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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > センサリーマーケティングという新たな視点 (マーケティング/岩下仁)

センサリーマーケティングという新たな視点

岩下仁 マーケティング

17/04/28


今回から数回にわたって、近頃マーケティング界で注目されているセンサリー・マーケティングについてみていきましょう。

センサリーは感覚という意味です。感覚は文字通り視覚や聴覚、或いは嗅覚、そういった五感のことで、近年企業が新製品の開発や店舗のレイアウト、出店企画・計画の際にこの消費者の感覚への影響を重視し始めています。まず始めに視覚、すなわち目に注目したセンサリー・マーケティングについてみていきましょう。視覚に注目したセンサリー・マーケティングの多くは我々の目が有する錯覚を上手く取りいれており、これを利用することで、実際のもの或いは空間を企業の望む方向へと誘導しています。

皆さんの大好きなディズニーランドを例にとって考えてみましょう。ディズニーランドはまず入り口を入るとお城までの道が見えてきます。そして大抵の方がとても近いなと感じられると思いますが、ここにセンサリー・マーケティングの視点が取り入れられています。実際にはシンデレラ城への道が少しだけ上り坂になっていて、実際の距離よりも短くなるような設定になっています。加えて、両端にワールドバザールというお店が並んでいますが、実は2階のように見える部分というのは、1階の高さが100%だとすると大体7割ぐらいの縮尺で建てられており、さらにその上の3階部分は50%の縮尺で建てられていて、このことによって建物が実際よりも大きく感じられるように工夫されています。ワールドバザールを抜けるとシンデレラ城の前に着きます。高さは約51m程と言われていますが、実際はそれ以上に見えると思いませんか。このお城も城の石垣やタイルの大きさが意図的に上に行けば行くほど小さく作られています。実際より60m、一番高い尖塔と呼ばれる塔の部分は2倍に見えるような設定になっています。このようにディズニーランドは視覚の錯覚を利用して実際よりも歩く距離が短く、建物はより大きくなるように工夫されています。

他にも視覚の錯覚を利用したものの一つに直線距離バイアスというものがありますので、この例をみていきましょう。これは実際の距離が遠くても、目に見える距離が近ければ実際よりも近いだろうと人が判断してしまうタイプの錯覚になります。例えばスーパーに車で買い物に行った時のことをイメージして下さい。郊外店の大型ショッピングモールでは、大きな駐車場を併設しているかと思います。ここで仮空いている駐車スペースが2か所あるとします。一方が駐車スペースから入口が近くに見える場所、もう一方が入口が遠くに見える場所です。恐らく入口近くに停めたいという方が多いでしょう。ですが、この駐車スペース、実際は入口から車までの歩行距離は同じで、入口から近く見える方は他の駐車スペースがあるため周囲に注意しなければならなりません。また、逆に入口が遠くに見える方が動線に無駄が無く、歩行距離はむしろ近い場合があります。実際のところ多くの消費者は入り口が近くに見える方に停めている方が多いようですが、これが直線距離バイアスという視覚の錯覚になります。実際のビジネスにおいて行列の並ばせ方を考える際にこの直線距離バイアスは非常に有効です。例えばテーマパークに行った時のことをイメージしていただくと、大抵の場合アトラクションの前には長蛇の列が出来ていますが、直線距離バイアスを考慮する場合、運営するレジャーランドは通路はジグザグでもいいので、アトラクションの入口がなるべく近くに見えるようにした方が、並ぶ人は実際の長さよりも行列を短く感じるということになります。

ここで最初の方で紹介したディズニーランドについての話を思い出していただきたいのですが、行列はジグザグに作られています。このようなジグザグ行列によって、入口までを近くに寄せて何回も折り返しを付けることで、お客さんを列が実際よりも早く進んでいくような気持ちにして、待ち時間が長く感じないにする狙いがあります。実際にディズニーランドは直線距離バイアスの視点を考慮していると言えますね。

身近なところでもこの直線距離バイアスは色々な所に取り入れられています。例えば銀行のATM、大抵はジグザグに並ぶことが多いのではないでしょうか。こうすることで実際の行列の長さよりもATMまでの距離を短く見せるということで、距離を短く感じさせています。先ほどのアトラクションにせよ、ATMの行列にせよ、直線距離バイアスを考慮する際には制約条件があります。ATMの例で言えば、スペースの問題は避けて通れないでしょう。つまり、スペースが狭すぎて直線しか行列が作れないような店舗では行列に選択の余地がありません。

それでは今回のまとめです。今回からセンサリー・マーケティングについて話をすすめています。今回は特に視覚についてお話をしました。ポイントは視覚には様々な錯覚があるということです。この視覚の錯覚を利用することで建物を実際より大きく見せたり、行列の長さを実際よりも短く見せたりして、消費者の満足を高めたりストレスや不満を軽減することができます。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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