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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 景気変動のメカニズム (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

景気変動のメカニズム

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/11/03

今日は、景気が良くなったり悪くなったりするのはなぜかという理由についてお話しましょう。
「景気が良い/悪い」という言葉をよく聞きますが、実は「景気」という統計があるわけではありません。景気が良いというのは、「物がよく売れて、会社が儲かって、人々が忙しく働いている状況のこと」です。反対に景気が悪いというのは、「物が売れなくて、会社が儲からなくて、失業している人が大勢いるという状況」のことです。

では、景気が良くなったり悪くなったりするのはなぜでしょう。
それを考える際に一番大事なことは、「景気は自分では方向を変えない」ということです。

景気が良くなっていくときというのは、物がよく売れるため、会社は沢山物を作ろうとして人を雇うわけです。そうすると雇われた人は、給料で何かを買い、ますます物が売れるようになるわけです。このようにして景気はどんどん良くなっていく、良い循環が生まれます。その他にも、物が売れて会社が新しい工場を建てることになると、工場を建てる為の鉄やセメント、機械の会社が増産をすることになります。あるいは景気が良い時は会社が儲かっているので、銀行も工場を建てるための費用を気前良く貸してくれるわけです。

ところが、景気が悪い時は、物が売れませんから、会社はあまり物を作りません。そのため、要らなくなった人員が削減され、失業者が増えます。もちろん、工場も作りません。もし工場を造ろうと思っても、会社が儲かっていないと銀行がお金を貸してくれないというようなことで悪循環になっていくわけです。

つまり、良い方向に進んでいればずっと良い方向に進んでいくし、悪い方向に進んでいたら、どんどん悪くなる一方で、それが急に良くなったり悪くなったりということにはならないわけです。
このように、自分では方向を変えないので、誰かが方向を変えるということになります。

景気の方向を変えるのは、外国や政府日銀があります。

外国の話を最初にすると、皆さんリーマンショックが記憶に新しいかと思いますが、アメリカの景気が急に悪くなり、日本の輸出が減り、日本の輸出企業が生産を減らしました。それによって日本の景気が急に悪くなったわけです。輸出企業が生産を減らすと、輸出企業が人を雇わなくなって失業する人が増えますし、部品の仕入れが減りますから、部品会社がまた生産を減らしたり、あるいは倒産してしまったり、失業者が増えます。このように外国の景気が悪くなると、日本の輸出が減って日本の景気も悪くなりますし、反対に外国の景気がどんどん良くなると、日本の輸出が増えて、日本の景気がそれに伴って良くなるということもあるわけです。リーマンショックの時にはドル安円高になったため、輸出企業は輸出の数量が減り、せっかく輸出して持ち帰ってきたドルが、銀行では安くしか売れなかったということとのダブルパンチでひどい目に合ったわけです。アメリカの景気が悪くなると、こうしたダブルパンチが発生しやすくなるのですが、この話はまた別の機会にすることにしましょう。

では、景気を変えるもう1つの存在、「政府日銀」はどうでしょう。

政府日銀が景気の方向を変える場合の1つとして、不景気の時の景気対策があります。景気が悪い時は、会社も儲からず、失業者も増えるので、景気を良くして欲しいという声が強まります。それに対して政府や日銀が頑張るわけですが、具体的には、政府が公共投資や減税を行う、あるいは日銀が金融緩和を行うといったことが挙げられます。

まず「公共投資」です。これは、政府が橋や道路をつくる為に失業者を雇い、失業者はもらった給料で何か物を買うということで景気が良くなることを期待しているわけです。

次に、「減税」です。
「減税」には2通りあり、1つは所得税を減らして人々の懐を温かくして、消費を増やしてもらおうというものと、もう1つは、設備投資をした会社の税金を安くするので、どんどん設備投資をしてくださいという減税もあるわけです。

そしてもう1つが日銀の「金融緩和」です。

「金融の緩和」というのは、日銀が銀行などから国債を買い、代金を支払うことで、世の中にお金が出回るようにすることをいいます。普通の時ならば、世の中にお金が出回れば金利が下がりますから、金利が下がったから借金をして工場を建てようという会社が増えたりすることを期待しているわけです。
ただ、今のように金利が非常に低い時に金融緩和をして何の意味があるのかということについては、様々な考え方があります。この辺りのことはまた近いうちにお話しましょう。

政府や日銀も景気回復のために色々とその策を講じるわけですが、景気回復のために策を講じる場合だけではなく、わざと景気を悪くしようと政府日銀が頑張ることもあります。最近、ここ20年ぐらいそういうことが起きていないので、若い方は知らない方も多いと思いますが、景気が良くなりすぎるとインフレが心配になります。インフレが心配になると、景気をわざと悪くして、インフレを抑えようとする試みが行われます。日本でも高度成長期には、わざと景気を悪くしようことが頻繁に行われていましたし、外国では今でもインフレを抑えるために景気をわざと悪くするというケースも見られます。今の日本は、政府と日銀が頑張ってインフレ率を高めようとしているくらいですから当分そうしたことにはならないと思います。

景気をわざと悪くする方法は、先ほどの逆で、増税をするということもありますが、それはなかなか難しいため、一番簡単なのは、日銀が金融の引き締めをして、金利を高くしてしまう方法があります。そうすると、「こんなに金利が高いなら借金して工場を建てるのを辞めよう」ということで工場が建たなくなり、景気が悪くなるということですね。

では、今日のまとめです。
景気は自分では方向を変えませんが、外国でリーマンショックのような事件が起きると、輸出が減って景気が悪くなったり、政府や日銀が景気対策をとると国内の景気が回復に向かったりします。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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