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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 企業間アライアンス② (国際経営、国際物流/星野裕志)

企業間アライアンス②

星野裕志 国際経営、国際物流

16/12/21

世界でコンテナ船を運航している海運企業の上位20社の殆どが、アライアンスに加入しています。それは最大の企業であるデンマークのマースク・ラインも、第2位のスイスのMSCという企業も同様です。海運業は、「海洋自由の原則」というルールの下に、世界の市場に参入が可能であり、単独で自由にサービスを提供することが可能ですが、あえて複数企業でアライアンスを構成することに、多くの利点があります。

昨日は単独の企業でコンテナ船のサービスを提供するよりも、投資額が少くて済むことや、大型船を利用することの規模の経済性について説明しました。複数企業で投資額を分担できること、より大型の船舶の投入で単位あたりのコストを低減させることができます。

さらにアライアンスの利点を加えると、先ほどの投資額とも関わってきますが、単独では無理でも複数の企業でより多くのコンテナ船を投入できることになれば、より頻度の高いサービスを顧客である荷主に提供できることになります。例えば、単独ではある航路に8隻のコンテナ船を建造して、毎週1回のウイークリーのサービスができるとすれば、4社が各社4隻づつ投入することで、毎週2回のサービスが可能になります。

さらには、加盟する海運企業のターミナルを共同利用することで、これも規模の経済性でコストが下げられますし、各社の本社の国のターミナルを利用すれば、より優位性が得られることにもなります。例えば、上海ではメンバーである中国の海運企業、神戸では日本の企業のターミナルを利用するということですね。他にもアライアンスには、市場秩序の維持などの効果も少くありません。

企業間のアライアンス効果は、とても大きいですが、一方でいくつかの問題点もあるように思います。例えば、サービスの差別化が困難です。アライアンスのメンバーが交代でコンテナ船を運航して、メンバー各社のコンテナ貨物を同じ船で輸送するわけですから、スケジュールも寄港先も同じになります。自社にとって、関係の深い荷主がコンテナを出荷したり元来強みのある港であっても、それが等しく各社で寄港することになり、その強みが薄れることになります。

さらには、今回の韓進海運の経営破綻のようなケースです。今年の9月4日の時点で、韓進海運の運航する船舶、これはコンテナ船だけではありませんが、債権者の差し押さえを避けるべく68隻が世界で身動きが取れない状態にあったとも、少なくともコンテナ船5隻が港湾の利用料などが支払えないために、差し押さえられたとの報道がありました。
そうなるとアライアンスのメンバーの貨物が、等しく最終目的地までの輸送責任が果たせないことになります。それは、それぞれの顧客への責任にも信頼性の低下にもなります。「自社の運航しているコンテナ船ではありませんから」とは、いえないですから。

1995年以来、海運業界はアライアンスを主体に、事業が運営されてきましたが、今後少し見直しもされるかもしれません。
実際には、先日日本の海運の大手の海運企業である日本郵船、商船三井、川崎汽船の3社が、定期船事業の統合を発表しましたが、これも韓進海運の経営破綻とは全く無縁ではないと思います。今までどんなに赤字を出しても、この3社での事業統合はありませんでしたから。

冒頭でコンテナ船を運航している海運企業の上位20社ということをお話しましたが、実は日本の海運企業の3社は、積載能力で日本では最大規模の商船三井が、ようやく10位前後にいる程度で、もはやコンテナ事業に関しては、決して高いシェアはありません。ですから、日本の海運企業はその運航規模から、今までアライアンスに依存せざるを得なかったわけですが、今後もアライアンスは継続しても、競争力を高めるべく抜本的な見直しをする必要が感じたのではないでしょうか。ちなみに、韓進海運は、日本の3社よりも規模が大きく、世界8位でした。

今日のまとめ:コンテナ船による定期船業界は、過去長く企業間提携に基いて運営されてきましたが、やはり自社の競争力を強化する方策が重要であり、呉越同舟のアライアンス効果と同時に、自社の戦略性が求められることが、韓進海運をきっかけに明らかになったように思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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