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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 企業間アライアンス① (国際経営、国際物流/星野裕志)

企業間アライアンス①

星野裕志 国際経営、国際物流

16/12/20

今年の8月に韓国の韓進海運という海運企業が経営破綻して、世界の各地でコンテナ船の差し押さえとか入港拒否とか、様々な深刻な影響を与えています。その理由の一つとして、韓進海運のコンテナ船が、アライアンスの中で運航されていたことがあります。今日と次回で、国際輸送における企業間アライアンスについて、お話しをしたいと思います。

企業間アライアンスとは提携関係のことですが、2社ないし複数の会社が連携しながら、事業を行うことです。企業が単独で事業を行うよりも、複数企業が提携することで、より高品質のサービスの提供やコスト削減効果など、高い競争力が得られることを目的としています。特に戦略性があれば、戦略的提携=ストラテジック・アライアンスとも言われます。

経営破綻した韓進海運は、複数の会社とのアライアンスの中で事業をしていました。国際輸送における企業間アライアンスと言えば、全日空の加盟するスターアライアンスとか、日本航空のOne Worldなどの航空会社間の提携グループを思い浮かべる方は多いかもしれません。実は、コンテナ船輸送の定期船海運でも、同じようなアライアンス・グループがあり、航空も海運も1995年から97年にかけて、ほぼ同じ時期にアライアンス・グループが発足しています。

韓進海運という会社は、CKYHEというアジアの5つの会社のイニシャルをとった名称のアライアンス・グループのメンバーであり、共同でコンテナ船を運航していました。COSCONという中国の会社、川崎汽船という日本の会社、陽明海運という台湾の会社、韓国の韓進海運のHに、もうひとつの台湾のエバーグリーンという企業の5社です。

海運業は、既に16世紀には確立された「海洋自由の原則」というルールに基いて、どこの国の海運企業でも、世界のどこにでも航路を設定することができます。例えば、デンマークの海運企業が、中国と米国を結ぶ航路を運営することに何の支障もなく、いわば参入自由という市場です。唯一の例外は、国内航路には参入できないという内国間輸送の禁止、これはカボタージュ(cabotage)といわれますが、これ以外は自由に事業をできるということです。そうなると参入自由の市場では、企業間の熾烈な競争がおこります。おそらく各社が競って運賃を下げて、より多くの貨物を集めようとすることになります。そうなれば、それぞれがコストを下げたり、競争力を高めないと生き残れないということになりますが、企業体力のない企業は撤退せざるを得ないですし、日本を含めた先進国の企業はコストが高いので、競争力は決して高くありません。それが複数の海運企業がグループになって、コンテナ船を運航することで様々な利点を求めたのが、アライアンスです。いわば、競争相手同士の呉越同舟です。

例えば、さきほどのCKYHEの場合、5社が分担してコンテナ船を提供すれば、それだけ一社の投資額は少なくて済みますし、単独で運航するよりも大型の船舶を投入することで、規模の経済性が得られます。

この場合、規模の経済性とはどのようなことかというと、「TEU」とはコンテナを数える単位であり、全長6メートルのコンテナに換算した個数ですが、積載能力が4,000TEUのコンテナ船よりも、その倍のコンテナを運べる8,000TEUのコンテナ船を比較するとしましょう。積載量が倍にはなっても、船の価格、船価も燃料消費も倍にはなりませんし、運航する船員の数も数人余計に必要な程度です。そうなるとある程度の規模までは、大型船を投入することで、コンテナ当たりの輸送コストは低減します。その結果、最近では積載量が20,000TEUを超える超大型船も発注されています。

CKYHEというアライアンス・グループでは、CKYHEのイニシャルのアジアの5社の海運企業が、各社分担してコンテナ船を提供し、それぞれのコンテナ船には、自社の担当するコンテナだけではなく、他の4社のコンテナも等しく積まれて、運航されていたということです。

韓進海運の経営破綻によって世界で生じている問題は、韓進海運だけに留まらないということになります。この深刻な問題は、直接的には同じアライアンスのCKYHEを構成する他社にも及びますし、それだけでは終わりそうにありません。

今日のまとめ:競合する海運企業が、連携して競争力を高めることを目的とした企業間提携の形態であるアライアンスについて説明をしました。呉越同舟という言葉を使いましたが、それが今回の韓進海運の経営破綻で、アライアンスのパートナーにも深刻な影響を与えていることをお話しました。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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