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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 公共投資で景気はよくなるか? (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

公共投資で景気はよくなるか?

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

16/10/26

今日は、「公共投資で景気を回復させよう」というお話です。
公共投資というのは政府が橋や道路を建設することです。政府が建設会社に橋や道路を発注すると、建設会社が失業者を雇うため景気が良くなります。景気が悪い時には失業者が大勢います。失業者は給料が貰えないため、物をあまり買いません。そのため、日本全体として物が売れなくなり、日本の企業は物を作らなくなります。それにより企業はさらに雇う人を減らし、益々失業する人が増えるという悪循環に陥るわけです。そこで、景気の方向を逆転させて好循環を作り出そうというのが「公共投資」です。「財政政策」とも呼びますが、政府が公共投資を行うと、失業者が雇われて給料が支払われます。給料を貰った元失業者は物を買うため、物が売れるようになり、先ほどと逆のことが起こります。景気が好循環し始めるわけです。

しかし、この公共投資に関しては本当に必要なのか疑問を持っている人もいます。
公共投資が無駄だと考えている人の意見として、3つの考え方があります。
1つ目はバブルが崩壊した時に非常に多くの公共投資を行ったものの、景気が良くならなかったというという考え方。2つ目は公共投資をやって無駄な道路や橋をたくさん作る為に税金を使うのは無駄使いだという考え方。3つ目は、公共投資はカンフル剤に過ぎないという考え方です。公共投資をやっている時は景気が良いかもしれませんが、止めた途端に再び景気が悪くなり、結局一時しのぎにすぎません。そのため、そこにお金を使うのはもったいないという考え方の人がいます。

バブルが崩壊した後に公共投資をやっても景気が良くならなかったというのは事実です。しかし、気を付けてほしいのは、あれだけ大きなバブルが崩壊したにも関わらず、それほど深刻な大不況ではなかったという点です。もし、あの時公共投資をやらなかったとしたらもっと深刻な大不況が来ていたはずであるというのが公共投資支持者の考えです。

経済が難しいのは、実験が出来ないことです。これが理科系であれば実験室の中でバブルを10回崩壊させてみて公共投資をやった場合とやらなかった場合で景気がどうなったかというのを試験管の中で調査することができるのかもしれませんが、経済ではそうはいきません。そのため、中々論争に決着がつかないのです。

公共投資については、「税金の無駄使いだ」という意見をよく耳にします。

公共投資は一石二鳥を狙った政策です。1つは必要な橋や道路が出来るということ。もう1つは失業者が仕事を得て景気が回復するということです。例えば、あまり利用されていない橋や道路が作られた例は確かに数多くありました。それでも景気を回復させる力は働いたという点では、無駄ではなかったと思っています。もっと良い所に橋を作れば良かったではないかという考えには同意します。しかし、だからといって公共投資がすべて無駄だったのかというと、それは少し言いすぎている気がします。

公共投資で景気を回復させようと言ったのは、経済学者のケインズという人でした。彼の本の中には、失業者を雇って穴を掘ったり埋めたりさせれば景気は良くなると書いてあります。それに比べれば、利用率の低い道路を作る方がまだましではないかというのが公共投資支持派の人間のコメントでした。

そしてもう1つ、公共投資は効果が一時的なものだと意見についてですが、それ自体は事実です。

例えば、マッチで火をつけると部屋が暖まるというのは一時的なことです。しかし、マッチでストーブに点火してやれば、これは部屋がどんどん暖かくなり、マッチが一時的だから無駄だとは言えないわけです。私としてはマッチの役割を公共投資に期待しているわけです。

ただし、これはそう簡単なことではなくて、性能の悪い昔の薪ストーブをご存知ですか。薪ストーブにマッチで火を着けると薪の温度が低い時にはマッチでは火が着きません。そのためマッチを何本も使ってまず薪を温めて、薪が暖まってからもう1本マッチを擦るとやっと薪に火が着くのです。

これと同じです。バブルが崩壊した時は、薪がびしょ濡れだったため、大量のマッチで薪を乾かす必要がありました。しかし、薪が乾ききらず疲れ果てて、薪に火が着く前に諦めてしまうということが起こるのです。

そんなわけで、景気が本当に悪い時、薪がびしょ濡れになっている時は、マッチの効果が薄いんですね。でもだからマッチは必要ではないという事ではなくて、いつも以上にたくさんマッチを使って、薪を乾かしてというようなことが必要だという事なんですけど、そこを勘違いしたのでバブル崩壊後の不況があんなに長引いたんだと、繰り返しますが公共投資大好き人間はそういう風に考えているということですね。
もう1つ、財務省が財政再建ということで、公共投資に反対し続けてきたことも問題だと思っています。実は景気というのは税収という金の卵を産む鶏なわけです。アベノミクスで景気が回復したことで税収が何兆円も増えました。消費税の増税分も併せると10兆円以上税金が増えているわけですね。比率で言うと、税収が2割増えたという風に考えて頂ければよいと思います。景気が回復しなければ消費税の増税も出来なかったでしょうから、その意味では消費税が増えた分も景気回復のおかげだと言っていいと思います。景気を回復させる事がいかに財政再建に役立つのか財務省は十分認識してほしいと思っています。

安倍政権は補正予算などを使って公共投資を増やそうとしています。私は公共投資については、好意的な考えを持っていますが、今はあまりそのタイミングではないように思います。現在は失業率が低く、労働力がむしろ不足しているため、今公共投資を増やしてもあまり事態は改善しないのではないかと考えています。むしろ今は、例えば子育て支援などに力を入れて、次に景気が悪くなった時に集中的に公共投資をやるというメリハリをつけるのがいいのではないかと思っています。

では、今日のまとめです。
公共投資は景気が悪循環しているのを、方向転換させて好循環にさせることが期待される景気対策の柱です。最近はあまり評判がよくありませんが、私は重要だと思っています。最も、今の様に失業率が低い時には控えめにして将来の不況期の為に取っておくべきだとは思っています。


分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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