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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > バブルと景気 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

バブルと景気

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

17/05/18

今回は、バブル期の景気について御話しします。バブル期の景気は、一言で言えば絶好調でした。高級車が飛ぶように売れ、工場が次々と建ちました。飲み会が終わってもタクシーがつかまらないからもう一軒行ったとか、人手不足のために納期が遅れる、といった話が頻繁に聞かれました。
景気が良くなった理由は、いくつかありますが、第一は人々が日本経済の先行きに自信を持っていたからです。21世紀は日本の時代だと思えば、企業は積極的に投資を行います。サラリーマンも、失業の心配などせず、これから増えていく給料の事を夢見ながら贅沢をします。景気は気から、と言いますから、皆が楽観的に考えた事で景気が良くなったのです。

地価や株価が上がった事も、景気にプラスでした。都心の狭い土地を数億円で売って、郊外に豪邸を建てた人なども大勢いました。株を売って高級車を買った人も大勢いました。土地や株を売らなくても、持っているだけで気が大きくなって贅沢をした人も大勢いました。こうして景気が良くなることを、資産効果、と呼びます。
私事ですが、私も贅沢をしました。私は当時、30歳前後でした。銀行に入ったときに借金をして180万円で自社株を買ったのが、それがバブル期に1800万円になりましたから、「自分は大金持ちだから老後の心配は不要だ。給料は全部飲んでしまおう」と考えたのです。
これには後日談があって、自社株がバブル崩壊後に18万円まで値下がりしたのです。その御話しは後日改めてお話しします。
税制の歪みも、景気の拡大に寄与していたと言われています。不動産価格が上昇すると、相続税の対策として、「借金をして更地に家を建てる」人が増えました。借金は相続財産から差し引かれる一方で、家屋は建築費よりも低い価格で相続財産として計算されたのです。こうして住宅投資が活発化したのです。
景気が過熱したことは、人手不足を招きました。建設ラッシュでしたから、建設労働者は大幅に不足していましたし、各工場も増産に忙しかったので、臨時雇用を増やしました。建設労働者や工場労働者といった即戦力だけではなく、学生の就職戦線も売り手市場となっていました。各社とも、将来の発展のために必要な人材を確保しようと競い合って大量採用を行っていたからです。

景気には、一度上を向くとそのまま拡大を続けるという性質があります。たとえば企業の売り上げが増えると生産が増えるので失業が減り、残業が増えます。サラリーマンは所得が増えるので消費をします。また、企業は新しい工場を建てますが、そのためにはセメントや鉄や設備機械を注文するので、セメント会社などの生産が一層増えることになるのです。
こうして景気が拡大していきますが、通常であれば、ある程度で止まります。それは、景気が拡大を続けるとインフレになるので、これを防ぐために日銀が金融を引き締めて景気をわざと悪くするからです。
しかし、バブル期には景気が拡大してもインフレにならなかったので、日銀は金融を引き締めませんでした。そこで、景気はいつまでも拡大を続けたのです。インフレにならなかった理由は、当時円高が急激に進んでいたことでした。輸入している原材料などの価格が円高で大幅に低下したため、その分と好景気による物価上昇分が打ち消し合っていたのです。
再び私事で、しかも余談ですが、私が景気の調査をはじめたのがバブル期でした。その時に強烈に印象に残ったのが、全員が贅沢をすると全員がハッピーになれる、という事です。金は天下の廻りものなので、誰かの消費は誰かの所得になり、消えて無くなってしまうわけではないからです。一人だけが贅沢をすれば、その人は破産してしまうかもしれませんが、皆で贅沢をすれば、皆の所得が増えるので、大丈夫なのです。

たしかに、バブルは数多くの後遺症を残しましたが、その多くはバブルの後遺症であって、好景気の後遺症ではありません。好景気自体は素晴らしい物なのです。
当時、サラリーマンの間では、「住宅価格が上がり過ぎたので、一生かかっても自宅が買えない」という不満がたまっていきました。政府日銀がバブルを潰そうと考えたのは、こうした不満に応えるためだったのです。これも、バブルの難点であって、好景気の難点ではありません。
最近の状況は、これと正反対です。以前にも御話しましたが、皆が倹約するので物が売れず、皆が貧しく暮らしているのです。残念なことです。

まとめ:バブル期の景気は、絶好調でした。人々が日本経済の先行きに自信を持っていたこと、株価上昇による資産効果、金融の緩和などが原因でした。景気の好調が一層人々の自信を深める、といったスパイラルも発生していました。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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