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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > キーワード(34) プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

キーワード(34) プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

永田晃也 技術経営、科学技術政策

17/02/09

今回のまとめ: プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントとは、マーケット・シェアと市場成長率を指標に用いて、戦略的に事業選択を行う手法です。

 今回は、「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」というキーワードを取り上げます。PPMと略称されていますが、これは、前回お話した経験曲線効果と同じく経営コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループによって1960年代末に提唱されたもので、事業の選択に関する企業戦略をサポートするための手法です。
 PPMでは、事業を戦略事業ユニット(SBU)と呼ばれる単位で把握します。戦略事業ユニットというのは、単一の独立したミッションをもつ事業を意味しており、PPMでは、その特徴を2つの次元で分析します。
 1つの次元は、マーケット・シェアですが、これは単に当該事業での自社のマーケット・シェアを意味しているのではなく、自社のマーケット・シェアと、最大のライバルのマーケット・シェアの比で把握されます。この比が1以上、つまり最大のライバルのシェアと同一以上であれば、当該事業での自社のマーケット・シェアは高く、1に満たなければ低いと評価されます。この考え方は、マーケット・シェア1位の企業が、決定的な優位性を持つことを示した経験曲線効果の発見事実を反映しています。
 もう1つの次元は、市場成長率です。これは当該事業が属する市場全体の年間成長率で把握されます。PPMでは、10%を分岐点として成長率が高いか低いかを判別しています。この考え方の背景にあるのは、いかなる事業も、人間の一生と同じように、誕生から成長・成熟の過程を経て、やがて衰退するという「ライフサイクル仮説」です。

 さて、この2つの次元によって、事業の性格が4つのタイプに分類されます。これを視覚的に分かりやすく示した表は、ポートフォリオ・マトリックスと呼ばれています。
 まず、市場成長率が高く、自社のマーケット・シェアも高い事業で、その性格には「スター」というラベルが付けられています。これは花形製品と訳されています。
 次に、市場成長率は低いけれども、マーケット・シェアが高い事業ですが、これは通常低コストで多くの現金収入をもたらすため、「キャッシュ・カウ」、金のなる木と呼ばれています。
 これとは逆に市場成長率は高いけれども、マーケット・シェアが低い事業は、コストがかかり現金収入が少ないためキャッシュフローは最悪となりますが、花形に成長させられる余地があるため、「プロブレム・チルドレン」、問題児と呼ばれています。
 最後に、市場成長率もマーケット・シェアも低い事業には、「ドッグ」、負け犬というラベルが付されています。

 PPMでは、現金の流入と流出に規定されるキャッシュフローの観点から、全社的な事業選択の最適化を図ろうとする手法です。
 例えば、「問題児」を「花形製品」に育てるというミッションを遂行するためには、十分な投資を行わなければなりません。そのために必要な現金収入を稼ぎ出すことが、「金のなる木」のミッションとされます。

 PPMで用いられる分析軸の意味は明確ですが、あまりにもシンプルなので、いくつかの批判もなされてきました。例えば、自社事業の競争ポジションを評価する上で相対的な市場シェアという指標だけで十分なのか、事業の魅力度を評価する上で市場成長率という指標だけで十分なのかといった批判です。こうした問題点を考慮して、より多元的な評価項目を組み込んだポートフォリオが、コンサルティング会社であるマッキンゼー社によって提唱されていますし、またGEのような企業は、マッキンゼー社と協力して9つのセルを持つポートフォリオ・グリッドを開発・導入しています。
 さらに、イノベーション・マネジメントの領域では、事業の選択ではなく、技術や研究開発プロジェクトに対する資源配分の意思決定をサポートするために、技術ポートフォリオや研究開発ポートフォリオと呼ばれる手法が開発されてきました。これらについては、機会をあらためてお話したいと思います。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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