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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > リバースイノベーション② (国際経営、国際物流/星野裕志)

リバースイノベーション②

星野裕志 国際経営、国際物流

17/06/22

昨日は、リバース・イノベーションという考え方をご紹介しました。従来の先進国で開発された最新の技術を使った商品を世界で展開するということとは逆に、新興国市場で開発された製品や技術を使って、先進国市場で商品を販売するということでした。
必ずしも新興国の企業が開発した製品だけではなく、先進国企業が新興市場向けに開発した製品を先進国市場に投入という例もあります。

前者の新興国企業の例では、昨日インドのTATAモータースの価格約22万円の自動車TATAナノや、中国の家電メーカーであるハイアールの小型冷蔵庫やワインクーラーの例をご紹介しました。後者の先進国企業の例では、このリバース・イノベーションの提唱者であるゴビンダラジャン教授らが着目したGEの中国やインド向けに開発した医療機器の先進国向けの販売です。

昨日は、こうした開発途上国向けの製品は、先進国の企業や市場に対して、ライバルにならないのかという話でした。

大阪商業大学の安室先生が、21世紀は新興国多国籍企業による「下からのグローバリゼーション」の時代になるだろうと言われています。先進国の多国籍企業にとって、従来の法律や特許といった枠組みで守られた「上からのグローバリゼーション」に対する挑戦と受けとめられています。

ということは、21世紀は新興国市場の企業が先進国の企業の脅威にもなるということです。安室先生は、新興国市場からのリバース・イノベーションを4段階で捉えられています。
まずは、第1段階ですが、先進国の多国籍企業が開発途上国の子会社に技術移転を行い、現地子会社が創意工夫をすることによって、新しい製品を開発することです。

第2段階は、新興国企業による模倣的学習と自国市場向け製品改良を挙げられています。かつては日本のメーカーもそうでしたが、優れた技術をもった欧米のメーカーから技術を導入したり、合弁事業を通じて最新の技術を学んで、それを自社の開発する商品に応用するということになります。

それが第3段階では、学習した技術を利用して、先進国にあるニッチ市場を獲得することであり、最終段階の第4段階では、新興国多国籍企業による下位の新興国市場への進出になります。例えば、中国の企業がインドやアフリカの市場を狙うということです。

新興市場のメーカーは、第2段階では自分の国の中で改良された商品を販売することですが、第3段階では先進国に、第4 段階ではその他の開発途上国とグローバルに事業を展開するということになります。
そうなると当然ながら、先進国や開発途上国市場で、直接的に競合することになります。先進国にも低所得層や低価格の商品を求める顧客は存在しますし、開発途上国になれば、先進国企業の苦手とする品質や機能は劣っても低価格という製品は、むしろ新興市場国の企業が得意とするところと言えます。

ただ、先ほどの安室先生が警鐘を鳴らされているのは、新興市場国企業の多国籍な展開について、必ずしも自前で開発した技術ではなく、また先進国の制度とは異なる緩い枠組みで、競争力を強化していることです。これを「インフォーマル・エコノミー」の台頭と呼ばれています。

「インフォーマル・エコノミー」というのを説明しますと、通常の法律や経済の枠組みであるフォーマルなエコノミーにおいては、特許制度などによる技術や知的所有権の保護、会計制度や法律による課税と納税義務、労働環境の規定などがあります。

そのような枠組みに縛られることなく、事業ができるとすれば、先進国企業に比べて、さらに競争力が高まることは容易に想像ができます。

今までにも、新興国におけるコピー商品や技術の盗用ということが、問題視されてきましたが、規制をしてもいたちごっこといったところがありました。これが単に新興国の国内市場だけではなく、これからはグローバルに展開される可能性があるということです。

先進国の企業は、そのような環境変化にどのように対応するかということも、今後は考えていかなくてはならないということになります。


今日は、新興国市場からのリバース・イノベーションとして、4つの段階があることを安室先生のご研究から紹介して、新興国の企業がインフォーマル・エコノミーで獲得した技術や競争力をもって、今後先進国や開発途上国で事業を展開する可能性についてお話しました。日本の企業にとっても、脅威になります

分野: 国際ロジスティクス 経営戦略 |スピーカー: 星野裕志

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