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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 触感の働き (マーケティング/岩下仁)

触感の働き

岩下仁 マーケティング

17/06/14


シリーズで人の五感を使ったセンサリー・マーケティングについてお話をしています。これまで視覚・聴覚・嗅覚・味覚についてみてきましたが、前回は触覚、その中でも接触についてお話をしました。今回はその続きで触覚についてのお話です。

前回は接触ということで、触ることでその製品の情報を得る情報的接触と、製品に触れること自体を楽しむ快楽的接触、2種類があることをお話しました。また、接触は他の感覚、例えば味覚などに影響を与えることもお話しました。今回は触覚の中でも、そのものの固さや柔らかさ、つまり触感にフォーカスしてお話を進めていきたいと思います。

実は接するものの触感は人の気分に大きな影響を与えています。例えば自分が歩く道を想像してみて下さい。固いアスファルトの道よりも柔らかい芝生の上を歩く方が、リラックスした気分になりませんか。実際、世界的な科学誌Science誌で、この触感を利用した面白い研究が2010年、アッカーマイトルにより発表されています。まず被験者を堅い木の椅子に座らせて、自動車を買うために販売店を訪れている状況を思い浮かべさせました。次にその人に購入希望価格を販売員に対して提示させます。100万円としましょう。
そしてその100万円の提案を拒絶されたという前提で、再提案してもらいます。この研究では同じことを今度は柔らかいソファーに座らせた状態でやってもらいます。その結果、ソファーに座った人は堅い木の椅子に座った人よりも大幅に価格を上げる傾向があったそうです。消費者は柔らかいソファーに腰掛けると交渉姿勢が柔軟になるということを証明しています。

このことから私たちがある状況を認識する場合、身のまわりの物体の触感、特にこの場合は固さに左右される面があると言えます。実際レストランの椅子が柔らかい方が堅いよりも評価は上がると言われますし、ごわごわしたお手ふきよりも肌触りの滑らかな柔らかいお手ふきを食前に受け取った方がそのお店の評価はより向上すると言われています。

もう一つ面白い実験についてお話します。スレピアン・エトール2011年の研究です。まず被験者を10人ずつくらいの2グループに分け、一方のグループの人には柔らかいボールを、もう一方のグループには硬いボールをそれぞれ一つずつ持ってもらいます。そして、性別が見分けにくい8人の人物の顔をコンピュータ画面で映し出して、それぞれが男性か女性か判断するように指示をしました。すると、柔らかいボールを握らせたグループは性別の曖昧な顔を女性と判断し、一方で硬いボールを握らせたグループは男性と判断する傾向があったことがわかりました。この実験から硬い或いは柔らかいという触感は、男女のカテゴリーの棲み分けに利用できるということが言えると思います。例えば消しゴムを男性向けならば硬い消しゴム、女性向けならば柔らかい消しゴムを開発する方がいいということですね。そうすると消費者はその消しゴムに触れただけで、どちらの性別向けの製品なのかを無意識に判断できます。

触感は言葉を話せないような幼児にも影響を与えることが出来ます。幼児を対象とした商品開発は通常困難を極めます。幼児は大人と違って言葉を話せませんので色んなことに回答できないということがあります。このような幼児対象の商品開発にセンサリー・マーケティングがとても役立ちます。最も簡単な方法は柔らかい素材を使うことです。柔らかい毛布やぬいぐるみには幼い子どもが安心感を抱き、不安感を和らげる効果があります。実際幼児のおもちゃには柔らかいものが多くありますが、実はこのことは幼児だけではなく大人にも応用できます。例えば生徒に集中してほしい塾の先生や、患者さんにリラックスしてほしいカウンセラーの方は、対象の人にぐにゃぐにゃしたボールやそういった柔らかい物体を持たせておいて話をするという方法があります。大人でも集中力が高まったり、リラックス効果が得られるということです。ですから、こういった商品は大人にも応用されているということです。

それでは今回のまとめです。
今回は前回から引き続き触覚、その中の触感についてお話をしました。接するものの触感は人の気分に大きな影響を与えます。前回お話した接触や今回お話した触感などの触覚を企業が上手く利用することで、ターゲットとする消費者の購買意向をより向上させることができます。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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