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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 品質管理(5):品質検査の考え方 (企業戦略、生産管理/目代武史)

品質管理(5):品質検査の考え方

目代武史 企業戦略、生産管理

17/04/06

 今日は高い品質を実現するための「品質検査の考え方」についてお話します。前回、客観的に品質を管理するためには、品質基準と公差を設定することが必要だという話をしました。

 この「品質基準」と「公差」を生産物に適用することで、品質検査を行うわけですが、その目的によって三つの考え方が存在します。
 第一の考え方は、「不良を見つけるための検査」です。典型的なのは「出荷検査」です。完成した製品を出荷する前に最終確認して、不良が発見されれば取り除き、良品のみを出荷するというものです。別名「分別検査」とも言います。
 例えば、自動車工場では、組み立て工程の最後に最終検査工程が設けられており、完成した車が徹底的に検査されます。この最終検査工程ですが、一体どれくらいの検査項目があるかご存知でしょうか。トヨタ車の場合、その項目数は1400項目にものぼります。更に高級車のレクサスの場合では、1600項目あります。非常に細かくチェックされるわけです。こうした念入りな検査がお客さまに不良品を渡さないようにする為の防波堤の役割を果たしています。しかし、不良をみつけるだけでは不良自体は無くなりません。不良の廃棄や、修繕の為のコストがかさむばかりです。

 そこで、第二の検査の考え方が出てきます。これが「不良を減らすための検査」です。これは統計的品質管理として知られています。生産工程の最後、若しくは途中でサンプリング検査を行い、不良を統計的に検出しようというものです。この「統計的に」というのがミソで、要は不良の発生を確率現象として捉えるわけです。
 例えば、サイコロ振って1が出る確率は、理論的には6分の1です。ある製品を作るために必要な部品についての統計を取り、例えば6分の1の確率で不良が出るということが分かっている場合、予め余計に1個部品をバックアップとして持っておけば、生産ラインを止めることなく生産を続けることができるわけです。
 こうした統計的品質管理の基本は、「サンプリング検査」です。製品や部品の全てを検査する全数検査が一番いいわけですが、数が非常に多かったり、生産のスピードが非常に早かったりすると全ての数を検査するのは技術的にも経済的にも現実的ではありません。そこで、生産工程を流れる製品から一定数をランダムに抜き取り検査することで、全体の良品・不良品の傾向を推定するわけです。ここで確率の考え方が重要になってきます。先程サイコロを振って1が出る確率は理論的には6分の1になるとお話ししましたけれども、現実のサイコロ一つ一つを見ると微妙に形や重心が異なるため、1が出る確率にもバラツキが生じます。生産工程におけるサンプリングについても同じことが言えます。生産品を全て検査した時の不良率が例え6分の1であったとしても、特定の何個かを抜き取って検査した時の不良率も6分の1になるとは限りません。たまたま生産設備の調子が良くて不良率が低く出ることもありますし、その逆もあり得ます。
 サンプリング検査のポイントは、生産品の一部を知ることで全体の傾向を知るということなので、サンプル品の不良率と製品全体の不良率、この乖離が大きいと品質検査の信頼性が損なわれてしまうわけです。一般的には、抜き取るサンプルの数を増やすか、抜き取り検査の頻度を増やすことで、サンプリング検査の精度を上げることが出来ます。
 但し、どちらにしても検査の手間とコストは大きくなります。そのため、伝統的な生産管理では、品質の向上とコストは一方を良くすればもう一方は悪くなるというトレードオフの関係にあると考えられてきました。

 品質検査に関する第三の考え方は、「不良を作らぬ検査」です。先程ご紹介した統計的品質検査の考え方は、不良が確率的に一定の割合存在するということを前提としていました。しかし、この「不良を作らぬ検査」では、そもそも不良自体が発生しないようにすることを狙いとしています。
 「不良を作らぬ検査」では、典型的には工程内検査という形をとります。これは生産工程で作業者が生産したものを自ら検査することで不良を次の工程に渡さないようにするというものです。

 工程内検査には二つの効果があります。第一に、工程内検査では実質的に全数検査、全ての数を検査することになります。それも不良を見つけるための分別検査のように最終検査の1回だけではなく、工程内検査では、全ての工程での全数検査となります。
 第二に、工程内検査では不良が発見されてから対処までの時間が非常に短くなります。例えば、自動車組立工程が全て終了するためにはおよそ5時間かかると言われていますが、例えば工程の最初の方で不良が発生し、最終検査工程で不良が発見されたとすると、もう既に5時間経ってしまっていることになります。これが工程内の自主検査では、不良が発生した直後に問題が発見されるため、現行犯で不良を見つけることが出来ます。そのため、その後の時間が削減出来るわけです。
 ただし、自分が作ったものを自分で正しく検査できるかという疑問もあると思います。これは確かに最もなことですので、工程内の自主検査を有効に進めるポイントについては、また改めてお話したいと思います。

 では、今日のまとめです。品質管理には検査が重要です。今日は品質検査には3つの考え方があり、「不良を見つけるための検査」、「不良を減らすための検査」、「不良を作らないための検査」があることをご紹介しました。

分野: 技術経営 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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