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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 金融緩和は景気回復に効くのか? (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

金融緩和は景気回復に効くのか?

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/10/27

今日は、「金融緩和は景気回復に効くのか」というお話です。
金融緩和というのは、日銀が銀行から国債を買って代金を支払うことです。銀行の金庫から日銀が国債を持ち帰り、その代わりにお金を支払っていると考えてください。今はマイナス金利ですが、その話はまた別の機会にお話しします。

今日は、「ゼロ金利の時に金融緩和が効くのか」というお話ですが、その前に「金利がゼロではない時の金融緩和は何故効くのか」というお話から始めたいと思います。

今、金利がゼロではないとしましょう。金融緩和をすると市場に資金が出回るため、世の中の「貸し手」と「借り手」の人数比が変わり、金利が下がります。借りたい人より貸したい人が多くなれば、金利が下がるのは当然です。金利が下がると、借金をして家や工場を建てようという会社や個人が増え、銀行の貸し出しが増えて工場や家が建ちます。それにより、失業者が建設労働者として雇ってもらえて景気が良くなるというのが本来の金融政策の目的です。

では、金利がゼロの場合、金融緩和をすると一体何が起きるのでしょうか。
金利はもうこれ以上下がらないため、それでも効果があるのかという問題が、大きな論争になっています。

「効果がない」という考え方は非常にシンプルです。銀行間の貸し借りの金利がゼロですから、銀行はわざわざ日銀から借りなくても、隣の銀行に行って資金を借りてきたらいいわけです。そのため、日銀が金融緩和をしても無駄であろうと考えます。私はこの立場に立っています。

一方で「効果がある」という人は、お金が市場に出回ることに意味があると考えています。市場にお金がたくさん出回ると、市場に出回っているお金の量と物の量の比率が変わります。そのため、物の価値が変化します。

ダイアモンドが水より値段が高いのはなぜでしょうか。それは、ダイアモンドが水よりも少ないからです。つまり、物に比べてお金が多い場合には、お金は希少価値のない水と同じです。従って、お金の価値が下がり、物の価値が上がっていくだろうという風に考えます。物だけではなく、例えばアメリカのお金と日本の金を比べた場合、日本のお金が増えるとアメリカのお金の価値は上がります。つまり、ドル高円安になります。また、株券とお金についても同じですから、株の価格が上がると考えました。金融緩和をすると、物の値段、ドルの値段、株の値段が上がるという考え方から、大胆な金融緩和を行ったのが今の黒田日銀総裁です。そのため、黒田日銀総裁の考え方を支持する人達のことを私は「黒田信者」と呼んでいます。

私は黒田信者ではありません。ゼロ金利の時に日銀が金融緩和をすると市場にお金が出回るというのが黒田信者の考え方ですけれども、私は市場に金が出回らないと思っています。銀行が、日銀の置いていった現金をそのまま日銀に送り返して、日銀に貯金すると考えています。先程、日銀が銀行の金庫から国債を持って帰ってお金を置いて帰ると言いましたが、そもそもどうして銀行が国債を持っていたのでしょう。それは、「資金需要が無い」、つまり、銀行からお金を借りたいという人がいないため、仕方なく国債を買っていたわけです。

お金を借りたい人は大勢いたとしても、赤字の会社や無職の人など銀行から見るとお金を貸したくない人ばかりがお金を借りたいと言っていて、銀行がお金を貸したいと思っている人は誰も借りに来てくれないということが起こっているわけです。このように、銀行から誰もお金を借りてくれないため、銀行は仕方なく国債を買っているのです。そのような時に日銀が国債を持って帰って現金を置いていったとしても、この現金を誰かに貸そうということにはなれず、そのまま日銀に送り返すしかないわけです。銀行が日銀に預けている預金のことを「準備預金」と呼びます。この準備預金の残高を増やすように日銀にお願いするということです。そうなると市場にお金が出回らないわけですから、金融を緩和しても何も起きないはずだと思っていたのですが、実際にはとても不思議なことが起きました。

黒田信者達が、金融緩和をしているから株やドルの値段が上がるだろうと考えて、株やドルの買い注文を出したわけです。市場にお金が出回るだろうと考えて株やドルの買い注文を出したとすると、黒田信者は間違っていたわけですが、株やドルの値段が上がるだろうと買い注文を出したら本当に株やドルの値段が上がったということだけ考えると彼らは合っていたわけですね。

株やドルはみんなが考えていることが正しいかどうかということではなく、みんなが買い注文を出すかどうかだけが大事なわけです。実は私も株とドルを少し買っておこずかいを稼がせて頂きました。

私は黒田信者でもないですし、何も起きないと思っていたわけですが、黒田信者達が株やドルの買い注文を出しているのを見て、「これはきっと株やドルが上がるから私も買っておこう」と思ったわけです。株やドルは非常に面白く、みんなが間違えている時には自分だけ正しいことを頑張るのではなくて、みんなより早く間違えた注文を出した方が儲かるという変わった世界です。そういうところで意地を張って正しいことをやるんだと思わない方が結果的には得をするということです。

以上のように、黒田信者だけでなく、私達も株やドルの買い注文を出したので、株やドルは大幅に値上がりしました。そのおかげで景気が回復したわけです。本来は何も起きないはずだったのに、黒田信者のおかげで景気が回復をしたと言えます。医者の世界では、患者に小麦粉を渡して「良い薬だ」というと病気が治ることがあります。これを「偽薬効果」と呼びます。今回も、本当は景気が良くなるはずのない金融緩和をしたら、何故か景気が良くなったということですから、私は今回の景気回復は偽薬効果のおかげだと考えています。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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