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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 改めてモーダル・シフト① (国際経営、国際物流/星野裕志)

改めてモーダル・シフト①

星野裕志 国際経営、国際物流

17/07/11

ニュースなどで、その深刻さが一般にも浸透してきていると思いますが、今日は日本の国内物流の課題についてお話ししたいと思います。この番組でも数年前から何度か指摘をしてきていることですが、その課題と共に、改めてモーダル・シフトを取り上げたいと思います。

ちょうど2年前の国土交通省の調査として、宅配便の再配達率は平均19.6パーセントであることが報告されました。荷物5個につき1個が、再配達を必要とするということですから大変な数ですし、3回以上の再配達が、0.9パーセントもあったそうです。

もともとトラック業界は、過重な労働や人手不足、ドライバーの高齢化から、コンプライアンスの遵守や燃料価格の高止まりなど、多くの課題を抱えていました。それに加えて、ラスト・ワンマイルと言われる最終段階の配送に、再配送の手間がかかることで、深刻な問題になっていることは認識されてきました。
余計な労働力が必要になるだけではなく、CO2の発生や渋滞など、さまざまな社会的な負荷があります。

もちろん宅配便の各社も国土交通省でも、様々な改善に取り組まれています。
マンションや最近は一戸建ての住宅や駅にも宅配ボックスの設置が促進されていますし、コンビニでの受け取り、デリバリー情報をメールで連絡することなど、さまざまな工夫があります。
これで、再配達がかなり減ることにもなり、もちろんそれはそれで、ある程度の効果はあると思いますが、これは単なる小休止に過ぎないと考えています。なぜかというと、世界的なeコマースの成長があります。

経済産業省の調査では、日本国内の昨年2016年度のB to Cの市場規模は、15兆1千億円で、金額ベースで前年比9.9パーセントの伸びでした。成長の1位は化粧品、医療品、2位は書籍、映像・音声ソフト、3位は雑貨、家具、インテリアですから、まさに自分でふだんネットショッピングしているものですね。

その結果、2010年から2016年の6年間で、市場はほぼ倍増しています。さらに、今後 年率9パーセント程度で成長するとの試算もあります。eコマースで先行するアメリカでは、2000年以降年率19.4パーセントで成長してきたようですから、決して過大な予測ではないと思います。

いまでも限界に近付いているのに、さらに大変なペースで、需要が伸びて行くということになります。そのように考えると今の枠組みでは、国内のeコマースの伸びに物流がついていけなくなり、破綻する可能性もあるということです。さきほど宅配ボックスなどの整備が小休止とお話ししたのは、もちろん必要な取り組みではありますが、抜本的な見直しがなされないと、市場の成長の制約要因となるということです。

簡単なことではないと思いますが、抜本的な見直しとは、今まで私たちが当たり前としてきた便利さを少し我慢するということかもしれません。

この問題に今までも何回か触れてきましたが、特に気になったのは、首都圏などで宅配便の同日配送のサービス開始の時でした。注文した商品が「明日くる」サービスどころか、即日に配送されるサービスは、利用者にはありがたいかもしれませんが、大変な社会的な負荷が予想されます。

それならば、「ゆっくりくる」という宅配便を許容することかもしれません。それはトラックで迅速に配送されるサービスと共に、船や鉄道を利用して数日かかって商品が到着するサービスです。それは、モーダル・シフトというトラックから船や鉄道などの大量輸送機関にシフトすることになります。


宅配便の再配達の増加で、さまざまな問題が起きていることは、広く認識されるようになってきました。しかし、約2割と言われる再配達率の高さよりも、このままではeコマースの急成長に、国内の物流がついていけなくなる可能性があります。社会的な負荷を認識して、まさに持続的な市場の成長のためには、大きな枠組の改革が必要という物流の課題を説明いたしました。

明日は、その枠組みの変革の手法としてのモーダル・シフトについて、おはなしをしたいと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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