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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 景気予測の基本 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

景気予測の基本

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/11/04

今日は、「景気をどうやって予想するのか」というお話をしましょう。
前回景気が動くメカニズムについてお話しました。景気は自分では方向を変えないため、リーマンショックのように外国からの力が働くか、政府日銀が財政、金融政策で景気の方向を変えるかのどちらかだというお話でした。
そうであれば、景気を予想するためには3つの事をすればよいということになります。

1つ目は、今の景気が上を向いているのか下を向いているのかということを判断するわけです。
これは比較的簡単な作業です。景気が上を向いている時は消費が増えていますし、生産や雇用も増えています。逆に生産が減って、雇用が減っているという時は、景気は悪いほうに向いているということは比較的簡単に予測がつきます。

ただし、最近は消費も生産も横ばいで増減のない状況が続いています。これは非常に珍しいことで、景気を押し上げる力と押し下げる力のどちらも弱いため、景気があまり動かず、判断が難しいわけですが、雇用が増えていることから、どちらかというと景気は上を向いていると考えてかまわないと思います。

一般のサラリーマンの給料が上がってないため、なかなか日々の生活の中で、景気が良くなっているという実感が湧かず、景気の回復を実感できていない方が多いでしょう。

景気の予想の2つ目は、政府と日銀の政策について考えることです。
バブルが崩壊してからは、政府も日銀も景気を回復させようとして頑張ってきました。そこで、今の景気の状況を見ながら、政府や日銀の努力で十分か、足りないのかといったことを考えるのが景気の予想への仕事になっています。ただ、政府も財政が赤字ですから景気対策を無限に行うことはできません。時には公共投資を減らしてみたり、場合によっては消費税を増税したりしますから、そういう場合には景気がそれに耐えられるかどうかという予想もしなければなりません。

最後の3つ目は外国の景気を予想している人達に話をきくことです。
外国の景気が悪くなりそうな場合は、日本の輸出が減る可能性があるため、国内の景気がそれに耐えられるかどうかを予想する必要があるわけです。

以上が景気を予測する3つの方法でしたが、景気を予想する仕事は難しい時と簡単な時とがあります。

景気の予想が一番簡単なのは、景気が上を向いていて、インフレの心配もなく、政府や日銀が景気をわざと悪くさせるはずがない状況、海外の景気も悪くなる予兆がないなどの条件が揃った時は、景気はそのまま回復を続けるだろうと思ってほぼ間違いないわけです。実は期間からすると、こういう期間は長くあります。従って、初心者の方でもそういう場合には景気の予想を自分で出来ます。ただし、そうでない時の景気の予想は結構難しいです。
景気予想が難しい時というのは、景気が方向を変えつつある時の予想です。リーマンショックのような大き変化であれば簡単なのですが、リーマンショックの小さいのが来たときに、これで日本の景気は悪い方に方向転換しちゃうのか、今までの方向を変えるほどのインパクトは無く、このまま上向きに回復を続けるのかということを予想するのは非常に大変です。

嵐が来て船が傾いている場面を想像してみてください。もう少し波が高まったら船が転覆して沈没してしまうという場面で、船が沈没するかどうか予想するように言われたら難しいですよね。景気も同じようなものですから、あと少し輸出が減れば、景気は方向を変えて悪化に向かってしまうという時の予想が一番難しいです。特に景気が回復を始めたばかりの時の予想は難しいです。病み上がりの病人は少し油断するとすぐに風邪を引きますよね。景気もそれと同じで、体力が弱っている時には少し輸出が減っただけでも景気が再び悪化してしまったりするわけです。輸出が減らなくても、政府が公共投資を減らしてしまう場合もあります。景気が回復し始めたし、赤字も大きいからそろそろ公共投資を減らしたいなと財政当局は考えていますが、その判断が早すぎると景気が再び悪化して、また公共投資をしなければいけなくなったりするという場合も少なくありません。

ちなみに今は、どういう難しい局面かというと、今は特に政府が何かするというわけでもなく、外国から何かあるというわけでもないので、今の方向が上を向いているとすれば、そのまま上を向いていくんだろうなというふうに考えて間違いないと思うんです。ただし、今の方向が本当に上を向いているのかという見極めが難しいという珍しい状況です。

話は変わりますが、政府が景気回復宣言というものを出す場合があります。これについて誤解している人が多いと思うので、少し話をしておきたいと思います。景気回復宣言というのは、景気の方向の話ですが、景気が良いとか悪いという水準の話だというふうに誤解している人がいます。

景気回復宣言と言われると、ああ景気は回復したんだと思ってしまいますが、景気が良くなったという意味ではなく、いい方向に向かい始めたという意味です。春の初めには少しずつ暖かくなってきますけれども、「今日は暖かいですか?」と言われるとそんなことはないですよね。極端を言うと、冬から春になった最初の日というのは一年で2番目に寒い日だったりします。今から徐々に暖かくなっていくよという日であり、暖かいという意味とは少し異なるということです。

景気は方向が大切なので、景気の水準としては悪い方から2番目の日であっても、景気が上向き始めたよということであれば、そのまま回復を続けて、いつかは良い景気になると期待していいということを、政府は「景気が良い方向を向き始めた」と言っているだけなので、そこをしっかり分けて考えていただきたいと思います。

では、今日のまとめです。
景気を予想する時は、まず今の景気の方向を見ます。次に政府や日銀が景気の方向を変えようとしているのかどうかを見て、次に外国の景気をみている専門家の話を聞いて、外国の景気の方向が変わりそうかどうか聞くことによって日本の景気を予想することができるという話でした。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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