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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 景気対策のタイミングと有効性 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

景気対策のタイミングと有効性

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/11/16


今日はどんな景気対策がどんな時に効果があるのかというお話をします。
景気対策は大きく分けて、政府が行う財政政策と日銀が行う金融政策があります。財政政策には、減税と公共投資があり、大枠で言えば財政政策は、景気が悪い時に景気を回復させる力がありますが、インフレを抑える時にはあまり活躍しません。一方で金融政策は、インフレを抑える力は強力ですが、景気を回復させる力は今一つだと言われています。

インフレの時は景気をわざと悪くして、インフレを抑えようという事ですが、景気をわざと悪くするためには増税をする必要があります。増税というのは結構大変で、インフレを抑える力が弱いというよりは、タイミング的に時間がかかるという事の方が問題です。景気を悪くするために増税をしたいと言っても増税は不人気な政策ですから、政府としてもやりたくないという事もありますが、野党が明確に反対するので、国会の審議に大変長い時間を要します。増税の法律成立後も、すぐ来月から消費税と所得税を上げる訳にはなかなかいきません。

消費税の場合は、特にお店のレジ機器の買い替え等、結構準備にかかります。所得税も急に来月から給料の手取りが減ると大勢の人が困るので、時間的な猶予が必要です。そうすると、その間に景気が悪くなり、インフレが収まり、むしろ失業の方が問題だという事になる場合があります。

そうすると景気が悪化し、失業が心配な時に増税が行われる最悪な事が起こりかねません。景気が悪い時に減税とか公共投資を行うのは野党も反対はしないので、法律も簡単にと可決し、来月から減税と言われて怒る人もいません。道路工事も来月から着工という事は可能なので、景気対策として財政政策は即効性がある心強い味方だという事です。インフレを抑える場合とは違い、この場合は結構頼りになる、活躍するチャンスがあるという事です。

公共投資というのは失業者を雇って橋や道路を造らせますので、必ず景気にプラスに働きます。ただ良い事ばかりではなく、ムダな道路がたくさん造られたりする可能性があるので、もちろん欠点もあります。また、今のように建設労働者が不足している時はあまり効果がないと言えます。減税には2種類あり、1つは、所得税減税のように人々の懐を温めて消費を促すもので、もう1つは、設備投資減税のように、設備投資をした会社には減税をする代わりに多くの設備投資を求める減税もあります。所得税減税の方は、減税された人がムダな物を買う事はあり得ないので、資源の配分という意味ではよいのですが、人々が減税してもらった分を全く使わずに全部貯金してしまったら、景気が全く良くならない可能性もあります。

設備投資減税の場合、うまくいくと100万円の減税で1千万円分の設備投資に踏み切る会社が出てくるので、効果は抜群だと言えますが、最悪、元々設備投資する予定だった会社が、100万円を受け取るだけだと景気回復に全く役立たない事もあります。こういう事を考えると、公共投資と減税は一長一短ではないでしょうか。

一方で、金融政策というのはすぐに決めてすぐに実施出来ます。ですから、インフレが心配になってきたら日銀が利上げを決め、明日から利上げをするとなれば短期間で銀行の貸し出しの金利が上がり、設備投資を諦める会社が増え、景気が悪くなりインフレが止まるので即効性が期待できます。金融政策で景気を悪くする場合、ギリギリどのぐらい金利を上げたら景気が少し悪くなって、ギリギリインフレが止まるだろうかという事を考える事が大事になってきます。そこで日銀には優秀なエコノミストがたくさんいて、丁度いい金利の引き上げ幅を予想しています。

世の中に資金を供給して金利を下げ、金利が低いので借金をして工場建設を促すのが金融緩和ですが、問題は景気が悪い時は会社も儲かってないですし、今ある工場の稼働率も低いので、低金利であっても新しい工場を建てようとは思わない会社が多いことです。さらに問題なのは、世の中に資金をいくら供給しても、基本的に金利はゼロより下がらないという事です。黒田日銀総裁は、就任してから極めて大量の資金を市場に供給しましたが、金利はゼロより下がらなかったため、借金をして工場を建てる会社も増えませんでした。ただ大胆な金融緩和をした事で、株やドルが値上がりし、それが景気を回復させました。この大胆な金融緩和をすれば、株やドルが値上がりするというのは理屈では中々説明出来ません。ですから、多くの人々が金融緩和をしているため、株やドルが値上がりすると考えて株やドルに買い注文を出したので、実際に株やドルが値上がりしました。その意味では今回の金融緩和による景気回復は、奇妙な景気回復だったと言えるでしょう。ちなみに日銀は最近、マイナス金利政策を採用していますが、これについては話が長くなりますので近いうちにゆっくりお話したいと思います。

それでは今日のまとめです。
財政政策は、景気を回復させる力が強い一方で、インフレを抑えるのは不得意です。金融政策は、インフレを抑えるのは得意な一方で、景気を回復させるのはあまり得意ではありません。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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