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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > コンビニエンスストアの経営戦略の変遷① (テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営/金子浩明)

コンビニエンスストアの経営戦略の変遷①

金子浩明 テクノロジーマネジメント、オペレーションズマネジメント、日本的経営

16/11/21

はじめに、私自身のことについて簡単にお話します。私はグロービス経営大学院で教員をしています。そこでは3つの科目を担当しています。その1つが「オペレーション戦略」です。「オペレーション戦略」とは、企業の中で戦略を実行するための仕組みや、運営の方法を考える科目です。もう1つは、「テクノロジーマネジメント」という科目です。これは、技術を活かして競争優位を築くための方法を考える科目です。最後に「新日本的経営」です。これは、欧米型向けに対して、日本向けの在り方を考える科目です。以上が、私が担当している科目です。

今日は、その中でも「オぺレーション戦略」の1つとして「コンビニエンスストアの戦略」についてお話します。

現在、都市部にはたくさんのコンビニがありますね。そういった中で私たちがどのお店を選ぶのか、その基準が昔とは少し変わってきているように感じます。それはマーケット側の変化だけではなく、コンビニの戦略が変化しているからです。こうした変化を時代ごとに見ていきたいと思います。

まず、コンビニエンスストアの歴史からご紹介しましょう。コンビニが初めて登場したのは、1974年です。この年、東京の江東区豊洲にセブンイレブンの1号店がオープンしました。元々イトーヨーカ堂のグループの1新規事業として74年に開店しました。当初は酒屋さんとして営業していたお店をコンビニエンスストアに転換するというケースが多かったです。

当初のコンビニエンスストアは、「今すぐ欲しいというニーズ」、つまり緊急ニーズに応えることがメインでした。例えば、夜急にお酒が欲しい、今すぐタバコが欲しい、電球や電池、ストッキング、あるいはご祝儀袋などを「今すぐ欲しい」というニーズに、夜でも朝でも応えてくれる雑貨屋さん的な位置付けでした。当時のキャッチコピーが「開いてて良かった」です。
そのため、当時のCMでは、会社帰りの会社員や主婦が、買い忘れたものを慌てて買いに行くというCMが流れていました。

最近のCMとは全く違いますね。最近は、コンビニで買ったお惣菜を家族で食べるというCMも流れています。みなさんは、今コンビニで主に何を買いますか。パンやおにぎり、サンドイッチ、飲み物などを買うという方が多いのではないでしょうか。

しかし、当初のコンビニでは、お弁当類は品目として多くありませんでした。当初はどちらかというと、今のキオスクに近いイメージでした。そこから、今のようにお弁当やおにぎりが増えていったという歴史があります。お弁当やおにぎりのような商品を「日配品」と呼びます。日々お店に届けないといけないものであり、1日経つとその多くは廃棄になってしまうため、非常に扱いが難しい商材です。

では、コンビニでこうした扱いが難しい日配品を多く扱うようになった理由は何でしょうか。

その1つは、綿棒やハサミ、ストッキングなどが緊急で必要になる機会というのは、あまり多くないということです。そのため、緊急ニーズだけで勝負していたら、どうしても来店頻度が低くなります。お客さんが来なくても光熱費や家賃はかかるわけなので、店舗の採算を確保するには近隣のお客さんに毎日お店に来て頂くことが重要になります。そうすると、当然ながら日々買う物、お弁当やおにぎりなどの扱いを増やしていく必要がありました。その一方で、日配品は扱いが難しく、売れるものを匡く予測して仕入れないと多くの無駄が生まれてしまいます。

そもそもお弁当やおにぎりの無駄が出るのは、「欲しい物が欲しい時にない」からです。私たちは、朝食べたいものと、昼食べたいもの、夜食べたいものが違いますよね。それぞれの時間帯に本当は品揃えを変えなければなりません。そのためには、何度も配送を繰り返さないといけなくなるわけです。それが「多頻度配送」です。しかし、これには物流コストがかかります。だから多くのコンビニチェーンは(しばらくの間)1日1回配送でした。しかしセブンイレブンは最初から多頻度配送を前提に、店舗網を広げました。

セブンイレブンは江東区に1号店を出店してから10店舗に増えるまで外に出るなと元鈴木会長が指示をしたそうです。いわゆる集中出店、ドミナント出店です。これは従来の小売業の勝ちパターンとは異なります。スーパーなどの小売店の勝ちパターンというのは、まず「良い立地」を押さえることでした。これは飲食店でも同じです。また、昔はどのコンビニも置いているアイテムは大して変りがありませんでした。プライベートブランドが増えたのは最近で、しばらくの間は外部のメーカーから仕入れたものが中心でした。置いているものが変わらないということは、大量に購入することによって、いわゆるディスカウントを引き出すことが可能です。大量一括購入でメーカーからの値引きを引き出し、そして良い立地を持っているオーナーさんに上手く自分達の加盟店になってもらう。この2つを満たせば実際に勝つことができました。それが元々の小売店のいわゆるルールでした。だから競合のコンビニチェーンはセブンイレブンよりも分散した出店をしていきました。恐らく、良い土地を先に押さえようと考えたのでしょう。

このように、「立地」と「規模」ということだけを考えると、集中出店する理由はありません。ただ、もしコンビニエンスストアがお弁当屋さん的な日配品中心の品揃えになっていくのであれば、やはり「多頻度配送」が欠かせないわけです。そこで「ドミナント出店」が効いてきます。セブンイレブンは多頻度配送によって、他のコンビニチェーンよりも商品補充をタイムリーに行うことができました。それにもかかわらず、物流コストは抑えることができました。これは「密度の経済効果」を活かした戦略です。密度の経済効果とは、ある地域に集中的に出店することで、その地域内でのコストメリットを得ることです。

セブンイレブンがコンビニエンスストアでの競争で勝っていった大きな戦略的なポイントは、昔の小売店の勝ちパターンを踏襲するのではなく、コンビニエンスストア業態の勝ちパターンを作り上げていった点にあります。

では、今日のまとめです。

業界リーダーのセブンイレブンは、従来の小売業の常識にとらわれず、コンビニの勝ちパターンを自ら作り上げていきました。それが、今日のコンビニの進化につながっているのです。

分野: 技術経営 |スピーカー: 金子浩明

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