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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > サービスとは何か? (経営戦略、イノベーション、サービス経営/山口英彦)

サービスとは何か?

山口英彦 経営戦略、イノベーション、サービス経営

17/05/04

今日から複数回にわたって「サービス経営」についてお話していきます。初回の今日は、「サービスとは何か」というお話です。

「サービスとは何か」。いざ、その定義を問われると困ってしまいますね。
一般に、一次産業は「農林水産業」。二次産業は「製造業」。三次産業は「サービス業」という区分がありますが、ここで扱うサービス業の定義は、「一次産業にも二次産業にも属さない残りの産業」です。曖昧な定義のように感じますが、実は世の中で行われているサービス業の定義の多くがこのパターンです。
例えば、政府の出している統計などでも、注釈に「ここでのサービス業とは、非製造業から卸小売業と金融業を除いた産業」といった記載がされています。つまり、サービス業でない業種を列挙することで、残りがサービス業であるという形でしか定義ができていないわけです。この放送を収録しているラジオ局に勤めている方の職業はどこに分類されるかと問われた場合、製造業でも卸小売業でもないので、強いて言うならサービス業なのかなとサービス業を選択するわけですね。

では、サービス業をきちんと定義することは出来ないのかというと、非常に難しいですが不可能ではありません。経営学の世界では、伝統的にサービスをものづくりとの対比で捉えています。ものづくりを定義すると、「原材料というインプットに労働と資本設備による加工というプロセスを施して完成品というアウトプットを生み出す活動」と定義できます。これに対して、サービスはインプットもアウトプットも顧客(人)であり、施すプロセスは、加工ではなくて「Experience :経験」です。つまり、サービスというのは悩みや要望を抱えたお客様が従業員や設備、他のお客様と直接関わる経験を経ることで問題が解決したり、気分が変わったりするような活動と定義できます。例えば、教育サービスというのは、疑問を抱いた学生さんが教室で先生の指導を受けることで答えを掴むという機能を果たしていると言えます。そのため、サービスはものづくりと並んで企業が行う活動というふうに定義することができ、実は産業ではないのです。
サービスは産業ではなくて、機能或いは活動と言うことができます。例えば、家電業界は「ものづくり産業」、飲食店は「サービス産業」だと一般的には理解されていますが、先程申し上げた説明に従うと、家電メーカーの中でも、例えば販売店でお客様の相談にのったり、故障した製品を受けつけて直したりといった活動は「サービス」にあたります。あるいは、サービス業と言われる飲食店も全てがサービスだというわけではなくて、例えば食材を調理して料理を完成させるというのは「ものづくり」にあたる活動になります。ということは、飲食店の中にもサービスの部分とものづくりの部分があり、家電メーカーにもサービスの部分とものづくりの部分があるということです。これは製造業でこれはサービス業といった分類自体に無理があるのです。

先ほど述べたように、製造業に分類される企業でも家電業界のように必ずサービスの活動が行われていますし、サービスとものづくりのどちらの比重が大きいかという比重の違いだけなのです。もっと極論をいうとすると、最近の経営学ではサービス・ドミナント・ロジックといい、すべての経済活動はサービスであるという風に考える人もいます。言い換えると、サービスの中にモノを伴っているサービスとモノを伴っていないサービスがあるという世界観です。このサービス・ドミナント・ロジックは少し専門的な話になりますので、企業活動はものづくりとサービスのミックスであるという世界観でこの後の話を進めていきたいと思います。

サービスには4つの特徴があると言われます。一つは「無形性」です。形がないため見たり触ったりできないということです。二つ目は「変動制」です。サービスの内容はその都度変化します。レストランの食事にしても、いつどこで誰と何を食べるか、お客さまによって求めるサービスがその都度変わってきま。三つ目が「同時性」です。これは少しわかりにくいのですが、サービスは生産と消費が同じタイミングで行われるという特徴です。比較するとものづくりではあらかじめ工場で製品を作り、それをお客様の所に運んでいき、購入したお客様が後で消費をするといった時間的な隔たりがありますが、サービスはお客様と従業員が同じ場所に集って、そこで生産と消費が同時に行われるという特徴があります。最後に四つ目が「消滅性」です。サービスは提供されたその場で経験(消費)されるため蓄えることが出来ないという特徴を持っています。この四つの特徴が、サービスを扱うビジネスにおいて様々な難しさを引き起こしています。

その例として「無形性」について考えてみましょう。目に見える形がないわけですから、広告との相性が悪いと言われます。物があればその物を映像で映し出したり、その物のスペックをラジオのCMでお伝えしたりすることができます。自動車や家電などはそういった映像とか、スペックを数字で見せることで、その魅力を顧客に理解してもらいやすいわけですが、サービスは形がないためになかなか顧客に伝えることができません。
その他にも「変動性」があるため、担当する従業員、或いはサービスを受けるお客様によって、サービス品質にばらつきが出てしまうという問題も生じやすくなります。物を買うという行為一つとっても、どの店員さんに話を聞くかということが、その商品を購入する・しないということと結びつきます。そのため、サービスを経営する側としては、品質のばらつきをなんとか抑え込まなくてはいけないわけです。

次回以降、こうしたサービスの特徴から生じる問題を扱いながら、どうしたらお客様にとって快適で、企業にとって利益につながるサービスができるかについてお話をしていきたいと思います。

では、今日のまとめです。
サービスを知らずしてビジネスの成功はありません。なぜなら、全てのビジネスにはサービスが包含されているからです。


分野: 経営戦略 |スピーカー: 山口英彦

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