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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コンビニエンスストアの経営戦略の変遷② (テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営/金子浩明)

コンビニエンスストアの経営戦略の変遷②

金子浩明 テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営

16/11/25

前回は、「コンビニの経営戦略」を題材に、環境が変わると業界の勝ちパターンも変わっていくというお話でした。今日は、セブンイレブンを例にその続きのお話です。

前回は、セブンイレブンの品目が、いわゆる腐らないものから「日配品」と呼ばれる毎日配達しないと腐ってしまうようなもの(お弁当など)に変わっていったというお話でした。このように、定期的な配送が必要になり、それを可能にするために、近い所に何店舗も配置する「ドミナント出店」を行い、成功を収めたという話でした。これによってコンビニエンスストアはいわゆる「緊急ニーズ」に応える雑貨屋から日々のお弁当などを買いに行く、よりお弁当屋さんに近い業態になっていきました。

主なユーザーは、(現在は比較的ターゲットは広がっていますが)20代、30代の独身男性です。そのため、コンビニは徐々に20代、30代独身男性の冷蔵庫代わりに変わっていきました。昔、それほどコンビニがたくさんなかった時代に、500メートル先のローソン、800メートル先のセブンがあったら、皆さんはどちらに行きますか?恐らく、多くの方が近いローソンと答えるのではないでしょうか。

当然ですが、コンビニエンスストアというのは、今欲しいものを買いに行く場所なわけですから、「近い」ということがお客さんの一番の決定要因でした。それが、現在のように至るところにコンビニがある状態になると、どのお店も近くなります。

例えば、このFM福岡のすぐ近くには、サンクスがあり、一緒になりましたがファミリーマートとセブンイレブンもあります。少し足を伸ばせばローソンもあるというような状況です。そうすると、どこ行くかというのは、その時の気分で決めたりしますよね。

例えば、今日はファミチキが食べたいと思うとファミリーマートに行きますし、今日はセブンのおでんが食べたいなと思ったらセブンに行くということがあるでしょう。

コンビニエンスストアが飽和してくると、消費者の行動は「近くて便利」というところだけではなく、「欲しいものを買いに行く」という行動に変わっていくわけです。そうすると、コンビニ各社の勝ちパターンは、単純に近いという「立地」や、欠品が無く欲しいものが置いてあるということから、その店でしか食べられないもの、その店でしか買えないものをコンビニ各社が工夫するようになっていくわけです。そうしないとお客さんに選んでいただけないわけですね。それによってコンビニエンスストアは徐々に、仕入れたものを並べるという業態から、自分たちのオリジナル商品を工夫して作り、お客さんに来てもらうという、小売店というよりはメーカー機能が高まってきたということです。

そのため、現在ではどのコンビニにもプライベートブランドの商品が陳列され、力を入れているということなのです。そして、この競争でも今のところ一番強いのはセブンイレブンです。セブンイレブンは、物流センターの隣にお弁当の工場を併設していて、お弁当の93%が自社の専属工場の製品です。一方、他のコンビニチェーン(ローソンなど)は、自社の専属工場の製品は40%を下回ります。自社工場で作ることにより、鮮度よく配送できるため、保存料を少なめにできます。それにより、よりおいしいお弁当を作ることが可能になっているのです。独自の物流戦略と商品戦略が、おいしさの源です。このようにして、コンビニのメーカー機能が強くなることにより、お弁当やおにぎりだけではなく、いわゆるスイーツやチルド品、普通の文房具、ジュース、お水のようなものに関しても、それぞれメーカーごとに、ちょっとした工夫を行っていきます。これは、プライベートブランドあるいはコンビニ専用のチャンネル専用の商品、化粧品などもそうです。コンビニチャンネル専用の商品を実際にメーカーに作ってもらうと、コンビニエンスストアは大きい方が有利になります。それは、現在、コンビニがM&Aによってどんどんくっついているのは、コンビニが小売店から徐々にメーカーに近い機能を持ち始めているということが関係しています。メーカーになれば、当然自分達が企画や設計をした製品は、それだけ費用をかけて開発製造しているわけですから、それのコストを回収するためには、会社としての販売規模が非常に重要になってきます。そのため、今コンビニ各社はセブンイレブンを中心にファミリーマートとサークルK・サンクスの統合や、ローソングループスリーエフ、ポプラが統合して、大きなコンビニチェーンがいくつかできているということです。

では、今日のまとめです。
コンビニエンスストアは、初めは、「開いてて良かった」という「緊急ニーズ」に応えるところからスタートしましたが、そこから「日配品」であるお弁当やおにぎりを増やす中で、20代、30代男性の部屋の延長という風にどんどん価値を拡大していきました。そして今や製造小売業になりつつあります。こうした中でコンビニエンスストアは、飽和状態と言われながらも店舗数を増やしています。コンビニが自分たちの価値を徐々に拡大させていくことにより、コンビニ業界内の競争に勝つのではなく、他業態との競争に勝っている訳です。徐々に日配品を増やすことによって、例えば、「ほっともっと」とか、「ほっかほっか亭」などのいわゆるチェーンのお弁当屋さんがコンビニエンスストアにお客さんを奪われていきました。今まさに業態としてコンビニと競合しているのは、おそらくファストフードだと思います。コンビニはドーナツやコーヒーを置くようになっていますが、例えば、マクドナルドの業績が一時あまり上がらなかったのも、マクドナルド内部の問題だけではなく、コンビニエンスストアがおいしいものを売っていて、より魅力的になってきたことが関係していると思います。こうした状況は、ファストフードという業態とコンビニエンスストアの業態の競争において、コンビニがその戦いを有利に進めていったという風にみることができます。それはまさにコンビニが常に進化していて、常に変わり続けているということです。だから、業界がなかなか飽和しないのです。これは非常に重要なポイントだと思います。

分野: 技術経営 経営戦略 |スピーカー: 金子浩明

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