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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 儲けの構造 第2回:安く作るには? (テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営/金子浩明)

儲けの構造 第2回:安く作るには?

金子浩明 テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営

17/04/03

前回は儲けの構造の第1回ということで、「どうしたら高く売れるか」ということについてお話しました。今回はその続きです。企業の利益は、一つの製品やサービスの単位に分解することができます。一つ一つの製品やサービスの利益の集合が企業の利益になるからです。一つ一つの製品やサービスが儲からなければ、全体としては儲かりません。その逆もしかりです。一つの製品やサービスの単位で儲けの仕組みをシンプルに分解すると、「高く買っていただく」か、「安く作る」かの2つになります。前回は「高く買ってもらうための戦略」についてお話しました。今回は「安く提供するための戦略」についてお話します。

では、儲かっていそうだけれども決して高くない製品にはどんなものがあるでしょうか。
「UNIQLO」や「ニトリ」の商品はお値段以上に感じますね。つまり、安売りではなく品質の割に安いと感じるということは、安く作りつつ良いものができているということです。では、こうした会社はどうやってお値段以上を実現できていると思いますか。単に「安かろう、悪かろう」ならば話は単純ですね。お金をかけないから粗悪な原材料を使って良いものができない。しかし、これらの会社は違います。

では一体どんな秘訣があるのでしょうか。まず目につくのが「カリスマ経営者」です。例えばUNIQLOやニトリというのは社長がテレビや雑誌などのメディアによく登場しています。では、カリスマ経営者がいたら安く作れるのかというとそう簡単なことではありません。

しかし、カリスマ社長のもとにつき従う社員のモチベーションは高いでしょう。また、ニトリやUNIQLOというのは製造業ですから、人件費の安い海外で生産することによってコストを下げているということも理由の一つでしょう。ただし、ここで重要なことは、他の会社も同じことをやろうとすると企業間の差がつかなくなるということです。重要なことは、他社よりもお値段以上を実現できてるかどうかです。

では、UNIQLOやニトリは何が違うのでしょか。これを考えていきたいと思います。コストには2つの種類があります。「外部に支払ったお金」と「内部にかかった費用」です。「外部に払った費用」というのは、例えばレストランで考えると、料理に使う農産物の購入にかかる原材料費、あるいは光熱費などです。では、外に出ていく費用を下げるにはどうしたらいいでしょうか。値下げ交渉するのも一つですが、どうすれば下げてくれるでしょうか。

大量に買うからその分安くしてくださいという交渉の仕方があります。この典型がマクドナルドのように世界的に展開しているチェーンの飲食店です。原材料を大量に買い付けることによって他よりも安く仕入れることが可能になったわけです。では、他にはどういった方法があるでしょうか。一つには「材料の無駄を省く」という方法があります。材料の無駄を省けば廃棄が減りますから、買った分をすべて料理に使うことが可能です。それから「代替する材料を見つける」という方法もあります。例えば、本物のイクラの代わりにフェイクのイクラを使うなどです。これはきちんと口外する必要がありますが、代替する材料を見つけてくることによって安く作れます。

では、「中にかかる費用」、レストランの運営にかかる費用を下げるにはどうしたらよいでしょう。一つには「調理方法を変える」という方法があります。例えば、サンドイッチやハンバーガーを作るには4~5つの工程がある場合、それを3工程に変えただけでひと手間少なくなります。そうすると少ない人手でキッチンを回すことができます。あるいは、そもそも人がやっていた工程を機械でやってしまうことによって効率を上げるという方法もあります。機械の場合は、実は「稼働率」が非常に重要になります。なぜなら、機械は購入する際にお金がかかります。例えば100万円の設備を買ったとします。100万円の設備を買ったとして、それを動かさなければその機会は無用の長物となります。しかし、100万円の機械を買って100個ものを作れば、1個当たり1万円のコストはかかりますが、機械使ったことになります。もし100万円の投資をして1000個作る、あるいは1万個作る、10万個作るとなるとどうなるか。1個当たりが負担しなければならない設備のコストはどんどん薄まっていきます。これを「規模の経済」といいます。人と違い機械というのは動かしたら多少メンテナンスが必要ですが、多くのものを作れば作るほど最初にかけたコストが薄まっていきます。「規模の経済」の典型が半導体のような非常に高い装置が必要な産業です。たくさん作れば作るほどコストが分散することによって価格が下がっていくわけです。実はこれは人も同じです。人は機械のように永遠に稼働することはできませんが、レストランなどランチ時はお客が多く、ランチからディナーの間はお客があまり来ないということであれば、ピーク時だけアルバイトの人を増やしてなるべくお客がいる時に働いてもらい、ぼーっとする時間を減らしていくということも大事です。あるいは、料理もできてホールもできるような多能工にすることによって常に仕事を与えていくことで稼働率が上がります。

重要なことは、内部の費用を減らすには「機械や人の稼働率を高める」ということです。「規模の経済」というのはただ単に多くのものを作ることではなく、ある設備や人を有効に稼働させるということです。それによって1個にかかるコストを様々な製品にたくさん分散していく。それによってコストを下げることを「規模の経済」といいます。低コストで有名なのはトヨタです。トヨタは大量生産によって規模の経済を実現していますけれども、他よりも優れているのは「無駄を取ること」と「稼働の平準化」です。他にも様々な経済効果はありますけれども、もっとも業界の中で低コストを実現する上では、やはり規模の経済が非常に重要になってきます。

では、今日のまとめです。
安く作るには、他の企業がまねできない低コストの仕組みを実現することが必要です。その中でも最も重要なカギは、「規模の経済」です。「規模の経済」というのは、そこに投資した設備やそこに存在している人、その人や設備がどれだけ効率的に稼働したか、ということで決まってきます。たくさん作るだけではなく、効率的に稼働するということが大事です。この二つを他社以上に使いこなすことができれば、お値段以上の価値を提供できるでしょう。

分野: 技術経営 経営戦略 |スピーカー: 金子浩明

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