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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 生産性向上へ向けて(1):7つのムダ (企業戦略、生産管理/目代武史)

生産性向上へ向けて(1):7つのムダ

目代武史 企業戦略、生産管理

16/12/02

 今日は、生産性を向上させるための第一歩である「ムダの削減」についてお話します。
 前回、生産性の向上には付加価値を生まない作業、つまりムダを削減することが重要だという話をしました。では、ムダには具体的にどのようなものがあるのか今日は考えてみたいと思います。

 ムダにも様々な種類があります。「トヨタ生産方式」で有名なトヨタは、ムダには7種類あるといっています。第一のムダは、「作りすぎのムダ」です。第二が「手待ちのムダ」。三番目が「運搬のムダ」。四番目が「加工そのもののムダ」。五番目が「在庫のムダ」。六番目が「動作のムダ」。そして最後が「不良を作るムダ」です。
 この中で諸悪の根源である最もたちの悪いムダが「作りすぎのムダ」といわれています。「作りすぎる」ということは、要するにお客さんの求めるペースやタイミング、あるいは量を越えて物を作ってしまうことです。生産工程の中であれば、次の工程で必要とする以上の部品を作ってしまうことです。作りすぎがムダであるのは、作りすぎた分は売り上げにならないからです。そうしたものにお金や材料、労働時間を費やしてしまっているためにムダであるという訳です。
 とはいえ、保存のきくものであれば、いずれはお客さんが買ってくれるかもしれません。実際、会計制度では、在庫は資産として計上されるわけです。そう考えると制度上は必ずしもムダとは言えないという訳です。
 しかし、生産管理の世界、特にトヨタ生産方式では、作りすぎはもっとも性質の悪いムダだと考えられています。その理由は、作りすぎのムダが生む悪い意味での波及効果にあります。作りすぎたものは、次に出荷されるまで在庫として保管しておく必要があります。そのために倉庫が必要になってきます。生ものであれば、冷蔵設備が必要になります。在庫を倉庫に移動させるための運搬人やフォークリフト等への投資も必要になります。在庫管理するために情報システムも新規に導入する必要があるかもしれません。設備投資とまではいかなくても、誰かが在庫管理のために手間を割かなければならなくなってくるわけです。
 そもそも在庫は価値を生みません。物を作るには、原材料や部品の調達、従業員の雇用、機械設備の購入など資本の投入が必要になります。投入された資本は製品が販売されるまで回収されません。例えば、100円で作ったものがすぐさま110円で売れれば、代金から100円を投じて、さらに再生産してまたすぐ110円で販売していけばどんどん生産が回っていきます。
 このように、ほとんど在庫を持たずに生産と販売が回っていけば、極端な話を言うと、手元資金は最初の100円だけで間に合います。ところが、10個まとめて生産し、10個まとめて販売する場合、少なくとも100円×10個=1000円の手元資金が必要になります。1個生産して1個売る場合と、10個まとめて生産して、10個まとめ売りする方式では、結果は同じように見えますが、いわゆるキャッシュフローの観点からは大きな違いが出てきます。
 例えば、もしこの会社の自己資金が100円で、それ以上のお金は借り入れで賄うとします。1個生産して、1個販売すれば借り入れの必要はありません。最初の100円をぐるぐる回していけばいい訳です。しかし、10個生産して、10個販売する場合は、900円分は借り入れる必要があります。借入ですから一定の利息を払う必要も出てきます。つまり、在庫が増える→必要資金が増える→借入金が増える→支払金利も増えるという訳です。これを「在庫の金利コスト」と言います。

 また、作りすぎのムダは、もう一つ重要なムダの原因となる可能性があります。「不良を作るムダ」です。加工ミスや作業指示の誤りによって、不良品ができるとそれに使用された原材料や部品、労力がムダになってしまいます。
 多くの生産ラインは、いくつかの工程がつながっていることが普通ですから、ある工程で不良が発生しても、もしそれに気が付かなければ不良部品の上に正しい作業が付け加えられていきます。そこでこうした不良を避けるために、次の工程の作業者が前の工程から部品を受け取った時に、その部品に不良が無いかを確かめることがよくあります。これを「工程内検査」と言います。
 ところが、これで万事解決するかというとそうでもありません。問題は作りすぎのムダです。もし、工程1と工程2の間に100個の在庫が溜まっていたとします。ここでもし、工程1の加工機械に不具合が生じて、部品に小さな傷が次々とついていたとします。
 こうした不良は次の工程での工程内検査で発見されます。しかし、工程1と工程2の間には100個の工程間在庫があります。もし、工程2の作業スピードが1個あたり60秒だったとすれば、最初の不良が発見されるまでに60秒×100個=6,000秒、つまり100分かかる訳です。その間工程1では機械の不具合に気付かず不良を作り続ける訳ですから、大変な浪費となる訳です。
 もし、工程1と工程2の間に在庫が無く、工程1の作業者から工程2の作業者に部品を直接手渡ししていたら即座に不良が発見されていた可能性があります。ということは、作りすぎのムダはその他のムダを引き起こすということなのです。その他のムダを引き起こしたり、その他のムダを覆い隠してしまったりするわけです。

 では、今日のまとめです。ムダには様々な種類があります。7つのムダが代表的ですが、中でも重大な問題を引き起こすのが「作りすぎのムダ」です。作りすぎのムダは、運搬のムダ、在庫のムダ、不良を作るムダなど、様々なムダを誘発する危険性があることから、もっとも性質の悪いムダだと言えるでしょう。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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