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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > マイナス金利政策 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

マイナス金利政策

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/11/17


今日はマイナス金利についてお話をします。

つい最近まで皆さんは、金利はマイナスにはならないと思われていたでしょう。お金を貸したら減って戻ってくるということです。お金が減って戻って来る時に誰が貸すのだろうと思ってしまいます。ですが、実際に日銀がマイナス金利政策を採用したので、銀行が日銀に預金したら預けた金額より減って戻ってくるという事が現実に起きています。預ける銀行なんかないだろうと思っていましたが、実際には多くの銀行が預けています。なぜなら、銀行には大量の現金をしまっておく金庫がなく、巨大な金庫を造るにも、ものすごく費用がかかります。それよりは日銀にマイナス金利で預金した方がまだましだという事のようです。

日銀は、銀行から多額の預金を預かっていますが、マイナス金利になっているのはその内のごく一部のみです。基本的にはマイナス金利にすると宣言した日に、すでに預かっていた分はマイナス金利にはしません。明日以降、新たに預けにくる分についてマイナス金利にすると宣言しただけなので、日銀が儲かっている金額は実はわずかです。

銀行は預金者が持ってきた現金を日銀に預けにいくとマイナス金利で減ってしまうため、なるべく貸し出しを増やそうという事で奮闘しています。貸し出し金利を下げてたくさん借りてもらえるように促しています。安い金利でライバル銀行から顧客を獲得しようとしています。しかし、全部の銀行が同じ事をすると効果が上がりません。日本全体として金利が下がったのだから、借金をして設備投資をしようという会社が増えてくれればいいのですが、金利が0.1%下がった程度では企業の設備投資が増えるわけでもなく、その意味では今のところマイナス金利政策が景気回復に大きく貢献しているとは言い難い状況です。

預金金利は元々ゼロに近かったので、ほとんど下がっていません。預金金利をマイナスにすると預金者の評判が大変悪くなることを恐れてどこの銀行もそんな事できないのではないでしょうか。したがって、今の段階では預金者にほとんど悪い事が起きてないので、安心して頂いて大丈夫だと思います。マイナス金利という言葉を聞いて不安になったお年寄りが家庭用の金庫を購入し、銀行の預金をおろしてタンス預金をしたという話も耳にしましたが、その必要は今のところ全くありません。

預金金利が下がらず、貸出金利も下がり、銀行は困っています。元々銀行は借りてくれる会社が少ないので、貸出競争をしていました。元々貸出金利は、十分低かったことに加えて今回のマイナス金利で貸出金利がさらに下がったため、銀行は預金を集めて貸出をしても儲からないという状況になっています。そこで一生懸命、投資信託や保険を販売して手数料で収益を上げようとしています。日銀が儲けている分だけ銀行が損しているという事であればその金額はわずかですが、そうではなくて貸出金利が下がってしまったことの影響の方が遙かに大きいというわけです。

今のところマイナス金利で景気が好転する事はなさそうですが、それはマイナス幅が0.1%という小幅なものだからです。例えば、日銀が銀行から預かる時の金利がマイナス5%になるとどうでしょうか。そうすると、さすがに銀行は絶対に日銀に預金をしたくないので、貸し出す時の金利もマイナスになるでしょう。
そうなると、借金して工場を建てようかという会社が増えるはずなので、景気は良くなるはずです。しかし、そんな事をしたら副作用が大きいです。銀行に与えるマイナスの影響が大きく、銀行が潰れてしまう可能性があり、日銀が本当にマイナス5%にするとは思いませんが、少しずつマイナス幅を広げていく事は十分にあり得るでしょう。前述の副作用についてご説明します。これは銀行の貸出の金利がどんどん下がっていき、預金金利をマイナスに出来るのかどうかという事がありますが、預金金利をマイナスにすると預金者からの反発が大きいので中々難しいという事になり、銀行の赤字が膨らんでいき下手をすると潰れてしまうところが出てきます。銀行としては預金者から手数料を取る等、色々と考えてしのごうとするかもしれませんが、日銀の金利のマイナス幅が広がっていくと、背に腹は代えられない事になってくるのかもしれません。そうなると今度は預金者が困ります。特に退職金を貰って老後をゆっくり過ごしたいと考えている高齢者にとっては、預金金利がマイナスになれば深刻な問題です。さらにもう1つ考えられる作用というのは、バブルになってしまう可能性です。銀行に預金するとマイナスの金利しか貰えないとなると、銀行に預金せず不動産を購入する人が増えてくるかもしれません。そうなると不動産が値上がりしていきますから、借金して不動産を買って値上がり益で儲けようという人が出てきます。これが繰り返されていき、バブルになる可能性もあります。こうした副作用が考えられるため、日銀は慎重に事を進めるでしょう。金利のマイナス幅を少しずつ広げながら、様子をみながらまた少し広げるといったところではないでしょうか。

預金金利のマイナスに関しては日銀も慎重にいくでしょうし、銀行も慎重に検討するでしょうから、マイナスになるとしても随分先の事だと思います。急いで自宅用の金庫等を買わずに落ち着いて銀行に預金し、ニュースだけはしっかり見ておくようにして頂ければいいのではないでしょうか。

それでは今日のまとめです。
マイナス金利は理屈上では効果もありますが、副作用もあります。現在は小幅なマイナスですが、日銀は慎重にマイナス幅を広げていくことが予想されます。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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