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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 人はモノサシにそって歩く!? (管理会計、コストマネジメント/丸田起大)

人はモノサシにそって歩く!?

丸田起大 管理会計、コストマネジメント

17/02/14

今日は、「会社や組織における業績評価」のお話です。

皆さんも会社や組織で何らかの形で自分の仕事の成績評価を受けていると思います。
例えば、上司が部下の日頃の仕事ぶりを主観的に評価しているかもしれませんし、予算などの目標を達成できたかどうかといった客観的な指標を使って、業績評価をしているかもしれません。上司の主観的な印象であれ、予算目標のような客観的な数値であれ、成績評価にあたってはなんらかの物差しが用意されていて、その物差しに照らし合わせて評価がなされています。

では、自分の成績評価を高めたいと思った場合、人はどのような行動を取るでしょうか。

そもそも人は自分が評価される物差しに沿って歩こうとする性質を持っていると言われています。そのため、自分の成績評価に使われる物差しが分かっていれば、その物差しで量られる業績を高めようと努力を集中するでしょう。
例えば、上司から主観的に評価される仕組みであれば、上司が日頃から重視しているポイントを意識してそれらに努力を集中するでしょうし、何らかの客観的な指標で評価される仕組みがあれば、その指標の数値を良くすることを意識して、それらに努力を集中するでしょう。
つまり、人は自分が評価されることになる物差しの上で、高く評価されるように行動するだろうということです。これはごく自然な行動だろうと思いますが、同時に様々な問題も引き起こしてしまいます。

私たちは物差しで量られる業績をよく見せたいと思うあまりに、業績を不当に操作したいという衝動にかられてしまうかもしれません。

例えば、自分の会社の子会社か他の会社に、当年度の期末の商品在庫を一時的に買い取ってもらい、次年度の期首に再びそれを買い戻す「循環取引」という取引があります。そういった操作をして、当年度の売上を実際より高く見せようという気持ちが働く可能性があります。また、当年度の修繕費のような支出を次年度に先送りして当年度の費用を少なくすることで、コストの目標を達成しようとするかもしれません。これらはいずれも次年度以降の業績を犠牲にしても当年度の業績を高く見せようという不健全な行動だと言えます。なぜなら、次年度その在庫が無事に販売されるという保証がありませんし、機械のメンテナンスを先送りすることによって、次年度に故障が起きてしまうというリスクが高まることがあるためです。

一方で、自分の成績評価が高くなるように、物差し自体に手心を加えるという行動を取ってしまうことも考えられます。
例えば、上司による主観的な評価の場合であれば、日頃から上司にごまをすっておくという方法がわかりやすいですが、予算目標のような評価基準の場合には、目標を達成しやすくするために、売上の予算を出来るだけ低く申請して、費用の予算を出来るだけ高く申請するという行動がよく起こります。これは「予算スラック問題」と呼ばれています。「スラック」とは、ゆとりとか余裕という意味です。経営者は予算の編成の時に、現場の意見を反映させることでモチベーションを高めたいと考えますが、現場の人は自分の業績評価にとって有利になるように、余裕のある予算を組みたいと考え、物差しとなる予算自体に影響を及ぼそうとする行動に出てしまう可能性があります。

また、客観的な業績指標を使った評価に至っては、どのようなタイプの指標を使うかによって、動機付けに与える影響が違うということが分かっています。

例えば、ある作業にかかる時間を改善して短縮できるという提案がなされたとしましょう。この改善効果に対する評価の考え方として、まず「○○分だけ時間を短縮できる」という物量的な評価が出来ると思います。次に、この作業の時間短縮分だけ労務費を短縮できるという効果が期待できるため、「同じ改善効果に対して○○円だけコストを低減できる」という形で改善効果をコスト換算する評価の仕方もあります。さらには、作業時間短縮の効果として、その余裕の分だけ受注を増やすことが出来れば、売上と利益を増やすことが出来ますため、「同じ改善効果に対して○○円だけ利益を増大できる」という評価の仕方も出来る筈です。そして、これらの評価方法の違いが動機付けに与える効果を心理学の実験で検証したところ、「物量評価」よりも「コスト評価」の方が、そして「コスト評価」よりも「利益評価」の方がよりモチベーションを高めるという結果になりました。つまり、物量評価より「利益を○○円だけ増大できる」という「コスト評価」の方が会社に対する貢献をより実感でき、同じ金額評価であっても、コストの低減というマイナスの表現よりも、利益の増大というポジティブな表現の方がモチベーション効果は高いということが実験で証明されているわけです。

おそらく皆さんの会社にも提案制度のようなものがあり、その中で改善効果を金額換算出来るような仕組みが組み込まれていると思いますが、これは理論的にも正しいということになります。このように出来るだけ末端の従業員まで会社への貢献が実感出来るような物差しを用意することで、モチベーションを高めることが出来るのではないでしょうか。

では、今日のまとめです。
人は物差しに沿って歩く生き物であるが故に、不正を働こうとしたり、物差し自体に手を加えようとするかもしれませんが、組織への貢献を実感できる適切な物差しを用意することで、上手くモチベーションを高めることができる、というお話でした。

分野: コストマネジメント 管理会計 |スピーカー: 丸田起大

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