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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アメリカの景気に注目 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

アメリカの景気に注目

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/11/29

今日は、「アメリカの景気に注目しよう」というお話です。

日本の景気が方向を変えるきっかけとなるのは、政府、日銀による財政金融政策と海外向け輸出の増減です。したがって、海外の景気動向には注意しておく必要があるのですが、その中でも特にアメリカの景気動向が重要だというお話です。

景気はそれ自身では方向を変えませんが、外国の影響を受けて景気が変わってしまうということがあります。中でもアメリカの景気動向が重要だというのは、それだけ日本とのやりとりが多いということです。

日本とアメリカの経済関係は非常に密接ですから、日本からアメリカに輸出されているものはたくさんあります。しかし、それだけではなく、例えば日本から中国に輸出された部品が中国で組み立てられてアメリカに輸出されている場合も少なくありまえん。

自動車のエンジンのように重要な部品は、やはり日本製の方が信頼があるため、途上国の製品でもエンジンだけは日本から輸入して、それ以外の部品は自分で造っているという途上国が多くあります。
つまり、中国製品がアメリカに輸出されたとしても、その部品には日本から輸入したものが使われているということになるわけです。
そのため、アメリカの景気が悪くなるとアメリカが中国から自動車を買わなくなるので、日本から中国に輸出されるエンジンも減ってしまいます。さらに言うと、アメリカが中国から輸入する洋服を減らすと、中国の洋服の会社が設備投資をしなくなります。そうなると前年は日本から中国に洋服を造る機械が輸出されたのに、今年はまったく輸出されないということになります。

それ以外にも、アメリカの景気が悪くなると日本製品の輸出が減る理由は数多くあります。
1つは、アメリカの製造業が空洞化しているということです。アメリカはIT関係などが強いのですが、物作りはあまり強くないため、物は海外から輸入しています。
アメリカの景気が悪くなるとアメリカ人が倹約します。倹約する時に古い自動車を新しい自動車に買い替えるのを我慢する人は多いですが、故障した自動車の修理を我満する人はいません。そうなると外国から輸入する自動車は減るものの、アメリカ人の自動車修理工の仕事は減らないわけです。つまり、アメリカ人が倹約すると、アメリカ人よりも外国人の方が失業するという奇妙なことが起こりかねません。
そうは言っても車を買い替える人がゼロになるわけではありませんから、自動車の輸入もゼロにはなりませんが、アメリカの自動車の輸入先が日本から途上国に変更されるわけです。というのは、日本車は性能はいいけれども値段が高いため、アメリカ人が贅沢をする時には日本車を買おうという気になっても、逆にアメリカが不景気になると、性能は悪いけれども値段が安い途上国製品で我満しようというアメリカ人が増えるわけです。

アメリカ人が倹約すると日本の輸出は大きく減るということです。
もう1つ全然別の話ですが、アメリカの景気が悪くなるとドル安円高になって日本の輸出企業が打撃を被るという点も重要です。アメリカの銀行の金利が高い時は、日本人のお金持ちがアメリカの銀行に貯金をしようと思って、円をドルに換えます。大勢のお金持ちが円をドルに換えるとドルの値段が上がります。
そうなると日本の輸出製品の競争力が強くなりますから、たくさん輸出できるようになります。しかし、アメリカの景気が悪くなると、アメリカの中央銀行であるFRBは、金融を緩和します。
つまり、アメリカの金利を下げて、企業に対して金利が安いので借金をして工場を建ててくださいというわけです。そうなると日本人のお金持ちが何を考えるかというと、アメリカの銀行に貯金してもたいした金利が貰えないので、円をドルに換えるお金持ちが減ります。そうすると、ドルの値段が下がって、日本製品の競争力が下がってしまうということが起きるわけです。日本の輸出はドル立てが多いため、アメリカ向けの輸出だけではなく、世界各国に向けた輸出が一斉に減ってしまい困ることになります。

アメリカだけではなくて、他の国に対しても日本の輸出が減ってしまうということになるわけです。
ヨーロッパや中国などの景気が悪くなった場合にも、日本の輸出は減りますが、アメリカの景気が悪くなった場合と比べると影響は小さいものですみます。そもそもヨーロッパは日本からの輸出がそれほど多くありません。その理由は、距離が遠いからということもありますが、得意なものが似ているためお互いに相手国から買いたいものがあまり多くないということもあります。中国向けの輸出は多いのですが、中国からアメリカに向けた輸出品に日本の部品が使われたりしているため、その部分は中国の景気が悪くなっても減ることはありません。

つまり、アメリカの景気さえ良ければ、日本から中国へのエンジンの輸出は順調に輸出されることになります。それから、中国の景気が悪くなって中国の金利が下がったとしても、中国の通貨である人民元が安くなるわけではありませんし、仮に人民元の値段が安くなっても日本から世界に向けた輸出に影響が出るわけではありません。

少し極端なケースですけども、リーマンショックのような大きな事件になると、金融危機が発生します。銀行などがドルの貸し借りをしたがらなくなるわけです。世界中の貿易や投資などでドルが使われていますから、ドルの貸し借りをする人が減ってしまったらこれは一大事です。実際、世界中で大混乱が起きたわけです。その意味でもアメリカは特殊です。ヨーロッパや中国で金融危機が起こって、ユーロとか人民元の貸し借りが行われなくなったとしても影響を受けるのはヨーロッパや中国の経済だけで、世界経済全体への影響というのはそんな大したことにならないです。しかし、それがアメリカであれば、ドルは世界中で使われているため、ドルの貸し借りが止まって大変だということです。

では、今日のまとめです。
日本の景気に影響を及ぼす海外経済としては、アメリカが圧倒的に重要です。輸出の面からもドル安円高に繫がるという面からも、アメリカの不景気は日本経済にとって非常に大きな打撃となりかねないのです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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