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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > サービスの生産性の上げ方 (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

サービスの生産性の上げ方

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

17/05/19

「サービス経営」についてお話ししていますが、今日は「サービスの生産性」についてのお話です。

最近、コンビニや宅配業者、飲食店など多くのサービス現場で人手不足が顕在化しており、どうにかして生産性を上げようとあちこちで騒がれ始めています。「生産性」はサービスのアウトプット、つまり、生み出されたサービス価値をそれに使った労働や資本といったインプットで割った指標になります。「生産性」にはいくつかの種類がありますが、サービスを語る時に1番重要なのが「労働生産性」です。これは、労働1単位、1人もしくは1時間の労働当たりの付加価値額を数値化したものになります。「付加価値額」というのはなかなか聞き慣れない言葉ですが、簡単に説明すると、売上高から仕入れや外注費など、外部に支払った経費を控除した金額のことです。よく日本のサービス業の生産性は、造業とか海外のサービスに比べて低いのではないかとこういう指摘を受けます。実はこの主張にはいくつかの怪しい点がありますが、今日はそこには深入りせずに、どうやったら日本のサービスの労働生産性を上げられるかについて考えてみたいと思います。


まず、「生産性を上げるにはどうしたらいいか」。多くの企業は生産性の向上をイコール効率化と捉えて、いかにサービス提供作業の無駄を省くかということを検討していますね。ただし、先ほど生産性の定義を申し上げましたけれども、生産性はアウトプットである「付加価値額」をインプットである「従業員数」とか「従業員の労働時間」で割った数になりますから、必ずしも分母のインプット、労働を減らすだけではなくて、分子の方のアウトプット、付加価値を増やす取り組みも生産性向上に大きく寄与するわけです。

すでに投入している「機械設備」や「人材」といったインプットを活用して、より多くのアウトプットを生み出す方法を考えることが非常に大事になってきます。分かりやすい例としてコンビニエンスストアがあります。今コンビニというのは物販だけではなくて、既存の店舗インフラや決済機能をどんどん活用して、公共料金の収納代行であったり、宅配荷物やクリーニングの受け渡しであったり、チケットの予約・販売といったサービスを拡張させて売上高の向上を図っているわけです。こういったすでに投入している労働力を上手く活用して売上・付加価値を増やす発想も大事になってきます。

それから2つ目の「企業生産性向上策」として、現在多くの企業が生産性向上のためにテクノロジーを活用して、人手による作業をITや機械に任せようという取り組みをしています。これはこれで大変効果的ですからどんどん進めるべきですけども、従業員の人手を代替する先として、ITや人工知能だけではなくもっと簡単に出来ることがあります。それは「お客さん」です。

「顧客との共創」
「共創」というのは、共に創ると書きますが、要するに作業の一部をお客さまに肩代わりしてもらって、従業員と顧客とが一緒になってサービスを完成させていくことで、従業員の方の作業工数を減らすことができます。もちろん、お客さまに作業を押し付けてはダメで、お客さまにとっても何かメリットがなくてはいけません。古典的な例でいくと、スーパーマーケットです。スーパーでは、お客さんが自分で商品を集め、レジまで運んで袋詰めすると、商店街にあったような八百屋とか魚屋で買い物するよりもその分お客さまは価格や品揃えのメリットを興じているわけです。レストランなどでよく見かけるビュッフェスタイルもその成功例の一つです。レストラン側としては、オーダーを受けたり料理をテーブルに運んだりといった給仕の作業を大幅に減らすことができると同時に、お客さんにとっても自分の食べたい料理を食べたいだけ選べるというメリットが出てくるわけです。そのため、お客さんとしても何か仕事を与えられているという感じはしませんよね。こうしたお客さん自身に動いてもらう発想というのをサービス現場ではもっともっと活用していいはずですね。

3つ目の生産性向上策として、「コンセプトを絞れないか」ということについても少し考えてみたいと思います。対象顧客や提供価値といったサービスのコンセプトの絞り込みは現場が注力すべき目標を明確にするため、オペレーションの負荷が一気に下がります。例えば、学習塾や予備校では、入校を希望する生徒に学力テストを課して一定の学力以上の生徒に入校を認めたり、あるいは習熟度別にクラス編制したりすることでクラスごとに提供する教育内容やレベルを上手く絞り込んでオペレーションの負荷を下げています。


最後4つ目に、「投入したインプットを無駄なく使い切る」という方法があります。つまり、労働力とインプットの稼働率を上げる仕組みもまだまだ検討の余地があります。以前にも申し上げましたが、サービスには「同時性」、サービスが消費されるタイミングに合わせてサービス提供に必要なキャパシティーを確保する必要があります。ところが、サービスは「同時性」とともに「消滅性」という特徴もあるため、使われなかった設備や労働力はそのまま価値を生まない資質となってしまいます。したがって、稼働率を安定的に高く維持する必要があり、そのために様々な工夫が可能です。もちろん需要予測の精度を上げてそれに応じた供給体制を築くこと、それからオフピーク需要への誘導することによって需要を平準化することが考えられます。

この「オフピーク需要への誘導をして需要を平準化する」というのは、お店・ホテルなどには通常需要に繁忙期とそうでない時期があります。そうすると設備が100%稼働する時と、10%、20%稼働していない時があるわけです。稼働していない時はもったいないので、忙しくない時期の需要を増やして、逆に100%以上の所の需要を減らすといった形で平準化を行います。この稼働率のことを考えると、実は様々なことが出来るのですが、今後は「供給サイド」で様々な工夫が出てくると思います。供給のキャパシティーを柔軟に変えるようになると、需要の変動に合わせて無駄のない従業員の配置や設備の確保が出来るようになります。最近は、ウーバーとかエアビーアンドビーといったシェアリングの仕組みがどんどん普及しつつありますので、今後は自社でサービス提供の資源を抱え込むのではなくて、外部資源を上手くシェア・活用しながら供給体制を組めるようになると生産性の向上に寄与すると思います。

では、今日のまとめです。
生産性向上は日本のあらゆるサービス現場が抱える課題です。幅広い対応をクリエイティブに生み出していきたいと思います。

分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

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