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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > キーワード(37) TRIZ(トリーズ) (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

キーワード(37) TRIZ(トリーズ)

永田晃也 技術経営、科学技術政策

17/03/28

今回のまとめ: TRIZとは、発明的な問題解決を目的とする意志決定の技法に応用されている理論です。


 今日はTRIZ(トリーズ)というキーワードについて解説します。
 このTRIZという綴りは、「発明的な問題解決の理論」を意味するロシア語の頭文字をとったものです。何故ロシア語で表記されているのかと言いますと、旧ソビエト連邦の特許審査官であったゲンリッヒ・アルトシェーラーによって開発され、名付けられたものだからです。実際の内容は理論だけではなく、技術的な問題を解決するためのアイデアの創出を目的とした具体的な技法を含んでいます。
 アルトシェーラーがTRIZを作り出したのは1950年代だったと言われていますが、その後もTRIZはアルトシェーラー自身を含む多くの研究者によって発展させられ、ソビエト連邦の崩壊後には、西側諸国にも広く普及し、更に開発が加えられることになりました。
 今日では複数のコンサルタント会社が、TRIZの導入支援を事業として展開していますし、大企業の研究開発部門ではTRIZを導入している例、あるいは導入したことがあるといった例が少なくありません。また、TRIZの技法をソフトウェア化した製品も数多くあります。
 日本では90年代後半にTRIZが紹介され、導入が進んだのですが、期待が大きすぎたためか、導入の成果が上がらなかった事例からの失望の声も少なからず聞こえてきたと記憶しています。もとより創造的な活動の支援を目的とする技法を効果的に使用することは容易い試みではありませんから、ここで技法としてのTRIZの効用について一般的に述べるつもりはないのです。ただ、発明という創造的な思考過程の本質に迫ろうとするアルトシェーラーの挑戦には、たいへん興味深い点があるので、その思索から生み出されたTRIZのエッセンスを紹介しておきたいと思います。

 アルトシェーラーは、200万件以上もの特許情報をベースとし、そこから問題解決プロセスのパターンを抽出しています。TRIZでは、その問題解決のパターンが、40の発明原理としてまとめられています。
 この発明原理の例を挙げると、例えば「分割原理」というパターンは、空間や時間を分けることによる問題解決を表しています。また「組合せ原理」というパターンは、2つ以上のものを組み合わせることによる問題解決を意味しています。このほか、「逆発想原理」、「フィードバック原理」、「使い捨て原理」などといった問題解決のパターンが抽出されています。
 一方、アルトシェーラーは、解決すべき問題そのものについても一般化しました。技術的な問題は、多くの場合、ある技術的な特性の改善と、別の技術的な特性の改善が両立しないという意味での「技術的矛盾」として現れるという洞察に基づいています。技術的な特性は39個に集約され、技術的矛盾のパターンは、39×39のマトリクスで表されました。この技術的な特性とは、「移動物体の重量」、「移動物体の長さ」、「移動物体の体積」などといった形で定義されています。例えば、移動物体の「長さ」と「体積」を同時に改善することができないという矛盾については、マトリクスの中で該当するセルを見ると、「分割原理」が、その問題を解決する発明原理の1つとして示されているわけです。
 このようなツールを実際の問題解決に活用する際には、まず問題を把握し、技術的矛盾を正確に定義するステップが重要な意味を持ちます。TRIZの技法は、そうした問題解決のステップについても示しています。

 また、アルトシェーラーは、技術進化にもパターンがあるとして、8つの進化パターンを提示しています。そのような技術進化のパターンを知っておくと、今後、技術がどのような方向に進化していくのかを展望し、これからどのような製品を開発すべきかを企業が考える際の参考になるでしょう。実際、この側面でのTRIZの技法は、「技術予測」のために発展させられていきました。技術予測に応用されている新しいTRIZの手法では、技術進化のパターンが14個に亘って提示されています。分りやすい例を挙げると、「保有資源の活用度向上による進化」、「人間介在減少による進化」、「制御性向上による進化」といったパターンです。


分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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