これを「設え」と言います。茶道の世界では掛け軸や茶碗もお客さんに合わせて選ぶということをします。これもただ整えるだけではなくて、お客さんの好みやお客さんとの関係をイメージしながらお客さんに合ったものを準備するわけです。これがまさに「設え」なのです。相手のニーズをイメージして相手が言わなくても先回りして用意をしておくこと。これが気を利かせることでもあります。そして、茶道においては亭主と客の間に通う人間的な温もり、これを大変大事にします。それを「和敬清寂の精神」と言うようです。茶道でもう1つ重要なことは、「自然体のまま」であること、そして「季節感を大切にする」ことです。これも実はおもてなしとホスピタリティの違いに繋がります。日本人にとって、自然不自然というのは良い悪いというニュアンスを伴う場合が多いです。例えば、「誰々の言い方不自然だ」とか、「あの表情は不自然だ」という時に、それは良いという意味ではありません。自然が良くて不自然が悪いというようなニュアンスがあります。ただ西洋の社会において、別に「不自然」ということが悪いという意味あいを持つわけではありません。人工物は不自然ですがそれは悪いというわけではありません。ただ日本には「自然が良い」という思想があるため、日本のおもてなしというのは自然と調和する思想と言えます。

では、今日のまとめです。
「おもてなし」と「ホスピタリティ」はお客さんに対して心を尽くして歓待するという意味では同じです。しかし、「おもてなし」は予見される客に対してそのお客さんが自然に振舞えるように設えることであり、この両者の違いは「手前の設え」にあるのです。皆さんも「設え」や「自然であること」を意識することで、「おもてなし」を体現出来るのではないでしょうか。

分野: 技術経営 経営戦略 |スピーカー: 金子浩明

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