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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 高度成長期 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

高度成長期

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

17/05/02

今回は、高度成長期の話をします。今とは全く違う時代の話ですが、かえって今との比較で考えると、いろいろな事が見えてくると思います。
高度成長期というのは、戦後の復興が10年ほどで終わった1955年ころから、石油ショックが起きた1973年までの期間を指します。平均すると毎年10%近い経済成長を続けていた時期です。
経済が成長するためには、需要と供給がバランスよく伸びていく必要があります。需要が強すぎるとインフレになってしまいますし、供給だけが強いと売れ残って不況になってしまうからです。

需要と供給がバランスよく伸びるということについて具体的にみていきましょう。
高度成長期の日本は、需要は旺盛でした。給料が毎年大幅に上がる一方で、テレビや冷蔵庫や洗濯機などが大量に生産され、庶民の手が届く値段になってきたことで、個人消費は順調に伸びていきました。設備投資も、新しい工場が次々と建てられて、鉄やセメントや設備機械が飛ぶように売れました。大勢の若者が農村から都会に出てきて結婚したので、住宅も大量に必要となりました。
一方で供給力も順調に伸びていきました。農村に化学肥料とトラクターが来ると、農村は労働力が余るようになりました。そこで中学を卒業した若者が、集団就職列車に乗って都会に働きに出るようになりました。
その頃都会では、新しい工場が次々と建ったため、労働力が圧倒的に不足していました。そこで、農村から出てきた若者たちは、「金の卵」と呼ばれて重宝されたのです。
日本の工場はほとんど焼けてしまいましたから、新しい工場を建てる必要があったのですが、戦前からの優秀な技術者が残っていましたし、アメリカなどから新しい技術も導入して、新しい工場が次々と建てられたのです。
高度成長期の前半は、ドルが不足していました。後半は、労働力が不足していました。

では、高度成長期の前半にドルが不足していた理由についてみていきましょう。
日本は資源が乏しい国です。石油も鉄鉱石もほとんど採れませんし、それ以外にも輸入しなければいけない資源がたくさんあります。資源を輸入するためにはドルが必要です。ドルを稼ぐためには、何かを輸出して代金としてドルを稼ぐしか無かったのですが、日本は、戦争で工場が焼けてしまったので、マトモな物が作れなかったのです。
そこで、政府はドルの事を最重要に考えました。まず、ドルが稼げそうな輸出企業を色々と優遇しました。銀行も、政府の意向を受けて、輸出企業に優先的に資金を貸し出しました。
そして、輸出企業の稼いできたドルは、資源など、国内では作れないものを輸入するために使ったのです。このことは、「国内で作れるものは国内で作れ」という事を意味しています。今なら、洋服は中国製品の方が安いから、中国から輸入しよう、という事になるのですが、当時はそうではなかったのです。
こうして輸出企業を育て、資源以外のものは国内で作るように頑張ったため、高度成長期の後半になるとドルは足りるようになってきました。

高度成長期の後半は、労働力が足りず、農村から金の卵たちが都会に出てきたのですが、それだけでは足りないほど工場がたくさん建ったわけです。工場だけではありません。日本が豊かになり、政府には税金が入りましたから、日本中に橋や道路が大量に作られるようになりました。そのためには大勢の建設労働者が必要でした。物を運ぶためにはトラックが必要で、大勢の運転手が必要になったのです。
農村ではトラクターが導入されて労働生産性が上がりました。一人あたりの生産量が増えたのです。都市でも、新しい機械が導入され、労働生産性は大幅に上がりました。しかし、それを上回る需要の増加と生産の増加があったのです。
日本経済が高度成長を成し遂げる事が出来たのは、日本人が頑張った事に加えて、日本人が勤勉で倹約家であった事が大いに貢献しました。
日本人が勤勉に働くので、多くの物が作られます。一方で、倹約して余り物を買わないので、作った物が余ります。これが工場を建てるために使われたのです。日本人が働かなければ、少ししか鉄が作られず、せっかく作った鉄を皆が洗濯機や冷蔵庫に使ってしまったら、工場を建てるための鉄が不足してしまったかも知れないわけです。
お金の面でも同様です。日本人が稼いだ給料を全部消費してしまったら、銀行に預金が集まりませんから、企業が銀行から借金することができず、工場を建てることが出来なかったでしょう。
高度成長期は、物価が上がり、給料がそれ以上に上がっていました。
マイルドなインフレでした。労働力が不足していたので、各企業は賃上げをして労働者を確保しようとしました。企業によっては、労働生産性が上がっているので、高い給料を払っても大丈夫な所がある一方で、企業によっては労働生産性が上がらないので、高い給料を払った分は値上げをしなければならない所もありました。
製造業の工場は機械化が進んでいたので、給料が10%上がっても一人当たりの生産量が20%増えれば何も問題ありませんが、たとえばタクシー会社は機械化によってドライバーがこなせる仕事が増えるわけではないので、ドライバーの給料を値上げする分だけタクシー料金を値上げする必要があったのです。

まとめ:高度成長期は、需要と供給がバランスよく伸びました。前半はドルが、後半は労働力が不足しましたが、それを乗り越えて平均10%弱の成長を続けたのです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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