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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 品質管理(6):品質の造り込み (企業戦略、生産管理/目代武史)

品質管理(6):品質の造り込み

目代武史 企業戦略、生産管理

17/04/07

 今日も生産工程における「品質管理」のお話です。今日のキーワードは、生産工程での「品質の造り込み」です。
 日本の生産現場では、「検査は品質を作らない」という格言があります。前回、生産工程における品質検査の話をしましたが、品質検査というのは、生産工程の最後や途中で生産物の良品・不良品の判別をしていくことです。品質基準と公差を厳しくしたり、検査を頻繁に行ったりすることで、お客さまに不良品を出荷してしまう確率を抑えることができます。しかし、検査はあくまで検査にすぎません。生産工程が変わらない限り不良の発生自体を抑えることはできません。これが「検査は品質を作らない」と言われる所以です。

 そこで、日本の生産現場では「品質の作りこみ」が重視されています。「品質を作りこむ」というのは非常に日本的な表現で、外国人にはなかなか伝えにくい考え方です。
 では、生産工程における「品質の作りこみ」というのは一体何でしょうか。感覚的には、生産プロセスの各工程で一つ一つの作業が間違いなく実行されることで生産物の品質が確保されていくイメージです。質の良い素材を使って、きちんと整備された設備で、正しい手順に基づいて作業していけば理屈の上では不良は生じえないというロジックです。

 前回、品質検査には三つの考え方があるとご紹介しました。「不良を見つける検査」、「不良を減らす検査」、「不良を作らぬ検査」です。先程、「検査は品質を作らない」と言いましたけれども、ここで言う検査は、「不良を見つける検査」と「不良を減らす検査」のことです。いずれも根底には出来上がってしまった不良をいかに見つけるかという考え方があります。
 一方で、「不良を作らぬ検査」は、不良が生まれること自体を防ぐことに力点を置いています。そして、この「不良を作らぬ検査」が「品質の作りこみ」に深く関わっています。

 では、「不良を作らぬ検査」とはどういったものでしょうか。その典型が「自主検査」です。これは、作業者自身が自分の加工した部品を自分でチェックすることです。例えば、素材をコケシの様な形に削って加工する工程があったとします。その時に材料を削りすぎたり、削り足りなかったりしたら、直ぐに作業者自身が気づくことで次の工程に不良品を渡すことを防ぐことが出来ます。
 ここで前回も「作業をした本人が自分で作ったものをきちんとチェック出来るのか」という話が出ましたが、特に大量生産で次々と製品が加工されていく場合とか、自分でをいちいち計測器で測っていくのは非常に大変にです。
 そこで役に立つのが、「ポカヨケ」というものです。「ポカ」はぼんやりミスのポカで、「ヨケ」は避けるのヨケです。ポカヨケという言葉は、生産管理の世界では今や国際的に通用する用語になっていまして、ローマ字でそのままPOKAYOKEと書いてそのまま通じる言葉になっています。元々日本で生まれた言葉ですが、外国でもローマ字でPOKAYOKEと書いてあります。勿論、それは「生産管理の世界では」という限定付きの話になります。

 さて、ではポカヨケですが、作業間違いを簡単な方法で防いだり、不良を検知したりする簡易的な道具や仕掛けのことを言います。例えば、紙の束を切り落とす裁断機には、通常スタートボタンが二つ付いており、右手と左手で同時にボタンを押さないとカッターが作動しないようになっています。腕は二本しかありませんから、このように二つのボタンで左右の手で同時に押すように設計にすることで、カッターで指を怪我するような不慮の事故を防ぐわけです。
 その他にも、例えば部品を2cmの高さまで削って次の工程には滑り台の様な装置で加工品を渡していく工程を想像してみてください。この時、滑り台に2㎝の高さに仕切り板の様なものを設置しておけば、削り足りない部品は引っかかってしまって滑り台を通過出来なくなり、きちんと削られたものだけが通過していくことになります。そうすることで加工に不良があったことが即座に分かるわけです。これもポカヨケの一種です。
 このように、作業者がいちいち検査しなくても作業の自然の流れの中で間違った作業をしない、あるいは間違った加工品が即座に検知される仕掛けを織り込むことによって、不良を未然に防いだり、発生してしまった不良に即座に気づいたりするようにするわけです。これが「不良を生まない検査」であり、工程での「品質の造り込み」にあたります。
 このようなポカヨケの考え方は、私達の身近な工業製品にも広く応用されています。例えば、車の運転の際、オートマ車ではギアをパーキング「P」かニュートラル「N」に入れていないとエンジンが掛からないようになっています。もしもギアがドライブ「D」でもエンジンが掛かるようになっていたとすると、エンジンをかけた瞬間に車が飛び出してしまい、大事故につながりかねません。
 このように、ポカヨケのようなちょっとした創意工夫で、事故や不良の発生を劇的に抑えることが出来ます。こうした創意工夫こそが、日本のモノ作りの競争力を支えてきたわけです。

 では、今日のまとめです。生産工程における「品質の造り込み」とは、各工程における作業者の自主検査によって、不良品や不良作業を源流から生まないようにする取り組みです。品質の造り込みをサポートする簡易的な仕組みや仕掛けをポカヨケと言い、生産現場の創意工夫により様々なポカヨケが生み出されています。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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