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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コスト管理(1):原価企画、原価維持、原価改善 (企業戦略、生産管理/目代武史)

コスト管理(1):原価企画、原価維持、原価改善

目代武史 企業戦略、生産管理

17/07/20

今日は、生産管理の三大要素の2番目である「コスト管理」についてお話します。生産管理の三大要素は、その頭文字をとりまして「QCD」と呼ばれています。
Q(Quality):品質
C(Cost)  :コスト
D(Delivery):納期の管理

一口に「コスト管理」と言っても、管理の段階など目的によって違いがあります。初回の今日は、まず「コスト管理」の概観について説明します。

「コストを管理する」とは、どういうことなのでしょう。まず、企業が目指すべきコストの水準について考えてみたいと思います。
例えば、レストランで新しいメニューを開発したとします。その価格はどう設定したらいいでしょうか。
もちろんその材料費の仕入れにかかった費用や人件費、設備費などを考えながら、利益が出るようにということを考えますよね。諸々かかった費用の上に利益を乗せて価格設定をするというのが一つの価格設定の考え方だと思います。これはそのレストランが有名店であったり、山の上のレストランなど有利な立地にあったりする場合に成り立つ方法です。
しかし、そういう有利な条件がない場合、価格設定は、まずお客さんにとって受け入れ可能な水準を考えてやることが必要になります。市場において競争力を持つ価格水準を先に考えて、それでも利益が出るコスト水準を逆算する形になります。こうした形で設定されたコスト水準のことを「ターゲットコスト」と呼びます。
この場合、単純に食材費や人件費を積み上げただけではターゲットコストを満たせないかもしれません。そこで、食材や調理方法などを見直してメニューの質を落とすことなくターゲットコストを満足する工夫が必要になってきます。このように、市場価格から利益を差し引いて目指すべきコスト水準を定めていくコスト管理活動のことを「原価企画」または「コストプラニング」と呼びます。

次に、このようにして定めたコスト水準を日々の生産活動でいかに実現していくかという課題があります。食材の仕入れ値は日々変わっていきますし、例えば、厨房で調理の失敗などがあったりすると作り直しも必要になってきます。そうすると、食材が余計に消費されることになってしまいます。また、残業すれば残業代も払わなければなりません。このように、日々の生産活動の中でターゲットコストに実際のコストを合わせていく管理活動のことを「原価維持」と言います。

3つ目のコスト管理は「原価改善」、つまり「コストの削減」です。ターゲットとするコスト水準そのものを引き下げるという活動です。「原価改善」は、コストを生む仕組み自体が改善されていなければいけません。たまたま食材の仕入れ値が下がったために食材費が下がった場合には、これは原価が改善したとは言いません。ですから、例えば仕入れルートを変えるなど、仕入れの仕組み自体を改善する必要があります。

この中でも「原価企画」は、そもそものコスト水準を決めてしまうという意味で大変重要な活動になります。実は、製品のコストは、商品企画や商品設計の段階で大体8割方決まると言われています。例えば、メニュー開発の段階で食材としてフォアグラを使う、トリュフを使うなどと決めてしまうと、その後の段階でいくら頑張ってもなかなかコストは下がりません。「商品企画」の段階でコストの8割が決まるというのはそういう意味です。

2番目の「原価維持」には、通常「差異分析」という手法を使います。一般にコストは、金額と数量の積で求められます。例えば、「食材費」は「食材の仕入れ値」と「食材の使用量」の掛け算で求められます。また、「人件費」では時給などの「時間単価」と「労働時間」の掛け算ということになります。差異分析では、ターゲットコストと実際のコストの差が金額の変動によるものなのか、数量の変動によるものなのかを分析する手法です。

例えば、天候不良で野菜の仕入れが値上がりしたせいで食材費がターゲットを超過してしまったのか、それとも厨房で新人さんが増えたために調理の仕損じが増えて食材をいつもより多く消費してしまったのかといったことを分析するわけです。このように、コストを仕入れ値などの「金額の変動」と食材消費量といった「数量の変動」に分けた上でどちらが原因なのかを把握して対策を打つのが「差異分析による原価維持活動」となります。

3番目の「原価改善」はまさに改善活動になるのですが、原価改善の肝はそれが合理的な手段によってコスト水準を引き下げることにあります。そのためには、例えば料理自体のレシピを改善したり、調理方法自体を改善したり、食材の入手ルートを変更したりといったことが必要になってきます。決して質の悪い食材に変更したり、調理手順を手抜きしたりしてコストを下げてはいけません。

今日は「生産管理の3大要素」である「QCD」のうち、2番目にあたる「コスト管理の概要」について説明しました。コスト管理には、大きくコスト水準自体を決定する「原価企画」。狙ったコスト水準を日々守っていく「原価維持」。コスト水準の標準を引き下げる「原価改善」の3つがあります。コスト管理においてはこの3つの違いをしっかり理解して取り組む必要があります。

分野: 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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