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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 松下幸之助の経営哲13「欲望と善悪」 (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

松下幸之助の経営哲13「欲望と善悪」

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

16/11/08

【テーマ:松下幸之助の経営哲学】
(1)①②概論、(2)宇宙観:①繁栄の基、②生成発展、③大義、④調和の本質、⑤自然の恵み、⑥素直な心、(2)人間観:①人間の目的、②人間性、③理性と本能、④善と悪、⑤欲望と善悪

1 はじめに
松下幸之助の経営哲学をシリーズでお話しています。
【松下幸之助の哲学の内容】

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松下幸之助の経営哲学のうち第二の側面である「人間観」について引続き解説していますが、人間観はさらに次のような項目に分けられます。
【人間観の内容】
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このうち前回「善と悪」についてお話ししましたが、今日は、「欲望と善悪」についてです。

2 欲望と善悪
「欲望と善悪」について、松下幸之助は以下の三つのことを述べています。
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3 欲は生命力の現われ
「欲望」というと、欲が深いという悪いイメージがあり、哲学や宗教では、欲望を抑制するようなイメージがあります。では、この欲望は、どのような言葉で言い換えることができるでしょうか。すなわち、それは、「夢」や「希望」と言い換えることができます。
欲望というと持ってはいけないもののような気がしますが、反対に、夢・希望というと、是非持って欲しいものという気がします。しかし、これらは、その本質において、実は同じものなのです。つまり、欲の本体は汚らわしものでも悪の根源でもないのです。「欲」とは生命力の現れで、生きようとする力が形になったものなのです。欲も夢・希望も表現の違いだけなのです。
 たとえば、産業革命の時に蒸気機関は蒸気を使って様々な動力を生み出しましたが、あの蒸気のようなものが欲望であり、エネルギーと考えていいと思います。エネルギーの元が欲望や夢・希望であり、それ自体は悪でも善でもない、それ以前のものであると考えています。彼によれば、それは天与のもの(天から与えられたもの)なので、それを持っていることに感謝しなさい、と述べています。人間が生きるため、ないし自己保全のために、欲望は必要であるということです。

4 人類共通の願いに役立つか
ここで重要なのは、その欲望や夢・希望をどのように叶えていくかということです。それについては、自由な人間の選択権と責任が伴います。その善悪の判断基準については、前回お話ししたように、社会全体として繁栄し平和で幸福な社会になるような欲望の叶え方が「善」であり、そうでないものが「悪」です。

従って、欲望の叶え方が、善悪の判断と全く同じものである、ということをきちんと自覚しているか否かが、人生の正しい生き方のポイントになるというお話です。

5 欲望を正しく満足させる
今日において、社会に貢献するような欲の叶え方が必要である、という自覚や認識をしっかり持っていない人が結構多いように感じます。欲を正しく叶えるためには、どうしたらいいと思いますか。
これに関して、普通は教育や宗教などが必要です。物事を考える時に、五思力(長期的・全体的・本質的・多面的・倫理的に考える力)が必要となります。すなわち、長期的に見る、全体的に見る、本質的に見る、多面的に見るということが必要ですが、もう一つ「倫理的に見る」という側面も重要です。要するに、正しく社会全体にとって良いかどうかというように見るのです。そのことを日常的に教えているのが、学校や宗教です。

では、一番理想的な社会というのはどういうものでしょうか。これを欲との関係で見ると、皆さんはどう考えますか。皆が過ごしやすく、幸せな社会が、理想的な社会でしょう。昔の日本はそういう社会でした。自分のことより他人のことをよく配慮しておりました。今でも「おもてなし」など、まず相手のことを配慮しながら自分のことを決めるという伝統が残っています。そして、自己主張する場合も、社会に対する配慮がありました。ところが、そこに西洋思想が入ってきて、自己主張をきちんとしないといけない、という思想の下で、今日では、この悪い側面である権利だけは主張するけれども、義務はあまり果たさないような風潮になりつつあります。しかし、日本には昔から相手を思いやる心豊かな風潮が伝統的にあります。

6 自己実現と自己完成
よく西洋的には、自分の能力を発揮して何か目的を達成するという自己実現型の生き方が重要であるとされています。他方、東洋的には、自己実現をしながらも、同時に常に何らかの形で社会に貢献していくという「自己完成」が重視されています。このような自己完成を目指して人生を生きている人こそが一番理想的なものではないかと思います。

7 まとめ
松下幸之助の経営哲学における人間観では、「欲望と善悪」について、第一に、欲望自体には本来善悪はなく、それ以前のものである、と述べています。第二に、それをどのように叶えるのかについて、社会全体の繁栄や平和や幸福を増進するものは善、そうでないものは悪とされます。従って、欲望を正しく叶える仕方を、学校や宗教などからしっかり学ばなくてはいけませんよ、ということでした。

〔参考〕松下幸之助『松下幸之助の哲学』PHP文庫

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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