QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 品質管理(4):品質と公差 (企業戦略、生産管理/目代武史)

品質管理(4):品質と公差

目代武史 企業戦略、生産管理

17/03/02

 今日は、品質管理に客観的な基準で取り組むための第一歩として、品質と公差の関係についてお話します。公差とは、公に認められた誤差のことを言います。これについては後ほど詳しく説明します。
 以前、品質は究極的にはユーザーの感じ方、つまり主観で決まるというお話をしました。とはいえ、作り手の品質管理が主観的で良いというわけではありません。何らかの形で客観的な基準を作って、安定的に繰り返し良い品質を実現し続けることが重要です。

 そこで重要なのが、「品質基準」と「公差」です。
 品質基準は文字通り品質の善し悪しを判定する基準です。ポテトチップスの製造に例えると、チップの厚み、色、味付けの均質性等が品質基準に当てはまります。製品が良品と判断できるための基準を用意して、実際に製造したものがその基準に合致しているかを検査するわけです。
 ところが製造した製品にはどうしてもばらつきが生じます。ポテトチップスの材料となるジャガイモはそれぞれ大きさや形、デンプン、糖類の含有量が違います。こうした形状や成分の違いによって、揚げたときの熱の周り具合にばらつきが生じ、味や食感にもばらつきが出てきてしまいます。
 こうした製造品のばらつきに対し、どの程度であれば良品として認めるかをあらかじめ定めた許容範囲のことを「公差」と言います。公差は物の大きさに関する寸法公差、強度や伸縮性といった製品特性に関する公差など様々なものがあります。寸法公差であれば、例えば基準値に対して±1mmまでOKと定めます。

 この品質基準と公差をどう定めるかは、製品特性や生産技術の特性によって当然変わってきます。例えば、ポテトチップスにはジャガイモをスライスして揚げるスライスタイプと、じゃがいもをいったんフレーク状にしてから揚げる成型タイプというものがあります。スライスタイプのポテトチップスでは個々のチップの形状というのはどうしても技術的にばらばらになってしまいます。この場合、寸法公差を定めるのは非常に難しいため、チップの揚がり具合について品質基準と公差を定め、形状については仕方がないとするのが現実的だと思います。それに対して、ジャガイモをフレーク状にして揚げる成型タイプでは揚げ具合はもちろん、チップの湾曲した形状についても寸法基準と公差を設定することが出来るわけです。

 品質基準と公差をセットで定めることで、良品・不良品の判定を現実的な形で行えるようになります。もし品質基準からほんのわずかでも外れたら全て不良品と判定されてしまうとなると、経済的なコストで生産活動を行うことが非常に難しくなります。
 もちろん、公差をどれだけ厳しく設定するかはお客さんの求める品質基準に左右されます。例えばスーパーで売られているきゅうりが少しでも曲がっていたらだれも買わないのか、かまわず買うお客さんの方が多いのかによってきゅうりの出荷基準と公差、つまり曲がり具合は大きく変わってくると思います。

 当然ですが、品質基準と公差を厳しくすればするほど、出荷前に検査ではねられる製品が増えてきます。出荷前に検査で不合格となることを生産管理では「内部不良」と言います。内部不良は検査基準と公差を厳しくすればするほど、検査自体を厳密に行うほど増えていきます。
 一方で出荷した製品に見つかってしまう不良のことを「外部不良」といいます。外部不良は作り手が設定した品質基準と公差が緩すぎるか、検査に不備がある場合、あるいはそもそも設計品質に問題がある場合に発生します。消費者やユーザーが経験する品質不良はこの外部不良にあたるわけです。外部不良はお客さんの不満に直結するため、これが続けて発生することがあれば企業の評判を傷つける恐れが出てきます。
 一方の内部不良は、お客さんの手の届く前に発見される不良のため、実はお客さんの立場ではあまり関係のない不良です。しかし、作り手の立場からは深刻な問題です。せっかく作ったものが不良になってしまうと、手直しや廃棄が必要になり、手間とかコストがかさみます。内部不良問題というのは、生産性の悪化に直結するコスト問題とみることが出来るわけです。
 このように、品質基準と公差は、生産管理においては生産コストと直結しています。品質基準と公差を厳しくすればするほど生産コストが上がります。コストを引き下げるために品質基準と公差を緩くすれば、市場クレーム、つまり外部不良が増えます。こういうトレードオフの関係にあるわけです。伝統的な生産管理では、このトレードオフを前提にどのような品質とコストのバランスを取るかを苦労して考えてきたわけです。
 ところがこの品質とコストの関係はトレードオフの関係にあるのではなくて、品質を良くすればコストも下がるという考え方が日本から出てきました。が一体どういうことなのかは、また次の機会に改めてご説明したいと思います。

 では、今日のまとめです。
 作り手の立場からは、品質を客観的な基準に基づいて管理することが重要です。そのために必要なのが品質基準と公差の設定です。伝統的な生産管理では品質基準と公差を厳しくすれば市場クレームは減るものの内部不良が増える、つまりコストが上がると考えられてきました。しかし日本の製造業では、品質とコストは両立できると考えられています。その謎解きは、また次の機会にしたいと思います。

分野: 生産管理 |スピーカー: 目代武史

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ