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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > イギリスEU離脱の通知と交渉の開始 (企業財務 M&A/村藤功)

イギリスEU離脱の通知と交渉の開始

村藤功 企業財務 M&A

17/05/15


今日はイギリスのEU離脱通知と交渉の開始についてです。ご存知のように、去年の6月に国民投票を実施し、EUから離脱することになりましたが、なかなか離脱通知を出しませんでした。EUに早い提出を求められていましたが、今年(2017年)の3月末になってやっと出しました。基本的に2年以内に離脱交渉を行う事になっているので、今年の3月末に出したということは2019年の3月末までが期限です。では何を交渉しないといけないのでしょうか。どういう条件で離脱するかという事と、離脱後にEUとどういった関係を持つかという2つの主要な点が挙げられます。後者に関して例を挙げると、離脱後の将来にどういった通商関係を持つかということがあります。イギリスはこの2点に関して交渉する意思があるのですが、EU側は離脱交渉でEUの提示する離脱条件をイギリスが承諾しない限り、通商交渉を含む将来協定の話をする意思はないとの見解です。イギリスとしては、可能な限りEU市場にアクセスする交渉を早くしたいとのことですが、EU側は離脱条件として600億ユーロを払うように求めています。今迄EUに加盟していたイギリスはEUの一部として払うべきものがあること、加えてイギリスに置いてある様々なEU施設の移転費用や離脱するにあたって払うべきお金があるので、それらを払う話に合意してもらってから離脱後の将来の話をしていこうというのがEU側の主張です。離脱するので支払いをする意思のないイギリスと600億ユーロの支払いを求めるEUが噛み合わず、大きな違いがあります。

交渉の期日についてですが、EU交渉担当のバルニエ氏は来年2018年の秋までに離脱条件を決めるように求めています。2018年の秋に設定した理由としては、半年くらいはイギリス議会やEU議会で決めた事を承認するのに時間がかかるだろうと見込んでいるからです。そして2018年秋から半年後が2年後の2019年3月になります。ですが、これは離脱交渉だけの話なので、通商交渉含む将来協定に関しては離脱交渉の件が決まってからの話になります。

EU側ではこのようになっていますが、イギリスとしては早く将来協定の話をしたい状況です。ただ、EUの意志は固いので、将来協定が無いままに、つまり、通商条件を含む将来協定が全くないままに離脱だけするという可能性が高まってきています。そうなると、WTO(World Trade Organization)という世界中の貿易を管理する協定があるのですが、基本的にはそれに従った通商ルールになるというだけで、イギリスは全く特別ではない立場になってしまうため、イギリスはとても困ることになります。イギリスにとってEUは、イギリスの貿易の半分ほどを占める大きな相手国です。ですがEUにとってみればイギリスは全体の10%くらいしか占めておらず、大したことではありません。このことから、通商交渉の重要性はイギリスにとってはこの上なく重要なものの、EUにとっては大したことではないため、払ってもらうものを先に払ってもらう事の方が重要です。このように、イギリスにとっては交渉の状況が厳しくなりそうなのでメイ首相は頭を抱えています。EU離脱に関してイギリスでは、国民が移民制限を求めているわけですが、移民制限とEU単一市場へのアクセスの両方を確保することが可能だと甘く見ていた面があります。しかし、このことに関してはEU側の両方は許さないという強い意向を受け、移民制限のためには単一市場へのアクセスを諦めると今年の1月に宣言しました。イギリスは元々、保守党と労働党の2つの主要政党があります。保守党は移民制限のためには単一市場からの撤退も仕方ないという強硬離脱派と離脱するにしても単一市場へのアクセスを最大限確保しようという穏健離脱派に別れていた中でメイ首相が強硬離脱派で今リードしようとしています。一方で労働党は穏健離脱派です。メイ首相は、EUとの様々な交渉を通して国内を固めておかないと交渉にならないということが分かって来たのでやむを得ず元々2020年に予定していた総選挙を6月8日にすることにしました。この間の5月5日に地方選挙で保守党が圧勝し、今のところ6月8日には保守党圧勝の見込みになっています。今イギリスでは強硬離脱派の考えに従い、移民を阻止するためには一度単一市場から退場せざるを得ないという状況です。その結果当分EUとの貿易交渉が出来る見込みはありません。

それでは今日のまとめです。
イギリスが去年の6月の国民投票でEU離脱を決定してから今年の3月に離脱通知を出しています。メイ首相は移民政策を重視して単一市場から撤退する事を表明しましたが、離脱条件について国内で争いがあったため、国内を固めるべく6月8日に総選挙を予定しています。本当は2年以内の2019年の3月までに離脱協定のみならず、将来協定まで合意したいところですが、EUはイギリスが離脱条件に合意しない限り通商交渉に応じない方針です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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