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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 顧客満足とサービス経営 (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

顧客満足とサービス経営

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

17/05/05

前回から「サービス経営」についてお話しています。前回は、「サービスとは何か」というお話でした。「ものづくり」と「サービス」は一見別物のように思われがちですが、企業活動はものづくりとサービスのミックスであり、サービスというのは全てのビジネスに必要なものである、というお話でした。

今日は、頭で分かっていてもなかなか実践ができない「顧客満足」についてお話しします。
「顧客満足」はどのビジネスにおいても重要ですが、サービス業ではその重要性が一段と益します。前回、サービスには形がないために広告による価値伝達が難しいとお話ししましたが、サービス業では口コミへの依存が大きくなり、好ましい口コミを形成するために「顧客満足」が欠かせません。

しかし、顧客満足重視の経営をしても現場ではなかなか続きません。なぜ顧客満足重視の経営は続かないのでしょうか。今日はその理由を考えていきたいと思います。

まず1つの原因は、顧客満足が企業の業績に繋がる効果を実感しにくいためです。実際に現場に行ってデータを集めてみると、顧客満足度と業績に繋がるリピート率や顧客単価といった経営指標は相関していません。顧客満足の重要性が定量的には確認できないことが多いのです。そうした状況では、顧客満足を第一に目標を設定しても、業績が落ち込んだとたんにその目標は覆され、顧客満足を忘れた押し込み販売を始めてしまうケースが散見されます。これまで様々な企業事情を見てきましたが、顧客満足なくして企業の成長は長続きしないというのが私の実感です。自身の会社データだけを見ていると顧客満足は本当に重要なのかと疑いたくなるのも事実です。そうした企業から相談を受けた際には、データの取り方や、データを見る指標を替えてみるように普段からアドバイスしています。例えば、顧客満足度の平均値を見て一喜一憂している企業がありますが、平均というのは解釈が難しい数値です。分析すべき対象というのは、実は5段階、10段階の評価をとった場合に最高点を付けてくれるお客様と、0や1といった最低点を付ける不満足なお客さまなのです。真ん中のスコアを付けるお客様というのは経営にとってはあまり影響がないため、極論を言うと無視してもかまわないのです。顧客の立場に立ってみると、「すごく良かった」とか、「不満足だった」ということがない限り、「まあまあいいかな」と3や4に丸を付けることが多く、悪い口コミもいい口コミもどちらもしない場合が多いわけです。従って、その後の影響を考えると最高点か最低点を付けた方々に対象を絞って考えていくことが大事になります。実はその他にも「顧客満足度」という指標自体を見直す必要があるかもしれません。顧客満足よりも業績向上との関係が定量的に確認しやすい指標として、「ネットプロモータースコア」、略してNPSと呼ばれるものがあります。これは、お客さまに「この企業を友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか」ということを0から10の11段階で評価してもらうものです。10点と9点を付けた人を「推奨者」。6点以下を付けた人を「批判者」とし、「推奨者の数」から「批判者の数」を引いた割合のことを「NPS:ネットプロモータースコア」と言います。
この指標は、単なる顧客満足よりも企業業績との相関が非常に確認しやすく、今急速に普及しつつあります。皆さんの会社でも導入を検討されてもいいのではないかと思います。この問いは、自分が満足するだけでなく、他の人に紹介した時にもきちんと満足出来るサービスかというところまで考えて回答されるため、より精度の高い指標と考えていいと思います。

それから顧客満足が続かない理由をもう1つ考えてみたいと思います。その1つに、「現場の負担が大きい」という点があります。顧客満足というのは、まじめな従業員からするとゴールの見えない戦いみたいなもので、顧客満足を追求使用すれば、お客さまがあれこれ投げてくるわがままに振り回されてしまうかもしれません。あるいは、一度満足したお客様が次に来る時には期待値が一段と上がっていて、前回と同じサービスをしても満足してもらえないのではないかと不安に感じる従業員もいるわけです。そうした不安を目の当たりにすると、現場を預かるマネージャーとしてもなかなか顧客満足を強く押し出す自信が無くなってしまうわけです。

これに対する処方箋として、1つには企業として自社のサービスのターゲットを誰にするか、どんな差別化をしたいかをはっきりさせることがあります。QBハウスをご存知でしょうか。10分1000円で髪を切ってくれるサービスですが、コンセプトが非常に明確なため、QBハウスに来て「シャンプーしてくれ」というお客さんはいません。そもそもターゲットがヘアスタイルにあまり凝る人ではない、伸びた髪を整えたいという人たちです。仕上がりに文句を言う人もめったに出てきません。しかし、QBハウスがコンセプトを明確にしていなかったらどうでしょう。店に来てシャンプーをしてほしいとか、もっとじっくりカットしてくれと言い出すお客さまがいてもおかしくありません。顧客満足を考えれば、現場は要望に応じるしかありません。そうなる前に、企業としてサービスのコンセプトを対外的に伝え、お客さまに適切な期待を持って来てもらうことが大事になってきます。

他にも、認知作用も非常に大切です。顧客満足はサービスに対する客観的な評価ではなく、あくまでもお客様の主観に基づくものです。そのため、心理学を応用することができます。例えば、「サービスのエンディングに力を入れよ」というのは現場でよく言われることです。人はサービスを受ける途中段階では平凡な感想だったとしても、最後に楽しい経験をすれば、その印象が全体に影響して全体の満足度も高くなる傾向があるため、エンディングが重要であるということです。それから、お客さまに選択肢を与えるというのも大事なことの一つです。例えば、アフターサービスでお客様のところを訪問する場合、訪問日程を無理して早くするのではなくて、候補日を複数提示して選んでもらうとより高い満足度を得られるという現象があります。

では、今日のまとめです。
顧客満足が企業の成長に繋がるのは間違いありません。その他に顧客満足の大切さを現場に納得してもらうことが経営者の仕事です。


分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

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