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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 「手段の目的化」を防ぐための思考技術 (戦略思考/荒木博行)

「手段の目的化」を防ぐための思考技術

荒木博行 戦略思考

17/02/20

「手段の目的化」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。とある目的のために手段としてやっていたことが、いつの間にか本来の目的が忘れ去られてしまい、手段をやることそのものが目的になってしまう、ということです。
たとえば、お客様向けに営業の資料を作ろうとリサーチをしていたら、知らず知らずの内にリサーチにのめりこんでしまい、お客様の課題と一切関係のない内容が盛り込まれた資料になってしまった・・・というのは典型的な「手段の目的化」の例でしょう。言うまでもなくリサーチに入る前に「目的」を押さえておくことは重要です。もう少し具体的に言うと、お客様からもらった「本質的な問い」をしっかり押さえておく、ということです。(グロービスでは、こういった「本質的な問い」のことを、「イシュー」と呼んでいます。)
しかし、イシューを押さえる、ということは、口で言うほど簡単ではありません。実は私たちは無意識のうちにイシューを外した仕事をしていることは多いのです。
たとえば、営業の成績が落ちているという状況で、上司からなぜ現在営業成績が落ちているのかについて考えるように言われたとします。それに対して、考えているうちに、良いアイディアが浮かんでくるわけですね。「こういうことをすれば営業成績を改善できるんじゃないか!」と。しかし、これは、上司から出された「営業成績が落ち込んでいる原因は何か?」というイシュー対して、「営業成績を向上させる解決策は何か?」といったように、無意識のうちにイシューをずらしてしまっているわけです。同じ営業成績について議論をしているように見えますが、この2つのイシューは似て非なるものです。原因に対して共通認識ができていないのに解決策の議論をしても手戻りが多くなるだけです。こういう状況では、得てして本人はイシューを「押さえたつもり」になっています。しかし、押さえているのは「営業成績」という言葉だけ。その前後の言葉はすっぽり抜けているのです。イシューというのは単にキーワードを意識する、ということではなく、「問いの形」、かつ「前後の文脈付きで」理解しておく、ということが何よりも大事になるのです。

また、イシューを押さえる際にもう1つ大事なポイントとして、「言葉の大きさ」を意識することが重要です。つまり、過度に抽象的な言葉を使わない、ということです。たとえば、社長から「我が社の価値を上げるためにどうすべきかということを考えてくれ」というお題が出されたとします。「我が社の価値って何?」「誰にとっての価値?」「いつまでにあげたいの?」などが明らかになっていないことからも、これはかなり抽象度の高いふわふわとした問いですね。このようなふわふわした状態のまま持ち帰るのは危険です。抽象度の高い言葉は「勝手な解釈」を生みます。言うまでもなく、そのような勝手な解釈は高いツケになって返ってきます。後になって、「俺はそんなつもりでは言っていない」というような、認識や意図のずれが露見すると、それまでの作業が全て無駄になってしまうからです。したがって、抽象度の高い言葉が出てきた時は、出来るだけその場で具体化する努力をすることが重要です。

しかし、言うは易しで、このように現場でタイムリーにイシューに関して確認を入れる、というのは相当難しいです。まずそもそも「抽象度の高さ」に気づかない。その場の空気で「なんとなくわかったつもり」になってしまうんですよね。瞬発的に「この言葉は要確認!」という警報を頭の中で鳴らせるかどうか、というのが勝負の分かれ目になります。
そういった警報を鳴らすためには、常に「言葉」に対して感度を高く持っておくことが大事です。手段の目的化、というのは、結局のところ、「目的」に対して言葉が適切に表現がなされていないために起こってしまうものなのです。「目的」、つまり、今考えるべき問いはな何なのか?・・・ということに対して、誰にでも誤解のないわかりやすい言葉で表現してみる。時として、私たちはそこから始めてみることも重要なのかもしれません。


分野: リーダーシップ |スピーカー: 荒木博行

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