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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日銀が株や不動産を買う意味 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

日銀が株や不動産を買う意味

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/11/28

今日は、日銀が株式や不動産を買う意味についてお話をします。

厳密には、日銀が株や不動産そのものを買っているわけではありません。日銀が、ETFやREITといわれる投資信託を買い、その投資信託の会社が日銀から受け取った代金で株式や不動産を買っているわけです。そのため、日銀が直接株や不動産を買っているわけではありませんが、結果的には日銀が買っているのと同じようなものだという風にお考え頂いていいと思います。

元々日銀の金融緩和というのは、国債を買って代金を払うことで世の中にお金がでまわるようにするというものだったわけですけども、ETFやREITを買う行為も、その目的は同じです。

国債を買うと世の中にお金が出回るため、金利が下がります。それにより、借金をして工場を建てようという会社が増えて景気が良くなるだろうというわけです。これは国債だけではなく、ETFとREITでも同じ効果が見込まれるというわけです。日銀が大量の国債を買った為、世の中には大量のお金が出回っています。これによって国債の値段が上がっています。国債の値段が上がるということは、長期金利が下がるということです。ここは大変わかりにくいのですが、政府に100円貸して借用証書として国債を受け取るとします。10年後に満期で100円戻ってくるほか、毎年1円ずつ利子が受け取れるとした場合、金利1%で貸した事になりますね。10年間で金利が10円貰えますから、100円が110円に増えるわけです。
日銀が国債を大量に買って、国債の値段が110円に値上がりしたとします。そうすると110円を出してこの国債を買った人は、110円が110円になって戻ってくるだけですから金利0%でお金を貸したのと同じことになるわけです。同じ国債なのに買った値段が違うと、買った人の儲けが違ってくるため、長期金利が下がったのと同じことになるわけです。ここは大変わかりにくいところなので、とにかく日銀が大量の国債を買ったので、国債の値段が上がったということだけを覚えておいて下さい。

先程の話に戻りますが、日銀は国債の他にもETFやREITを買っています。REITについてはそれほど大量ではありませんが、ETFについては毎年6兆円ずつ買うことになっていますので、これは株式市場において非常に大きな買い手になります。日銀はあくまでもお金を出回らせるために買っているので、株価を上げるために買っているわけではないというのは、大事なことです。結果として株価が上がることはあるかもしれませんが、それを狙って買っているわけではないということです。

尚、日銀が株を買うと、日銀が株主になって株主総会で発言するのではないかと心配している人がいるようですが、日銀が買うのはETFという投資信託であって、日銀が直接上場会社の株主になって株主総会に出席するということではありません。

ETFは株ですから、日銀がETFを買うということは、儲ける可能性も損する可能性もあります。日銀の利益は納付金という形で政府に納められていますから、納付金が増えたり減ったりすることで、政府の収入が変わることになります。ただ、日銀は利益を稼ぐための組織ではなく、日本経済がうまくまわっていくための組織ですから、納付金が増えたり減ったりすることはあまり気にしなくていいと思っています。

株式を持つというと値下がりした時の損失が気になりますが、値下がりするリスクがあるのは株式だけではありません。日銀が持っている長期国債も値下がりする可能性があり、日銀が損をする可能性もあるわけです。それでも、長期国債を買って世の中に資金を出回らせることが日本経済のためだと思ってやっているわけですから、ETFについても同じことだと考えてください。

今回、日銀が国債以外にETFやREITといわれる投資信託を買うというお話をしてきましたが、将来的に日銀がそれ以外の方法をとることがあるのかということについても少しお話ししたいと思います。

先の事を予想するのは難しいことですが、今後の経済情勢によっては、将来例えばアメリカの国債を買うということはあり得ます。でもこれは結構大変なことです。というのは、アメリカの国債を買うと結果としてドルの値段が高くなります。円をドルに換えてそのドルでアメリカの国債を買うわけですから、ETFを買った結果、株価が上がっても誰も文句を言う人はいませんけれども、アメリカの国債を買った結果ドルの値段が高くなると、これはアメリカが怒ります。ドルの値段が高くなると、日本からアメリカへの輸出が増えてアメリカの会社が困るからです。先進国の間では、為替レート、ドルの値段は自然に任せておこうという暗黙の了解が出来ています。そうしないと、各国の政府がドルを買って、ドルの値段を押し上げてアメリカに輸出をしようというようなことを考えはじめたら大変なので、そういうことはやめようという暗黙の了解があるわけです。ただ、今でも例外的な場合には、為替の介入といって日本政府はドルを買うことを認められています。ドル安円高が急激に進んだ場合などに日銀介入というニュースが流れるのはそうした場合です。

「日銀介入」というのは、日銀がドルを買うということなのですが、政府に頼まれて日銀が変わりに注文をしているという意味で「日銀介入」と呼ばれています。そのため、先ほど話題に出てた日銀がアメリカ国債を買うというのは、政府の代理としてではなくて、日銀が自分でドルを買って世の中にお金を出回らせるという話なので、別の話という風にご理解ください。

では先生、今日のまとめです。

日銀は金融緩和に際して、国債の他ETFやREITなどを買っていますが、これは株価などを上げるためではなく、金融を緩和するためです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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